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大学・研究所にある論文を検索できる 「The Impact of Circular Stapler Size on the Incidence of Cervical Anastomotic Stricture After Esophagectomy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The Impact of Circular Stapler Size on the Incidence of Cervical Anastomotic Stricture After Esophagectomy

細井, 敬泰 名古屋大学

2021.06.29

概要

【緒言】
胸部食道癌に対する食道切除において、縫合不全や吻合部狭窄などの吻合部合併症を予防することは重要な課題である。しかし、吻合部合併症を予防するための最適な吻合法はいまだ確立されていない。

食道切除後の頚部食道胃管吻合ではcircular stapler(CS)が広く用いられている。手技が簡便であることが利点であり、さらに縫合不全に関しては良好な成績が報告されている。しかし、その一方で他の吻合法に比べて吻合部狭窄の発生率が高いことが欠点である。吻合部狭窄は術後栄養状態の悪化やQOL(quality of life)の低下につながる。

当科では25mmのCSを標準的に使用していたが、吻合部狭窄を40-50%と高率に認めた。この結果を踏まえて、使用するCS径を大きくすることが吻合部狭窄の減少につながるという仮説をたてた。本研究の目的は、食道切除後のCSを用いた胸骨後経路・頸部食道胃管吻合において、CS径と吻合部狭窄の発生率との関連を後方視的に明らかにすることである。

【方法】
当科で2011年4月から2016年3月までに胸部食道癌に対してリンパ節郭清を伴う食道切除を施行した328例のなかで、CSを用いた胸骨後経路・頚部食道胃管吻合を施行した236例を対象とした。他の再建経路を用いた46例および他の吻合法を用いた46例は除外した(Fig.1)。2014年2月より28または29mmのCSを標準的に使用したが、吻合前にscopolamine butylbromideを静脈内投与し、食道の筋層を弛緩させた状態で食道径が30mm未満の症例では、吻合の安全性を考慮して25mmのCSを使用した(Fig.2)。

CS径によりsmall-sized (25mm)CS group(SG):116例とlarge-sized(28または29mm)CS group(LG):120例の2群に分けて、吻合部狭窄の発生率を比較検討した(Fig.1)。さらに、単変量および多変量解析を用いて吻合部狭窄のリスク因子を検討した。吻合部狭窄は、内視鏡的バルーン拡張術またはMaloney dilatorによる拡張術を必要としたものと定義した。縫合不全は、画像診断(上部消化管造影における消化管外への造影剤の漏出、computed tomography: CTにおける吻合部近傍のairや液体貯留)、または頚部創への消化液の漏出により診断した。

【結果】
2014年2月以降の117例中109例(93%)にlarge-sized CSが使用可能であった。残り8例(7%)では食道径が小さく、large-sized CSの使用ができなかった。そのリスク因子は女性(37.5%vs18.4%,p=0.003)、低身長(1.52m[1.44–1.72]vs1.66m[1.45–1.82];p=0.007)、低体重(47.6kg[35.8–64.5]vs59.9kg[34.4–82.5];p=0.016)であった(Table.1)。

吻合部狭窄は全体で90例(38%)に認めた。その発生率をCS径で比較すると、LGはSGより有意に低かった(SG:53%vsLG:23%,p<0.001)。吻合部狭窄と診断した術後日数(SG:57days[20–756]vsLG:62days[21–420],p=0.592)、治療期間(SG:99days[1–1010]vsLG:124days[1–1015],p=0.567)、拡張回数(SG:4.5times[1–20]vsLG:5times[1–27],p=0.415)には両群で有意な差を認めなかった。

縫合不全は全体で19例(8%)に認め、その発生率は両群に有意な差を認めなかった(SG:10%vsLG:7%,p=0.203)。また、他の術後合併症においても両群で有意な差を認めなかった(Table.2)。

吻合部狭窄のリスク因子を単変量解析で検討すると、閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)[FEV1.0%25、NSAIDs投与、small-sized CS、縫合不全が有意なリスク因子であり、多変量解析では縫合不全(OR8.97,95%CI=2.69-41.30;p<0.001)、COPD(OR2.35,95%CI=1.09-5.14;p=0.029)、small-sized CS(OR3.42,95%CI=1.82-6.62;p<0.001)が独立したリスク因子であった(Table.3)。

縫合不全の症例を除いた217例のサブ解析においては、BMI>25(OR2.63,95%CI=1.09-7.18;p=0.049)、COPD(OR2.47,95%CI=1.11-5.56;p=0.027)、small-sized CS(OR3.25,95%CI=1.69-6.42;p<0.001)が独立したリスク因子であり、small-sized CSが最も強いリスク因子であった(Table.4)。

【考察】
本研究では、small-sized CS、縫合不全、COPDが吻合部狭窄の独立したリスク因子であった。縫合不全は、吻合部での血流不良や酸素化不良に起因するとされ、これらは吻合部狭窄の原因でもある。さらに、吻合部への直接的な炎症波及が吻合部狭窄を誘導するとされ、縫合不全は最も強力なリスク因子であった。また、COPDは組織の酸素化不良をもたらし、吻合部狭窄の原因となる。よって、術後は吻合部狭窄を予防するために、循環および呼吸の厳重な管理が重要である。

縫合不全の症例を除いた217例のサブ解析においては、small-sized CSが最も強いリスク因子であった。さらに、吻合部狭窄の発生率をCS径で比較すると、LGはSGより有意に低かった。これまでにもCS径と吻合部狭窄の発生率の関連を示した報告はあるが、頚部吻合と胸腔内吻合が混在した結果であり、頚部吻合に限定して検討を行った本研究の結果は非常に重要である。

large-sized CS使用により縫合不全の発生率が増加することが懸念されたが、その発生率の増加は認めなかった。吻合前にscopolamine butylbromideを静脈内投与し、食道および胃管の筋層を十分に弛緩させた状態で吻合を行うことで、余剰なテンションのない吻合が可能となり縫合不全の予防につながる。また、食道径に応じて適切なCS径を選択することも縫合不全の予防において重要である。

large-sized CS使用の有用性が示された一方で、7%とわずかではあるが食道径が小さくlarge-sized CSが使用できない症例を認めた。これらの症例では、吻合部狭窄をきたすリスクが約3倍となり、CS以外の吻合法を検討する必要があるかもしれない。

【結語】
食道切除後のCSを用いた胸骨後経路・頚部食道胃管吻合においてsmall-sized(25mm)CSの使用は吻合部狭窄の重要なリスク因子であった。よって、吻合部狭窄を予防するためにlarge-sized(28または29mm)CSを使用すべきである。

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