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大学・研究所にある論文を検索できる 「Aerobic条件下におけるイネの根の発達の遺伝的特徴」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Aerobic条件下におけるイネの根の発達の遺伝的特徴

コラレス, ミネルバ, マウロ MINERVA, MAURO, CORALES 九州大学

2020.09.25

概要

今世紀は世界的な水不足が懸念されており,稲作においても農業用水節約のために灌漑・非湛水条件(Aerobic Condition)下での栽培が試みられているが,この栽培法に適した品種の開発は進んでいない.そこで,本研究では,エアロビック条件に適したイネ品種の開発に資するため,農業生態型の異なるイネ品種を供試し,エアロビック条件下における成長反応,特に根の発達に及ぼす影響を調査した.

 まず,日本型水稲品種”コシヒカリ”および日本型陸稲品種”戦捷”を供試し,出芽直後の植物を温室内において栽培した.湛水を継続した条件(湛水区)と湛水後放置して潅水を行わない条件(非湛水区)を設定し,非湛水区において葉の萎凋が認められた時点でサンプリングして地上部と根の成長形質を調査した.その結果,湛水区では,両品種の成長形質には大きな違いは認められなかったが,非湛水区において両品種の成長形質は大きく異なり,戦捷では太く長い根の形成量が著しく多くなり,地下部/地上部乾物重比(R/T比)が増大し,吸水能が高くなることが明らかとなった.次に,コシヒカリと戦捷の交雑に由来する倍化半数体(DH)98系統を供試し,2015年と2017年に,温室内で出芽直後から4週間,土壌水分含有率(SMC(w/w))32%のエアロビック条件下で栽培を行い,地上部ならびに根の成長形質について量的形質遺伝子座(QTL)解析を行った.その結果,2015年には,22のQTLが検出され,そのうち乾物重(DW),水吸収(WU),水利用効率(WUE)ならびに根の成長に関わる17のQTLは,戦捷の対立遺伝子が値を増加させる効果を示した.また,2017年には8のQTLが検出され,全てのQTLにおいて戦捷の対立遺伝子が値を増加させる効果を示した.両年を通じてみると,戦捷の対立遺伝子がWUとWUEを高める効果を持つQTLが染色体1,6および10に検出されるとともに,この領域には,戦捷の対立遺伝子がDWならびに根表面積や体積など根の成長形質を増加させる効果を持つQTLが検出され,クラスターを形成していた.この結果から,これらのQTLクラスターはWUやWUEに関わる重要な領域であることが示唆された.

 さらに,これらの遺伝子の効果を検証するために,遺伝子型と表現型を指標にDH系統の中からDH20(染色体1,6および10いずれのクラスター領域もコシヒカリ型)およびDH3(いずれのクラスター領域も戦捷型)を選抜し,両親とともに幼植物をグロースチャンバー内において湛水およびエアロビック条件(32%SMC)下で栽培を行った.その結果,エアロビック条件下では,DH20は多くの形質で戦捷の値より有意に低かったのに対し,DH3はすべての形質で戦捷の値と同程度か有意に高かった.この結果から,特定の染色体領域にマッピングされたQTLクラスターは,イネのエアロビック条件への適応性に対して累積的な効果を示す可能性が示された.

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