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大学・研究所にある論文を検索できる 「精神疾患の親をもつ子どもの経験と教員研修の試行」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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精神疾患の親をもつ子どもの経験と教員研修の試行

田野中, 恭子 大阪大学

2021.09.24

概要

[緒言]
精神疾患の親をもつ子ども,COPMI(children of parents with a mental illness ,以下COPMIと記す)について,これまではその困難の中で情緒面に関する報告が多く,困難の全体像が把握できているとは言い難い.支援に関しては,国内では就学以降は周囲がCOPMIの問題に気づくしくみがなく潜在化しやすい.また,国内外でCOPMIの視点から支援内容を検討した報告が少ない.支援者の視点だけでなく,COPMIが経験した困難や助けと感じた支えの情報も加えることで,有効な支援が検討できると考えた.

以上より,本研究の目的は,[研究1]COPMIが経験した困難と年代別の特徴,COPMIが助けと感じた支えの明確化とした. 研究1でCOPMI当事者のインタビュー調査を行った結果,支援者の一職種の養護教諭への調査が必要と考え,[研究2]では,養護教諭によるCOPMIへの支援内容,教員がCOPMI支援を進めるために必要なことの明確化とした.さらに,研究1,2を踏まえて学校教員へのCOPMIに関する研修が必要と考え,[研究3]として,COPMIに関する学校教員への研修を試行し,教員がCOPMIへの理解や関わり方を考えられる研修プログラムの検討を目的とした.

[研究1]COPMIが経験した困難と支え
10名の成人したCOPMIに半構造化面接を行い,質的データ分析法を用いて分析した.COPMIの困難および支えについてそれぞれ6つのカテゴリーが抽出された.困難は,これまで着目されていた情緒面に加えて,生活面,発達面,情報面の困難が家庭内外にあった.青年期以降は,発達への支障を自覚する生きづらさがあった.支えとして,就学以降も生活面の世話を必要としており,人からの気持ちの受け止めや情報による対応理解,親と距離をとる時間の重要性が示された.支えを得るためには,周囲からの困難への気づきと支援が必要であると考えられた.

[研究2]養護教諭のCOPMI支援経験
研究1を踏まえ,就学以降の児童・生徒の健康支援の中核を担う養護教教諭2名に,COPMI支援の経験について半構造化面接を行い,質的データ分析を行った.支援として5つのカテゴリーが抽出された.養護教諭は,COPMIと関わり続け,生活や気持ちを理解しながら,安全な居場所づくりや自立を支え,親とも関係をつくり,他の教職員と情報共有し連携していた.養護教諭以外の教員もCOPMIの理解を深め,関係職種と連携できる体制を確立していく必要性が示唆された.その体制づくりのために,教員全体にCOPMI支援の理解を深める研修が必要と考えた.

[研究3]学校教員研修の試行
これまでの研究結果を踏まえて,研修プログラムを検討し,A小学校の教員27名に90分1回の研修を行った.研修直後に無記名記述式アンケートを実施し,研修に関する4段階評定と評定理由等の自由記述を依頼した.研修により,教員のCOPMIへの理解が進むと共に,COPMIへの関心の高まりが伺えた.今後,全学校教員にCOPMIの理解と対応について伝えていく必要性,小学校でも子どもに精神疾患の理解を促す必要性が考えられた.

[総合考察]
以上の結果を踏まえ,今後のCOPMI支援の3つの方向性として,①COPMIの困難と支援に関するアセスメント指標の開発,②学童・思春期のCOPMI同士の交流と情報理解促進,③COPMIに関する研修対象を学校教員に加えて保健医療福祉職にも拡大,が考えられた.

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