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書き出し

新任看護系大学教員のオンライン学修プログラムによる教育実践に関する知識獲得の効果とオンラインコミュニティの学外支援としての有用性の検討

中川, 名帆子 名古屋大学

2023.05.16

概要

学位報告4

別紙4
報告番号



















論 文 題 目 新任看護系大学教員のオンライン学修プログラムによる
教育実践に関する知識獲得の効果と
オンラインコミュニティの学外支援としての有用性の検討


名 中川 名帆子

論 文 内 容 の 要 旨
緒言
令和 4 年度、日本看護系大学協議会に登録している看護系大学は 295 校に増加した。看護系大学
数の増加に伴い、看護系大学教員数の確保と同時に看護系大学教員(以下、看護教員)の質保証は、
喫緊かつ重要な課題である。
大学では教員の職能開発のために、Faculty Development(以下 FD)が義務づけられ、各大学に
おいて組織的な取り組みがされているが、新任教員を対象にした FD 研修は 6.8%と少なく、新任教
員に特化した研修になっているとは言い難い。また、看護系大学院教育の現状をみると、日本看護系
大学協議会の調査(2013)では、20.8%の大学院で看護教育学/教育学に関する科目の開講をしていな
かった。大学院教育を担当する教員の意見として、大学院生に教育能力を習得させることは、必須・
重要等の肯定的な意見がある一方で、研究科の目的から外れる、
「絶対必要」ではない、必要性を感じ
ないとの否定的な意見や大学院における教育内容を考えると時間数的に困難であるという意見もあ
った。これらのことから、大学院教育においても教育実践能力に関する体系的な教育は、十分とは言
い難い現状であることが推測される。さらに新任教員が教育実践能力を獲得できる学外研修に、継続
的に参加することは、臨地実習指導の機会が多い状況を考えれば、時間的・空間的に現実的ではない。
以上のことから、新任教員が教育実践に関する知識を獲得するための方略として、オンラインによ
るプログラム提供が有用ではないかと考えられた。その際に他大学の新任教員と学びを共有すること
で、学びを促進することができるのではないかと考えられた。
研究目的
本研究の目的は、新任教員が自ら必要な教育実践能力を獲得するためのオンライン教育プログラム
の提供による教育実践に関する知識獲得への効果と、オンラインコミュニティ上でのディスカッショ
ンの学外支援としての有用性を検討することである。

学位関係

研究方法
研究対象は、全国の看護系大学における教育経験が 5 年以内の助教もしくは助手とした。以
下のプログラム(厚生労働省看護研修研究センターの看護教員養成課程、厚生労働省が認定し
た看護教員養成講習会、聖路加国際大学大学院フューチャーナースファカルティプログラム、
東京大学大学院フューチャーファカルティプログラム、インタラクティブ・ティーチング~聞
くだけの授業は終わりにしよう~)のうち、1 つでも受講したことがある者は除外対象とした。
看護学校便覧に記載されている全国の 4 年制看護系大学の学長もしくは学部長宛に、研究説
明書と研究協力承諾書、返信用封筒を郵送した。研究協力が得られた大学の学部長宛に、大学
教育経験 5 年以内の助教もしくは助手の人数分の研究説明書と同意書、返信用封筒を郵送し配
布を依頼した。研究参加同意が得られた研究参加者に事前アンケート調査を行った。研究参加
者を介入群と対照群の 2 群に割り付け、介入群に「新任教育プログラム」による介入を行った。
その後、介入群及び対照群に事後アンケート調査を行い、介入前後の比較を行った。
結果
分析対象者 97 名の個人属性概要は、性別では男性 22 名(22.7%)女性 75 名(77.3%)であ
った。年齢層では、20 歳代 7 名(7.2%)、30 歳代 48 名(49.5%)、40 歳代 29 名(29.9%)、
50 歳代 13 名(13.4%)であった。学位取得状況では、学士 18 名(18.5%)、修士 73 名(75.3%)、
博士 6 名(6.2%)であった。
本研究では、層別置換ブロック法を用い、性別・年代・最終学位と大学における教育経験年
数と臨床経験年数に有意差がないように 2 群に割り付けを行った。
介入群と対照群の介入後の大項目の合計点の比較結果は、『学生理解・支援』(p<0.01)『シラ
『教育理論の理解』
(p<0.01)で統計的に有意差が確
バス・クラスデザインの作成』
(p<0.01)
認され、対照群より介入群の方が有意に高値であった。しかし『講義・演習の実施』(p=0.27)
『学外支援』
(p=0.53)は、統計的有意差は認められなかった。
コミュニティと教育実践に関する内容に焦点を当て分析を行った。146 コードを抽出し、そ
のうちコミュニティに関するものは 43 コード、教育実践に関するものは 103 コード抽出され
た。コミュニティに関する分析では、10 サブカテゴリー、3 カテゴリーに分類された。教育実
践に関する分析では、25 サブカテゴリー、8 カテゴリーに分類された。
考察
本研究では研究参加者に対し、初めに「知識プログラム」の URL とともに接続方法や使用方
法を手順的に示した。
「知識プログラム」は、視聴したいコンテンツをクリックすると接続され、
視聴は簡便であった。また、本研究の参加者 97 名からインターネットに接続できない、受講方
法がわからないといった問い合わせは 1 件もなかったことから、
「知識プログラム」を受講する
ためのインターネット接続環境、パソコンなどのモバイル機器の使用などに問題は生じず、ス
トレスなく使用することができたと推察される。

介入群と対照群の介入後の調査結果から、大項目『学生理解と支援』
『シラバス・クラスデザイン
の作成』
『教育理論の理解』は統計的有意差が認められた。大項目『シラバス・クラスデザインの作
成』では、クラスデザインの作成、いわゆる授業設計の方法を学ぶことが有益であることが示唆さ
れた。
「知識プログラム」受講により、
『シラバス・クラスデザインの作成』の知識として、90 分の
講義や演習の授業設計に関する具体的な方法、手順、授業設計に必要なデザインシートの提示など
は、新任教員が担当する講義や演習の授業設計時に活用できる内容であった。事前準備にかかる時
間短縮、これで良いのかという不安に対する一定の同意が得られることで、新任教員のニーズに応
えられる内容であったと考えられる。
「学外支援プログラム」は、
「知識プログラム」で得られた知識と自己の経験を結び付け、知識定
着と理解促進、実践につながるのではないかと考えた。さらに個人が直面している教育的困難や看
護基礎教育に対する希望や展望をディスカッションすることによって、一人では解決困難な問題や
課題解決の糸口を見出すことを期待した。いわゆるピアサポートとしての役割を担うことができな
いかと考えた。しかし期待していたようにディスカッションは活発化せず、限られた人の発言とな
った。オンラインコミュニティを学外支援として活用するためには、同期的オンラインシステムで
顔を合わせ、アイスブレイクなどを取り入れ、信頼関係を構築することから始める必要がある。
結論
『学生理解・支援』『シラバス・クラスデザインの作成』『教育理論の理解』の教育実践に関する
知識獲得の効果が示唆された。
「知識プログラム」は、非同期型オンラインシステムによって提供さ
れたことから、いつでも・どこででも受講可能であり、時間的・空間的制約の多い状況に対応し得
る可能性が示された。
『講義や演習の実施』への効果は示されなかったが、教育実践能力向上に向け
た効果的なオンライン研修の提供内容と方法についての示唆が得られた。
「学外支援プログラム」でのディスカッションは活性化しなかったが、効果的な運用方法の示唆
が得られた。

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