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大学・研究所にある論文を検索できる 「地域で生活する精神障害者へのリカバリー志向実践に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

地域で生活する精神障害者へのリカバリー志向実践に関する研究

的場, 圭 大阪大学

2023.09.25

概要

Title

地域で生活する精神障害者へのリカバリー志向実践に
関する研究

Author(s)

的場, 圭

Citation

大阪大学, 2023, 博士論文

Version Type
URL

https://hdl.handle.net/11094/93050

rights

Note

やむを得ない事由があると学位審査研究科が承認した
ため、全文に代えてその内容の要約を公開していま
す。全文のご利用をご希望の場合は、 href="https://www.library.osakau.ac.jp/thesis/#closed">大阪大学の博士論文につい
てをご参照ください。

Osaka University Knowledge Archive : OUKA
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/
Osaka University

様式3

論文題名















的 場









地域で生活する精神障害者へのリカバリー志向実践に関する研究

論文内容の要旨
【背景】
リカバリーの考え方は精神障害者に対する支援の中心的な概念になっている。リカバリー概念に基づく介入プ
ログラムが開発され、有効性が示されている一方で、アクセシビリティの制限、医療従事者によるリカバリー志向介
入への当てはめといった問題が報告されている。また、日本では入院医療が中心であり、地域生活定着支援に力
が入れられているが、筆者は入院中にこういったプログラムを受けたとしても、退院後の生活の変化に自分自身の
力で十分対応できないという困難さがあることを明らかにした。そのため、こういった介入プログラムだけではなく、
その人に合わせたリカバリー志向実践を検討することが重要と考えられた。その人に合わせたリカバリー志向実践
を検討することが重要と考えられている一方で、実践の中でリカバリーをどのように支援すべきか、リカバリー志向
で関わることの不安とった支援者が実践する際の課題が指摘されている。以上より、本研究では、地域で暮らす精
神障害者のその人らしい生活を支援するためのリカバリー志向実践の体系化を試みた。
【研究】
17名の精神医療福祉の専門家を対象にグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。精神障害
者への日常ケア場面におけるリカバリー志向実践のコアカテゴリーとして、専門家らは、『利用者が求める自分らし
い生活に支援を合わせ続ける』ことを目指していた。そのために、【専門性に伴う権威をなくし、人としての対等な
関係を展開する】ことから始めて、この関係を基盤として、【本心からの希望を育む】関わりを続けていた。ここで表
出された希望を軸にして、【動機をもって主体的行動ができることを支える】こと、【利用者の視野を広げ、主体的
選択を保証する】ことを行っていた。一方で、関わりを行う中で、利用者自身が「失敗」と感じることがあっても、「失
敗」ではなく意味ある経験として利用者が落とし込めるように【「失敗」に対して安全と安心を保証しながらともに前
を向いていく】ことを行っていた。専門家らはこれらの経験に付き合いながら主体的選択と行動につなげ、伴走者
として、自立して自分の希望する人生を歩めることを目指していることが示された。
【まとめ】
本研究の専門家らは、支援者の立場で価値判断を行わず、精神障害者自身の価値観を軸に関わることで主体
性にアプローチしていたと考えられ、このような関わりが、目標や主体性に関わる内面化した信念としての希望を
育むことにつながったと考えられる。本研究の結果は、リカバリーに基づく支援に困難さを感じている訪問看護師
の実践的な指針になる可能性がある。一方で、精神障害者の主体的選択によっては「失敗」につながることもあ
り、これらを許容する組織文化や価値観を醸成することが求められ、今後さらなる研究が必要と考えられた。また、
医療主体で進められやすい病棟看護においても、本研究で明らかになった精神障害者の「主体性」を軸にした看
護実践の適応可能性が示唆された。しかし、既存のセルフケア理論に基づく看護との関連や統合については今
後検討していく必要がある。

様式7

論文審査の結果の要旨及び担当者






的 場





(職)

論文審査担当者



主 査

教授

武用

百子

副 査

教授

清水

安子

副 査

教授

小西

かおる

副 査

鳥取看護大学教授

遠藤

淑美



論文審査の結果の要旨
リカバリーの考え方は精神障害者に対する支援の中心的な概念になっている。リカバリー概念に基づ
く介入プログラムが開発され、有効性が示されている一方で、アクセシビリティの制限、医療従事者に
よるリカバリー志向介入への当てはめといった問題が報告されている。その人に合わせたリカバリー志
向実践を検討することが重要と考えられているが、実践の中でリカバリーをどのように支援すべきか、
リカバリー志向で関わることの不安とった支援者が実践する際の課題が指摘されている。そのため、本
研究では、地域で暮らす精神障害者のその人らしい生活を支援するためのリカバリー志向実践の体系化
を試みた。17名の精神医療福祉の専門家を対象にグラウンデッドセオリーアプローチを用いて分析を行
った。精神障害者への日常ケア場面におけるリカバリー志向実践のコアカテゴリーとして、専門家らは、
『利用者が求める自分らしい生活に支援を合わせ続ける』ことを目指していた。そのために、【専門性に
伴う権威をなくし、人としての対等な関係を展開する】ことから始めて、この関係を基盤として、【本心
からの希望を育む】関わりを続けていた。ここで表出された希望を軸にして、【動機をもって主体的行動
ができることを支える】こと、【利用者の視野を広げ、主体的選択を保証する】ことを行っていた。一方
で、関わりを行う中で、利用者自身が「失敗」と感じることがあっても、「失敗」ではなく意味ある経験
として利用者が落とし込めるように【「失敗」に対して安全と安心を保証しながらともに前を向いてい
く】ことを行っていた。専門家らはこれらの経験に付き合いながら主体的選択と行動につなげ、伴走者
として、自立して自分の希望する人生を歩めることを目指していることが示された。本研究の専門家ら
は、支援者の立場で価値判断を行わず、精神障害者自身の価値観を軸に関わることで主体性にアプロー
チしていたと考えられ、このような関わりが、目標や主体性に関わる内面化した深淵としての希望を育
むことにつながったと考えられる。本研究の結果は、リカバリーに基づく支援に困難さを感じている訪
問看護師の実践的な指針になる可能性がある。一方で、精神障害者の主体的選択によっては「失敗」に
つながることもあり、これらを許容する組織文化や価値観を醸成することが求められ、今後さらなる研
究が必要と考えられた。
主論文で明らかになったカテゴリーは、支援者が具体的に何をすればよいのかが分かる内容であり、
看護実践への転用が可能である点が今日の精神看護に大きな示唆を与えるものだと考えている。また
international journal of mental health nursingはIF5.1であり、精神看護分野においてメジャーな雑
誌にアクセプトされたというのも、本研究の意義が高いことを表している。
以上のことから、本論文は博士学位の授与に値すると考える。

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