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大学・研究所にある論文を検索できる 「外科的眼表面再建術の簡便化に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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外科的眼表面再建術の簡便化に関する研究

稲用, 絢 東京大学 DOI:10.15083/0002005112

2022.06.22

概要

眼表面は眼球に光が透過する過程で初めに通過する部分であり、主に涙液・角膜上皮・結膜上皮で構成される。角膜上皮細胞は角膜周辺部の角膜輪部上皮基底層に存在する角膜輪部上皮幹細胞(Limbal stem cell: LSC)から供給されることが知られる。LSC機能が障害された場合、軽症であっても視力の質が低下し、重症であれば社会的失明に至る。眼表面再建治療を目的とした移植治療は、潰瘍部を物理的に補填しつつ自己LSCを再活性化し眼表面の再上皮化を促す羊膜移植、眼表面の上皮細胞が破壊され尽くされた重症例に対しては羊膜とともに幹細胞を移植する培養角膜輪部上皮細胞シート移植などの選択肢がある。近年は軽症の輪部上皮幹細胞疾患に対する抗炎症薬点眼の有効性も報告されている。しかし、薬物療法が奏功しない輪部幹細胞異常に対する次なる低侵襲な眼表面再建治療法は確立されていない。軽症例に対する羊膜移植の選択は過剰な治療と判断されることが多く、軽症輪部幹細胞疾患患者の多くは視力低下を抱えたまま放置される現状がある。また、角膜輪部上皮幹細胞疲弊症(Limbal stem cell deficiency: LSCD)に対する既存の眼表面再建治療にも課題が多く残されている。中でも既存の外科的眼表面再建治療は患者の健常自己上皮組織の採取量が多く、ドナー組織作製時の侵襲が高いことが大きな問題であった。この問題の解決策として開発された培養上皮細胞シート移植は、ドナー組織の採取量が少なく安全性および治療成績は十分あり画期的であったものの、培養コストが高く現実的に普及が困難であった。本研究ではこれらの眼表面再建治療の課題を解決するべく、より多くの患者が眼表面再生医療にアクセス可能になることを目標に、特別な設備を持たない医療施設でも実施可能な簡便で低コストな眼表面再建術の開発に取り組んだ。第二章では、軽度のLSC疾患に対する角膜上皮擦過術の治療効果を検討した。角膜上皮擦過術を受けた軽度のLSC疾患患者は、術後に全例で視力が改善し、観察期間中重篤な合併症や再発はなく、本術式の有効性を示した。第三章では、僚眼から結膜および輪部の自己上皮組織が採取不能である重度の両眼性LSCD患者を念頭に、単純口腔粘膜上皮移植術の有効性の検討を動物モデルを用いて行った。本術式によりウサギLSCDモデル眼の眼表面再建に成功した。本研究で眼表面再建効果を確認した角膜上皮擦過術および単純口腔粘膜上皮移植術は、いずれも既存の外科的眼表面再建術より低侵襲かつ手術操作が単純であり汎用性が高い。また、特別な細胞処理設備を必要としないことから患者および医療者側双方の費用および時間的負担が軽減される。単純口腔粘膜上皮移植術のヒトへの応用には今後、ヒト口腔粘膜上皮の眼表面に対する接着性および上皮進展性の検討が必要であると考えられる。

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