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大学・研究所にある論文を検索できる 「Diet-related greenhouse gas emissions in Japanese:nutritional epidemiological studies on methodological development and applied analysis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Diet-related greenhouse gas emissions in Japanese:nutritional epidemiological studies on methodological development and applied analysis

杉本, 南 東京大学 DOI:10.15083/0002007089

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名杉本



本研究は、日本人を対象とした食事由来の温室効果ガス排出量を個人レベルで推計する
ための測定方法の開発と、排出量の推計、ならびに食事摂取量との関係の分析を試みたも
のであり、下記の結果を得ている。
1. 利用可能な資料をもとに、異なる方法を用いて、食品の温室効果ガス排出量データベ
ースを 3 種類開発した。具体的には、食品の温室効果ガス排出量を計算した既存の出
版物を集めて値を統合する方法(以下、方法①)
、生産者価格基準の環境負荷原単位を
用いて食品の温室効果ガス排出量を包括的に計算する方法(以下、方法②)
、購入者価
格基準の環境負荷原単位を用いて食品の温室効果ガス排出量を包括的に計算する方法
(以下、方法③)を用いて、食品の温室効果ガス排出量を求めた。次に、方法①~③
で得られた食品の温室効果ガス排出量値をもとに、日本で習慣的に摂取されている
2231 食品それぞれに対して、単位重量あたりの食品の温室効果ガス排出量を方法別に
推定した。以上の手順を経て、日本人における食事由来の温室効果ガス排出量を推定
することが可能となった。
2. 日本人の食事由来の温室効果ガス排出量およびその主な寄与食品を、異なる食品の温室
効果ガス排出量データベースを用いて推定し、互いに比較した。その結果、日本人成人
における食事由来の温室効果ガス排出量の平均値は、使用した食品の温室効果ガス排出
量データベースにより有意に異なった(平均±標準偏差、方法①:4145±1425 g CO2eq/
日、方法②4031±1199 g CO2eq/日、方法③7392±2568 g CO2 eq/日)
。一方で、食事由
来の温室効果ガス排出量の主な寄与食品は、使用したデータベースによらず、肉類と魚
介類であった。以上より、異なる食品の温室効果ガス排出量データベースを用いると、
食事由来の温室効果ガス排出量への主な寄与食品として同定される食品はほぼ同じで
あるが、食事由来の温室効果ガス排出量の推定値は大きく異なることが示された。
3. 食事由来の温室効果ガス排出量と、栄養素摂取量の適切さとの関連を検証した。検討
した 17 種類の栄養素のうち、12 種類の栄養素において、食事由来の温室効果ガス排
出量が多いほど、摂取量が「日本人の食事摂取基準 2020 年版」の基準値を満たしてい
ない、あるいは逸脱している「不適切摂取者」の割合が有意に低かった。一方、総脂
質、飽和脂肪酸、炭水化物、遊離糖類では有意な関連は観察されず、ナトリウムでの
み「不適切摂取者」の割合が有意に高かった。従って、欧米の先行研究とは逆に、日
本人では食事由来の温室効果ガス排出量が多いほど、食事が栄養学的により適切な傾
向が示された。

4. 近年提案された包絡分析食事モデルを用いて、現在日本人で摂取されている食品の組
み合わせに基づく、最適化された食品の摂取パターンを求めた。その結果、最適化さ
れた摂取パターンは、現在の食事と比べて、清涼・アルコール飲料類、牛・豚・加工
肉類、調味料類、菓子・砂糖類の摂取量が少なく、全粒穀類、乳製品類、豆・種実
類、果物類の摂取量が多かった。さらに、最適化された摂取パターンは、食事の栄養
学的な適切さが高い一方、金銭的コストと食事由来の温室効果ガス排出量は低かっ
た。
以上、本論文は食事由来の温室効果ガス排出量を推定する手法を開発した。この手法を用
いて、日本人における食事由来の温室効果ガス排出量の主な寄与食品が肉類と魚介類であ
り、食事由来の温室効果ガス排出量が多い人ほど栄養素摂取量は適切な傾向にあるとい
う、欧米とは異なる知見を得た。データベース開発から記述疫学、分析疫学への展開まで
一環して取り組んでおり、栄養疫学分野ならびに環境学分野への貢献が評価される。
よって本論文は博士(保健学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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