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大学・研究所にある論文を検索できる 「Structural and functional analysis of the light-gated cation channel, channelrhodopsin」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Structural and functional analysis of the light-gated cation channel, channelrhodopsin

小田, 和正 東京大学 DOI:10.15083/0002006716

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

小田

和正

本論文は、第一章「General introduction」、第二章「Structural analysis of the red light-activated
channelrhodopsin Chrimson」、第三章「Time-resolved serial femtosecond crystallography analysis
of channelrhodopsin」、第四章「General discussion」の計四章から構成されている。
第一章は本論文の序章である。光は生物にとって重要な外部刺激であり、ロドプシンフ
ァミリーが光受容タンパク質の一種として機能していることを紹介している。ロドプシ
ンファミリーは発色団であるレチナールを有し、微生物型ロドプシンと動物型ロドプシ
ンに分類されている。本章では微生物型ロドプシンに焦点を当て、その一般的な機能や構
造に関して記述している。また、本章の後半では本論文の研究対象である光駆動型カチオ
ンチャネルであるチャネルロドプシン(ChR)に関するこれまでの先行研究の結果や知見
などが詳細に記述されている。
第二章では本論文の研究内容の一つである、長波長光吸収型の ChR である Chrimson の
構造解析および機能解析の研究結果に関して詳細に記述されている。論文提出者は、野生
型から性状を改善させた Chrimson 改変体である C1Chrimson を使用し、発現、精製、結
晶化の過程を経て C1Chrimson の高分解能構造を決定することに成功した。得られた
C1Chrimson の構造を過去に報告されていた短波長光吸収型の ChR である C1C2 の構造と
比較し、C1Chrimson ではレチナールの結合部位周辺が疎水的な環境になっていることを
明らかにした。C1C2 ではこの部分が親水的な環境になっており、変異体解析の結果を踏
まえ、この部分が実際に ChR の波長シフトに関与していると判断したことが記述されて
いる。。また、レチナールの先端の部分であるβイオノン環周にも C1Chrimson と C1C2 で
違いが確認され、この部分も変異体解析の結果から ChR の波長シフトに関与していると
判断したことが記述されており、ChR の波長シフトは複合的な要因によって引き起こさ
れていることが議論されている。
第三章では本論文の研究内容の一つである、ChR の構造変化に関する研究方法および
その結果に関して詳細に記述されている。論文提出者は励起光照射後の ChR の構造変化
を捉えるため、X 線自由電子レーザーを用いた時分割結晶構造解析を行い、その構造変化
を捉えることに成功した。得られた構造変化はレチナールのスライドの動きとそれに引
き続いて膜貫通ヘリックス(TM)の3番目と7番目の動きであり、これは ChR の構造変
化を始めて捉えたものである。論文提出者は得られた構造変化とこれまでに先行研究の
結果から、観測された TM の動きがチャネルの開閉にどのように関与しているのかを詳
細に記述している。
第四章では研究成果全体の総括が述べられており、さらに今後の ChR に関する研究の
展望について議論している。波長シフトの研究に関しては論文提出者の経験も踏まえ、機
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械学習を用いた研究などの新たなアプローチをこれまでの研究結果と組み合わせること
で、さらなる理解が進むのではないかという意見が述べられている。構造変化に関する研
究に関しては現状の測定方法の限界に触れたうえで、電子顕微鏡を用いた構造解析に関
する提案を行っている。
本論文では光駆動型カチオンチャネルである ChR に関する複数の研究が記載されてお
り、これらの研究結果は ChR の分子基盤の解明を大きく前進させた。さらに、論文提出
者はこれらの結果を踏まえ、新たな特徴を持った ChR の変異体開発を成功させており、
この研究結果が今後の ChR の研究を大きく推進させるものとなることが推定される。な
お、本論文第二章は、Johannes Vierock 博士、大石賢実修士、Silvia Rodriguez-Rozada 博士、
谷口怜哉博士、山下恵太郎博士、J. Simon Wiegert 博士、西澤知宏博士、Peter Hegemann 博
士、濡木理博士との共同研究であり、本論文第三章は、濡木理博士を研究代表者とする共
同研究であるが、論文提出者が主体となって分析及び検証を行ったもので、論文提出者の
寄与が十分であると判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

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