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大学・研究所にある論文を検索できる 「ナナフシ卵寄生性セイボウ類の生態と関連形態に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

ナナフシ卵寄生性セイボウ類の生態と関連形態に関する研究

久末, 遊 HISASUE, Yu ヒサスエ, ユウ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

ナナフシ卵寄生性セイボウ類の生態と関連形態に関
する研究
久末, 遊

https://hdl.handle.net/2324/6787670
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(農学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)





:久末



論文題名

:ナナフシ卵寄生性セイボウ類の生態と関連形態に関する研究



:甲

















ナナフシ卵寄生性セイボウ類はセイボウ科寄生蜂の一群であり,ナナフシヤドリバチ亜科とカブ
トバチ亜科の二亜科が含まれる.両亜科は姉妹群関係にありナナフシ卵に寄生するが,ナナフシヤ
ドリバチ亜科がセイボウ科の一般形態をある程度保持しているのに対し,カブトバチ亜科は科の特
徴すらも大きく逸脱した形態をもつ.くわえて,ナナフシヤドリバチ亜科が寄主のナナフシ類と同
じく全世界に広く分布するのに対し,カブトバチ亜科は東南アジアに分布が偏っており,狭い分布
域で高い種多様性を示す.ナナフシヤドリバチ亜科では,卵に乗り産卵すること,卵を運ぶことが
観察されている.対してカブトバチ亜科は直接の寄生行動は観察されていないが,わずかな生態観
察の情報から,アリに対する化学擬態の可能性や,特徴的な形態が好蟻性に関係することが示唆さ
れている.本研究では,ナナフシ卵寄生性セイボウ類の生態や寄主卵との関係に着目し,成虫形態
の表現型可塑性,寄生戦略,体表面化学物質,カブトバチ亜科の形態形質と系統関係との関係を調
べることで,ナナフシ卵寄生性セイボウ類の形態的多様性を生み出す要因について議論した.

【第 1 章

基礎生態】

カブトバチ亜科とナナフシヤドリバチ亜科の飼育観察によって産卵行動や発育などの基礎生態情
報を得た.ナナフシ卵寄生性セイボウ類には,ナナフシヤドリバチ亜科の性的二型の顕著なものと
軽微なもの,カブトバチ亜科の形態がある.性的二型の顕著な種では,産卵は精査,マウント,産
卵場所の探索,卵の運搬,孔空け,産卵管の挿入の順におこなわれ,産卵前に卵の運搬がおこなわ
れた.性的二型が軽微な種では,精査,マウント,孔空け,産卵管の挿入の順におこなわれ,卵の
運搬は行われなかった.カブトバチ亜科では,精査,卵の運搬,マウント,孔空け,産卵管の挿入,
隠蔽場所の探索,卵の運搬,卵の埋没の順に行われ,卵の運搬は産卵の前後に行われたのに加え,
卵を見えなくなるまで付近の土や葉で埋めるという特異的な行動が観察された.また,ナナフシヤ
ドリバチ Nipponosega yamanei とヤマトナナフシヤドリバチ Cladobethylus japonicus の F1 世代の産卵
した卵からのメス個体の羽化により,これらの種で産雌性単為生殖がおこなわれていることが明ら
かとなった.カブトバチ亜科 Rhadinoscelidia 属の一種の飼育にて,Loboscelidia 属の形態に合致する
オス個体の羽化を確認した.ナナフシ卵の選好実験から,ナナフシヤドリバチでは同所的に分布す
る種に広く寄生するが,ヤマトナナフシヤドリバチではエダナナフシに寄生しなかったことから種
によって寄主範囲が異なることが示唆された.
【第 2 章

形態的多様性と生態・寄主卵形態との関係】

ナナフシヤドリバチの成虫形態と寄主卵の対応関係を検証した.また,性的二型の顕著なナナフ
シヤドリバチ類と軽微なナナフシヤドリバチ類,カブトバチ亜科の内部筋肉系について X 線マイク
ロ CT を用いて観察・比較した.カブトバチ亜科の形態と分布からグループ分けをおこない,種間
の形態変異について比較した.ナナフシヤドリバチ成虫とナナフシ卵の形態の対応について主成分

分析によって相関を調べたところ,特に頭部形態が寄主卵と関連が強いことが示された.各種ナナ
フシ卵から羽化したハチ成虫の形態を比較すると,トゲナナフシとナナフシモドキ間に不連続な明
瞭な形態差が確認された.くわえて,ナナフシ卵寄生性セイボウ類 5 種の内部筋肉系を観察し,特
に頭部および前胸形態に着目して筋肉を記載した.性的二型の顕著なナナフシヤドリバチでは,前
脚の運動に用いられる fu1-cv や pl1-cx1,後脚の運動に用いられる fu3-cx3 が性的二型の軽微なヤマ
トナナフシヤドリバチやトゲナナフシヤドリバチ Calosega kamiteta よりもよく発達し,飛翔に用い
られる pl2-t2a は消失していた.カブトバチ亜科では,ナナフシヤドリバチ亜科にはみられない頭部
運動に関与する 0an や 0bu といった頭部筋肉が発達しており,卵を埋めるというカブトバチ亜科に
固有の行動との関連がみられた.また,カブトバチ亜科の頭部や中体節の形態と分布の特徴から連
続的な 6 つのグループに分けられた.飼育および形態比較の結果から,Rhadinoscelidia 属のメスと
同所的に得られた翅脈が退化的な Loboscelidia 属のオスが対応することがわかった.この結果から,
翅脈が退化傾向にある種のオスは,Rhadinoscelidia 属のメスと対応することが考えられた.
【第 3 章

体表面化学物質】

GC-MS を用いて体表炭化水素の比較を行った.その結果,雌雄間で異なる組成が確認され,セイ
ボウ亜科における先行研究と同様の傾向を示した.ナナフシ卵寄生性セイボウ類では先行研究との
比較により Octadecane と Eicosane がセイボウ亜科と共通して保有することが明らかとなり,一方
1-Tetradecanol,Octadecane, 2-methyl-,Nonane, 5-methyl-,Tridecanal といった物質はナナフシ卵寄生
性セイボウ類にのみに見られた.種間の比較では,ナナフシヤドリバチ亜科,カブトバチ亜科の両
亜科で種特異的な組成を示し,ナナフシ卵寄生性セイボウ類の体表面炭化水素の多様性の高さが示
された.

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