リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「日本産ツヤコガ科とマガリガ科(チョウ目:ヒゲナガガ上科)における幼虫の植物加工様式と寄主利用の多様化」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

日本産ツヤコガ科とマガリガ科(チョウ目:ヒゲナガガ上科)における幼虫の植物加工様式と寄主利用の多様化

金, 亨奎 KIM, HYEONGKYU キム, ヒョンキュー 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Diversification of larval plant processing
patterns and host plant use in Heliozelidae and
Incurvariidae (Lepidoptera: Adeloidea) in Japan
金, 亨奎

https://hdl.handle.net/2324/6787665
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(農学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)





論文題名

:金亨奎
: Diversification of larval plant processing patterns and host plant use in Heliozelidae
and Incurvariidae (Lepidoptera: Adeloidea) in Japan

(日本産ツヤコガ科とマガリガ科(チョウ目:ヒゲナガガ上科)における幼
虫の植物加工様式と寄主利用の多様化)




:甲















チョウ目ヒゲナガガ上科 Adeloidea のツヤコガ科 Heliozelidae とマガリガ科 Incurvariidae は原始的な
小蛾類の一群であり、 北アメリカとオーストラリアで種多様性が高いとされるが、東アジアでの種
多様性解明は十分ではない。いずれも幼虫期の全部または一部で葉の組織中に潜って生活をする潜
葉性昆虫であるが、それぞれ摂食様式が異なる。一般的にツヤコガ科は蛹になる前に葉を切り取っ
てケースを作るが、マガリガ科では幼虫の初期段階から自分の大きさに合ったケースを作って葉上
で生活するという独特な習性を持っている。一方、この 2 科の多くの種は昼行性であることから、
蛾類の採集で一般的な方法であるライトトラップではほとんど採集されない。さらに、幼虫の発見
の困難さから、これまで他の分類群に比べて世界的にみても分類学的研究が十分に行われていなか
ったが、近年、オーストラリアでツヤコガ科に絶対送粉共生を行う一群が発見されるなど、進化生
物学的にも注目されている。この研究と同様に、日本では広食性の Paraclemensia 属、ゴール形成
性の Heliozela 属、ケースを作らない Antispila 属など、従来知られていないか、特異な生態的特性
をもつ種が発見された。本研究は、日本においてこれら 2 つの科について、1)分類学的研究を行う
ことにより、種多様性の解明を行うとともに、2)種の系統関係や未知の生活史を解明し、幼虫の多
様な植物加工様式や寄主利用がどのように出現し、植物とどのような相互関係を持ちながら進化し
たかを明らかにすることを目的とする。
研究材料は、日本各地で採集した成虫と幼虫から飼育羽化させた成虫に加えて、全国の研究機関に
収蔵されている標本を用いた。これらの標本について、翅の斑紋、翅脈、交尾器などの形態を実体
顕微鏡を用いて比較した。さらに成虫と幼虫の標本から DNA の抽出を行い、ミトコンドリア遺伝
子領域(COI、COII)と核領域(28S、H3)の塩基配列を決定し、最尤法とベイズ法を用いて系統
解析を行った。
研究の結果、日本において 7 未記載種(ツヤコガ科 6 種、マガリガ科 1 種)を確認した。 さらに、
これら 2 つの科の全体的な系統解析にもとづいて、いくつかの特異な植物加工様式と寄主利用につ
いて分析した。 1) ケースを作らない Antispila 属の未記載種を発見し、他の東アジアの Antispila 種
と形態だけでなく分子的にも異なる種であることを確認した。 2) Heliozela 属で初めてブナ科植物
の堅果を食べる種を発見した。ヨーロッパおよび日本産のゴール形成を行う種を含めて系統解析を
行った結果、特異な摂食様式をもつ日本産 Heliozela 属の種は系統的に近縁であり、これらの種が日
本で独自に分化したと考えられた。 3) マガリガ科では例外的に多食性として報告されているクロ
ツヤマガリガ P. incerta が寄主植物によって分子的に差異があると予想したが、寄主植物ではなく地
理的に差が認められた。 また、クロツヤマガリガだけでなく、Paraclemensia 属の他の種でも、多

食性の種が存在することを発見した。すなわち、翅や頭部の色彩が異なるクリヒメマガリガ P.
oligospina とイヌシデマガリガ P. viridis が同一種であること、また、ヒメアオマガリガ P. cyanea も
同一種の可能性があることを明らかにした。4) ウスキンモンマガリガ Procacitas orientella は、ロシ
ア南東部、朝鮮半島、日本に分布するが、系統位置が不明確で、詳しい生活史や幼生期の形態は知
られていなかった。最近、北海道で本種の幼虫がイチヤクソウ類の葉に潜孔して越冬し、早春にケ
ースを切り取って蛹になり羽化することが報告された。このように若齢期ではなく、蛹化直前にな
ってケースを切り取る習性は、マガリガ科では例外的である。まず、系統解析の結果、本種の系統
位置は Alloclemensia 属と最も近いが、ある程度独立した系統を形成していることを確認した。また、
幼虫の形態、特に腹脚の鉤爪について比較した結果、本種の鉤爪は円形に近い形に配列しており、
鉤爪が横一列に配列する他のマガリガ科の種とは異なっていた。この形質状態は、本種がケースを
切り取って移動しないとう習性と関連していると考えられた。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る