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医療用呼吸温湿度交換器の動的特性に関する研究 (本文)

冲永, 佳史 慶應義塾大学

2023.07.05

概要

学位論文 博士(工学)

医療用呼吸温湿度交換器の
動的特性に関する研究

2023 年度

慶應義塾大学大学院理工学研究科

冲永 佳史

目次

記号表

第 1 章 序論 ....................................................................................................................
1.1 緒言
1.1.1 医療用温湿度交換器(HMEF)の役割とその重要性
(a)医療用加温加湿器を用いる方法
(b)医療用温湿度交換器(HMEF)を用いる方法
1.2 従来の研究
1.2.1 医療分野
1.2.2 工学分野
(a)膜・フィルターに関する研究
(b)温湿度交換システムに関する研究
(c)HMEF に関する研究
1.2.3 帝京大学における HMEF の開発経緯
1.3 温度湿度調整の基本原理
1.3.1 一般的な温度湿度調整法
1.3.2 医療用呼吸温湿度交換器
1.3.3 湿度の定義
1.4 本研究の目的
1.5 本論文の構成
第 2 章 研究手法 .............................................................................................................

1
1
2
2
3
3
4
7
7
7
8
9
10
10
11
11
14
14
16

2.1 実験
2.1.1 実験装置および方法
2.1.2 測定装置
(a)静電容量型温湿度測定装置
(b)温度測定装置
2.1.3 温度,湿度センサーの時間応答特性
2.1.4 塩化カルシウム含浸法
2.1.5 実験データ取得前のコンディショニング
2.1.6 実験サンプルの構成

16
16
20
20
21
22
25
25
26

2.2 一次元数値解析
2.2.1 仮定

26
26

2.2.2 塩化カルシウムによる凝縮・蒸発
2.2.3 熱損失
2.2.4 計算モデル
2.2.5 基礎方程式
(a)化学種と変数
(b)質量保存式(連続の式)
(c)運動方程式
(d)化学種方程式

27
30
30
32
32
33
33
34

(e)エネルギー方程式
2.2.6 差分化
2.2.7 空間格子間隔および時間刻み
2.2.8 フローチャート
2.2.9 計算環境

35
36
40
40
42

2.2.10 計算の健全性
第 3 章 過渡応答特性 .....................................................................................................
3.1 実験結果
3.1.1 呼気を模擬した Air 1 の温度,湿度変化

42
44
44
44

3.1.2 吸気を模擬した Air 2 の温度,湿度変化
3.2 一次元数値解析結果
3.3 結論
第 4 章 周期応答特性 .....................................................................................................
4.1 人の呼吸パターン
4.2 実験結果
4.2.1 Case 1 の結果
4.2.2 Case 2 の結果
4.2.3 Case 3 の結果

45
48
50
51
51
53
53
55
57

4.3 一次元数値解析結果
4.3.1 周期 256 秒の場合
4.3.2 周期 64 秒の場合
4.3.3 周期 16 秒の場合
4.3.4 周期 4 秒の場合
4.3.5 実験結果との比較
4.3.6 周期 𝜏B の影響
4.3.7 過渡的変化
4.4 結論

61
61
65
70
75
80
84
85
87

第 5 章 HMEF の基本特性 ............................................................................................. 88
5.1 CaCl2 を含浸したスポンジの厚さの影響
88

5.2 HMEF の全長の影響
5.3 結論
第 6 章 付加的要因に関する考察 .................................................................................
6.1 CaCl2 の水和性に関する考察
6.2 接続部,空洞部に関する考察
6.3 結論
第 7 章 結 論 ...................................................................................................................
参考文献 ...........................................................................................................................

95
99
100
100
105
111
112
114

図,表 ...............................................................................................................................
謝 辞 .................................................................................................................................
付 録 .................................................................................................................................
付録 1 熱電対の時間遅れ応答特性
付録 2 流れ場に関する予備計算

120
125
126
126
127

付録 3 輸送係数に関する検討
131
付録 4 古典的ルンゲ・クッタ法
139
本論文に関する著者の発表論文 ................................................................................... 152

記号表

略記号
Air 1
Air 2

呼気に対応する空気(温度𝑇:37℃,相対湿度𝜑:100%)
吸気に対応する空気(温度𝑇:26℃,相対湿度𝜑:0%)

HMEF

Heat and Moisture Exchanger with filter
(フィルター付き温湿度交換器)
ポリウレタン製のスポンジ

PU

アルファベット文字
AR
𝐶p

吸着割合
定圧比熱

[-]
[kJ/(kg・K)]

𝐷
𝐷i
f
hads
HRe
HRi
kHe
kHi
kMe

拡散係数
成分 i の物質拡散係数
周波数
単位質量当たりの水の凝縮熱
呼気時の熱分配率
吸気時の熱分配率
呼気時の総括熱輸送係数
吸気時の総括熱輸送係数
呼気時の総括物質輸送係数

[m2/s]
[m2/s]
[1/s]
[kJ/kg]
[-]
[-]
3
[kJ/(m ・s・K)]
[kJ/(m3・s・K)]
[kg/(m3・s)]

kMi
𝐾h
𝐾l
𝐾m

吸気時の総括物質輸送係数
総括熱輸送係数
熱損失項の熱輸送係数
総括物質輸送係数

L

HMEF の全長

𝑙CaCl2

凝縮/蒸発領域の幅(スポンジの幅)

[kg/(m3・s)]
[kJ/(m3・s・K)]
[kJ/(m3・s・K)]
[kg/(m3・s)]
[m]
[m]

M
𝑀a
𝑀w

質量
湿り空気 M kg 中の乾き空気の質量
湿り空気 M kg 中の水蒸気の質量

𝑀wa
𝑀𝑊

湿り空気の質量
モル質量

[kg]
[kg]
[kg]
[kg]
[kg/kmol]

[kg/m3]
[Pa]
[Pa]
[Pa]
[Pa]
[kJ/( kmol・K)]
[-]
[-]

mi
𝑝
𝑝s
𝑝w
𝑝ws
R
RC
𝑟

成分 i の単位体積あたりの質量
圧力
静圧
湿り空気中の水蒸気圧力
飽和湿り空気中の水蒸気圧力
一般気体定数
吸着率
相変化エネルギーの分配率

Sh
Sl
St

蒸発凝縮に伴うエネルギー生成項
装置から外部への熱損失
気体から固体への熱伝達

𝑆𝑉

比表面積

t

時間

T
Tout
Tb
𝑢

温度
外部温度
呼吸周期
z 方向速度

[K]
[K]
[s]
[m/s]

𝑢m

湿り空気の z 方向速度

[m/s]

𝑉

体積

[m3]

𝑉𝑎

湿り空気の体積

[m3]

𝑤

生成項

[kg/(m3・s)]

𝑤i

成分 i の蒸発凝縮,吸着脱着による生成項

[kg/(m3・s)]

𝑌i

成分 i の質量分率

[-]

z

一次元空間座標

[m]

[kJ/(m3・s)]
[kJ/(m3・s)]
[kJ/(m3・s)]
[m2/m3]
[s]

ギリシャ文字
𝜀

空隙率

𝜂
𝜆

塩化カルシウム単位質量あたりの水の凝縮質量
熱伝導率

𝜌

密度

𝜌m

湿り空気の密度

𝜌w

容積絶対湿度,水蒸気密度

𝜏B

周期

𝜒
𝜒eq

重量絶対湿度
液体の水と気液平衡になる水蒸気の重量絶対湿度

[-]

[kg/kg-CaCl2]
[kJ/(m・s・K)]
[kg/m3]
[kg/m3]
[kg/m3]
[s]

[kg/kg]
[kg/kg]

𝜑

相対湿度

添字
air
dryair
H2O(gas)

空気
渇き空気
気体の水(水蒸気)

H2O(liquid)
m
prev
PU
s

液体の水
湿り空気
一時刻前
ポリウレタン製のスポンジ
固体側

[-]

第1章 序 論

第1章 序 論
1.1 緒言
全身麻酔を伴った手術時など,患者が非意識下に置かれる状況においては,適切な呼吸を
確保することは必須である.そのために,人工的な呼吸管理が行われる.とくに患者が非意
識下にある場合,舌の沈下が起こり,気道が塞がれてしまうので,呼吸用マスクなどで口や
鼻を覆って呼吸管理をすることは困難であり,気管へ直接管を入れ患者の呼吸管理を行わな
ければならない.
患者の呼気は温度約 37℃の飽和蒸気状態で排気される.一方, 手術室や ICU などの高度な
治療を行う処置室の空気は約 23℃の乾燥空気となっていることから,吸気に何も施さない場
合, 肺には鼻腔を通過した空気とは異なり乾燥した冷たい空気が流入することになる. しか
し, 患者が吸気する空気の温度と湿度の維持は,患者の全身状態を良好に保つために必要な
要素として無視できないことが各種医学的臨床研究により報告されており, 呼吸の温湿度を
適切に保つ必要がある.
呼吸の際の空気の加温加湿方法としては,加温加湿装置を用いる方法と温湿度交換器

(Heat and Moisture Exchanger with filter)HMEF)を用いる方法がある.HMEF は医療分野で
は人工鼻とも呼ばれている.前者は吸気を直接加温加湿するため,温度,湿度を任意に調整
することができるアクティブな方法であるが,機器が大きく複雑なチューブ接続などが必要
であり,手術室など使用場所が制約され,汎用的な使用条件には適さない.また設定を誤る
と,高温の空気が強制的に患者に供給されることになり,その使用には細心の注意を要する
ほか,動作保証や感染症を防ぐための消毒を行うなどメンテナンスが煩雑であり,管理コス
トの上昇を招く.
他方,HMEF は患者の呼気に含まれる熱や水分を HMEF に蓄えて使用するパッシブな方法
である.患者の呼気に含まれる熱や水分を利用するために,加温加湿性能には制限があるが,
接続が容易であり,電源供給,付帯装置との接続が不要で,患者の有する温度湿度環境を超
えないことから,緊急時にも容易に使用できる利点がある.また,HMEF は簡便な機器であ
り,一般的には 1 回使用すると廃棄されることから,近年話題となっている COVID-19 を含
め,ウイルスや細菌などの呼吸器に対する感染防止にも優れている.以上のような観点から,
近年では HMEF の医療現場における利用が増加している.医療機器承認番号を取得している
代表的な HMEF としては,DAR エア・フィルタ(米国製)
,ツインスター(ドイツ製),バク
テリアフィルタ付人工鼻(フィンランド製),ファーマシステムズ人工鼻(エストニア製),
ペンタエイド(台湾製)
,エコサーム(英国製)などがある.
しかしながら,HMEF 内部における水蒸気と水の相変化と熱の蓄積,放出過程について詳
細な検討は行われていないほか,熱が凝縮蒸発にどの程度有効に用いられているかについて
は不明な点が多く,それに関する詳細な研究は残念ながら見られない.

-1-

第1章 序 論
1.1.1 医療用温湿度交換器(HMEF)の役割とその重要性
1.1 節「緒言」にも述べたように,医療のさまざまな状況で,呼吸管理は重要な役割を果
たしている.その主要な方法には,(1)医療用加温加湿器を用いる方法,(2)医療用温湿度交換
器(HMEF)を用いる方法,がある.これらの特徴,使用上の注意は,磨田[1) にまとめられて
いる.以下にその概要を述べ,呼吸管理における HMEF の役割を明確にし,その重要性を示
す.
(a) 医療用加温加湿器を用いる方法
Figure 1.1 に,医療用加温加湿器を示す.患者からの呼気はウォータトラップで水分を除去
したあと,人工呼吸器に送られ,二酸化炭素,酸素などの物質交換が行われる.物質交換が
終了した空気は患者に送られるが,この空気は,呼気時に水分を除去された空気であること
から,湿度は低い.また,新鮮な空気が用いられることもあるが,この場合も,手術室の空気
環境は乾燥空気であることから,人工呼吸器から送られてきた空気は加温加湿器を通り,所
定の水蒸気が添加され,適切な湿度となって患者に送られる.この加温加湿器では,水を貯
蔵する容器を有しており,貯水した容器を電熱器などで加温し,水を蒸発させ,そこに空気
を通すことにより空気の湿度を高める.この装置では,加温は主に電熱線などによって行わ
れるため,加温の程度は電力量で調整することができ,設定値に対して自動制御により湿度
を管理することも可能で,空気の湿度を精度よく制御することができる.一方,いくつかの
注意点もある.本装置は,湿度を供給するために水を貯蔵する容器を電熱線などで加温する
が,通常,その温度は体温よりも高いため,調整に不具合が生じると,患者に高温の空気を
供給することになる.また,空気に添加される水は容器に貯蔵されているため,定期的に補
充する必要がある.その補充を忘れると,乾燥空気が患者に供給されることになる.本装置
を用いる際には,患者,ウォータトラップ,人工呼吸器,加温加湿器を管路で接続し,それぞ
れの装置への電力の供給のために外部電源を準備し配線する必要がある.このような装置の
設置は,手術室などで用いる場合ある程度固定した配置が可能であるが,管路の洗浄などは
日常的に生じる注意が必要な作業が伴う.また,装置を移動して使用する際には,より慎重
な取り扱いが求められる.

Water trap

Ventilator

Heated humidifiers

Figure 1.1 Ventilator with heated humidifier

-2-

100 mm

第1章 序 論
(b) 医療用温湿度交換器(HMEF)を用いる方法
Figure 1.2 に,医療用温湿度交換器(HMEF)を示す.HMEF は,患者と人工呼吸器の間に
設置される装置であり,呼気と吸気がともに通過する.呼気時にはこの HMEF に呼気中の水
蒸気を凝縮して保持し,吸気時には乾燥した吸気に保持した水を蒸発添加して人に送る.本
装置は,患者の呼気中の水蒸気,熱を用いて吸気時の温度・湿度を確保しようとするもので
あり,可動部がなく,本装置を使用するための電力も必要としない.さらに,HMEF は構造
が単純で安価(表示価格 1,000~2,000 円程度)であるため,使用後は基本的に使い捨てとな
り,衛生面でも優位性がある.
以上のような特徴を有していることから,近年,加温加湿器のかわりに使用されることが
増えている.また,運搬だけではなく使用法も容易であることから,電源が確保できない屋
外などでの救急医療などでも使われるようになってきており,その重要性が増している.

Ventilator
HMEF
100 mm

Figure 1.2 Ventilator with heat and moisture exchanger with filter

医療用温湿度交換器には,近年,ふたつの役割を持たせていることが多い.ひとつはこれ
まで述べてきた温度湿度交換機能であり,他の一つは患者の呼気による器械の汚染を防ぐた
めのフィルター機能である.当初,医療用温度湿度交換機は,フィルター機能については配
慮されていなかったため,英語では,Heat and Moisture Exchanger (HME)と呼ばれていたが,
その後フィルター機能が追加されるようになり,英語では Heat and Moisture Exchanger with
filter(HMEF)と呼ばれるようになってきた.本研究では,温度湿度交換機能のみに着目して
研究を行ったが,その一般的な用語として,近年,Heat and Moisture Exchanger with filter(HMEF)
が定着してきていることから,本研究ではフィルター機能のあるなしに関わらず医療用湿度
温度交換器を HMEF と記述する.

1.2 従来の研究
温湿度交換器(HMEF)は,医療分野で用いられているため,これまで,医療分野での使用
に関する研究が多く報告されている.また,その基礎特性や温湿度交換の機構を基礎的視点
から検討した研究,開発,製造に関連した研究など工学分野の研究も多くみられる.そこで
本節では,1.2.1 項に医療分野,1.2.2 項に工学分野のこれまでの研究をまとめる.このなかに

-3-

第1章 序 論
は,ヒト介入試験を行っているものがみられるが,患者によるヒト介入試験を行っているも
のは医療分野に,健常者によるヒト介入試験を行っているものは工学分野に分類した.

1.2.1 医療分野
温湿度交換器(HMEF)は医療用機器であるが,その効果は,風邪を引いた際に,唾液など
の飛散防止のためにマスクを用いると,マスクが徐々に濡れて,特に乾燥した冬場などには,
吸気が若干湿り,温かく,喉にやさしく感じる経験から想像できよう.
このような吸気を加温加湿する方法を医療に取り入れようという発想として確認できる最
初の文献資料は, Wilkes [2]の review によると, 1842年のJeffreys [3] の論文にまでさかのぼ
ることができる.Jeffreys は,肺の人工環境の要因を,天然の混合気体である空気,温度(温か
さ),湿度としているところが興味深い.その後,1950年代あたりから,医療技術の著しい進
歩により,全咽頭摘出などが行われるようになると,人工的な呼吸管理が高度化し,呼吸器
系の疾患の患者などに吸気の温湿度管理が適切に行われるようになってくる.そのような医
療技術の進展に呼応して,HMEFも盛んに開発,供給,使用されはじめ,多様なHMEFが医療
現場で用いられるようになる.そのようななかで,異なったHMEFの性能評価や,加温加湿装
置との比較などがなされるようになる.Shelly et al. [4] は,5種類のHMEFを比較検討している.
とくに,当時広く用いられるようになってきたPall Ultipor Breathing System Filter (BB50) につ
いては,バクテリア除去フィルターとしての能力が高いことを評価している.ただし,Replyak
[5]

は, Shelly et al. [4]の論文において,Siemens Elma Servo Humidifierで,Fiberglassが用いられ

ていると書かれているが,実際には用いられていない旨,メーカーからの訂正が行われてい
ると指摘している.また,Gallagher et al. [6] は,28名の機械的呼吸補助を必要とする患者に,
最大22日間Pall Ultipor Breathing System Filter (BB50T)を用いた結果,その有用性を示す結果を
得たことを述べている.以上のように高い評価を得た Pall Ultipor BB50T ではあったが,そ
の後,いくつかの事故例が報告される.Turner and Wricht [7] は,Pall Ultipor Breathing System
Filterを21才の呼吸器疾患を有する患者に14日間連続して用いた時に,分泌物が気管導管を覆
うという問題が発生したことを報告している.この報告に対して,製造会社 Pall Medhical Ltd.
のLowe et al. [8] は,製品 (Pall Ultipor Breathing System Filter) には問題はないことを述べている
ものの, Kong et al. [9] は,Pall Ultipor heat and moisture exchanging filter (BB50T) を用いた際,
管内の堆積物によって流量測定に誤動作があったために,不具合の発見が遅れたことを報告
しており,その改善方法を提案している.一方,Hilgers et al. [10] は,6週間,全咽頭摘出を行
った42名の患者にHMEFを用いた結果,空気流路の清浄化とともに,喀痰の発生や胃への分泌
物蓄積,などが抑えられたことを明らかにしている.また,疲労感,倦怠感が顕著に弱まり,
社会的コンタクトが改善されたほか,音声プロテーゼを用いる患者よりも食道外音声または
口頭鏡を用いる患者に効果が見られたことを報告している.Kapadia et al. [11] は,加温装置と
水供給装置を付加的に設置したHMEFの性能について,通常のHMEFと比較検討した結果,良
好な結果を得たことを報告している.Chiaranda et al. [12] は,ICUにおいて,24時間使用した
時の最新のHMEFの性能を評価し,とくに圧力抵抗についての議論を詳細に述べている.

-4-

第1章 序 論
Millqvist, et al. ...

この論文で使われている画像

参考文献

A4-1

三井斌友,微分方程式の数値解法Ⅰ,岩波講座応用数学/甘利俊一 [ほか] 編集,岩

波講座 応用数学[方法 3]

,岩波書店,1993,pp.41-50.

- 150 -

付 録

付録の図,表

付録 1

Figure A1.1

Heat transfer of thermocouple

付録 2

Figure A2.1

Numerical model

Figure A2.2

Initial conditions and boundary conditions

Figure A2.3

Figure A2.4

付録 3

Figure A3.1

Periodic flow pattern

Time variation in the mole fractions of water vaper and, water liquid, and temperature

Figure A3.2

Effect in KMi

Figure A3.3

Effect in KHe

Figure A3.4

Effect in KHi

付録 4

Figure A4.1

Figure A4.2

Figure A4.3

Figure A4.4

Figure A4.5

Figure A4.6

Figure A4.7

Figure A4.8

Effect in KMe

Comparison between the Runge-Kutta method and the Euler method at 𝜏B =360 s

(a), (b): Runge-Kutta method, (c), (d): Euler method.

Comparison between the Runge-Kutta method and the Euler method at 𝜏B =256 s

(a), (b): Runge-Kutta method, (c), (d): Euler method.

Comparison between the Runge-Kutta method and the Euler method at 𝜏B =64 s (a),

(b): Runge-Kutta method, (c), (d): Euler method.

Comparison between the Runge-Kutta method and the Euler method at 𝜏B =16 s (a),

(b): Runge-Kutta method, (c), (d): Euler method.

Comparison between the Runge-Kutta method and the Euler method at 𝜏B =4 s (a),

(b): Runge-Kutta method, (c), (d): Euler method.

Comparison between the Euler method and the Runge-Kutta method on YH2O and Tair

in the transient case.

Comparison between the Euler method and the Runge-Kutta method on YH2O in the

transient cases.

Comparison between the Euler method and the Runge-Kutta method on Tair in the

transient cases.

付録 4

Table A4.1

Buther arrangement

Table A4.2

Buther arrangement for the classic Runge-Kutta method

- 151 -

本論文に関する著者の発表論文

本論文に関する著者の発表論文

定期刊行誌掲載論文

[1] 冲永佳史,蜂須賀功真,村田 誠,萩原 遼,山口雅己,江口邦久,植田利久,“塩化カル

シウムを用いた医療用温湿度交換器の過渡応答特性に関する研究”, 化学工学論文集,Vol.44,

No.6, pp.355-362, 2018.

[2] Yoshihito OKINAGA, Makoto MURATA, Toshihisa UEDA, and Takeshi YOKOMORI,

“Response of a heat and moisture exchanger containing CaCl2 to the periodic change of flow

direction”, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.1, pp.1-15, 2020.

国際会議論文(査読付の full-length papers)

[1] Yoshihito OKINAGA*, Takahiro SAKAMOTO, Kunihisa EGUCHI, and Toshihisa UEDA,

“Numerical study on the momentum, heat and mass transfer in a heat and moisture exchanger

with filter,”, Proceedings of 7th ASCON-IEEChE, pp.314-317, The 7th Asian Conference on

Innovative Energy and Environmental Chemical Engineering (ASCON-IEEChE), November

13-16, 2016, Yokohama, Japan.

国内学会発表

[1] 川井輝*,冲永佳史,山口雅己,江口邦久,植田利久,”医療用温湿度交換器の周期

応答特性に関する一次元数値解析”,化学工学会第 50 回秋季大会,paper no. FA305, 鹿

児島大学郡元キャンパス, 2018 年 9 月 18-20 日.

- 152 -

...

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