書き出し
シロイヌナズナにおけるニッケル耐性を強化する遺伝子変異の同定
概要
不良土壌の一種である重金属汚染土壌は世界中に広く分布しており、重金属毒性による作物の収量の減少は、食糧生産における大きな問題の 1 つである。重金属に分類されるニッケル(Ni) は植物にとって不可欠な微量栄養素であるが、過剰な蓄積は有毒であり、Ni 汚染土壌における作物の収量の減少が問題となっている。
これまでに、モデル植物であるシロイヌナズナにおいて、Ni の吸収に関わる遺伝子が同定され、過剰な Ni の蓄積機構が明らかにされている 1), 2)。
しかし、Ni の毒性に関わる遺伝子は未だ不明であり、Ni 毒性の発現機構はほとんど明らかにされていない。これらの原因遺伝子を同定することで、長らく明らかにされてこなかった重金属毒性の発現機構の一端を解明することやゲノム育種への応用が期待できる。そこで本研究では、所属研究室が独自に単離したシロイヌナズナの Ni 超耐性変異体を材料として、シロイヌナズナの Ni 毒性に関わる原因遺伝子の同定を目的とした。