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大学・研究所にある論文を検索できる 「Fundamentals and Applications of Visible Plasmonics: from Material Search to Photoluminescence Enhancement」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Fundamentals and Applications of Visible Plasmonics: from Material Search to Photoluminescence Enhancement

Takekuma, Haruka 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24074

2022.05.23

概要

界面における自由電子の集団振動は表面プラズモン(Surface Plasmon: SP)と呼ばれ、電場増強効果や場の閉じ込め効果を示す。SP はその光学特性から、光化学(太陽電池、光触媒)、ナノ光学(レーザー、LED)、生化学(ウイルス検出薬、ドラッグデリバリー)、芸術工学(ステンドグラス、クランベリーグラス)など様々な分野で関心を集めている。伝搬型 SP は金属基板/誘電体などの界面に生じ、プリズムを用いた全反射法などで励起できる。一方、局在型 SP は、導電性ナノ粒子(Nanoparticles: NPs)のサイズが励起光の波長と同等かそれ以下の場合に生じ、NPs の形状、サイズ、組成により制御できる。ファラデーによる Au コロイドの発色原理解明以降、可視領域の SP は、貨幣金属(Au、 Ag、Cu)とその合金を中心に調べられてきた。Au は高い化学的安定性を、Ag は高い増強度を持つという利点がある。可視光は太陽エネルギーの大部分を占めるため、可視光領域における SP 特性の探索は、基礎科学にも実用にも重要である。そこで本研究では、可視プラズモニクスをキーワードとし、第一に SP 特性の応用として、Au 基板上量子ドット多層積層膜の光学特性を調べ、第二に Ag NPs の自己組織化 2 次元膜中に孔構造を作製してその光学特性を評価し、最後に純粋科学の観点から新奇可視 SP 材料である PtIn2 NPs の合成とプラズモン特性の評価を行なった。

Au 基板上量子ドット多層積層膜の光学特性
発光デバイスの高効率化を目的として、SP による発光(Photoluminescence: PL)増強が注目されている。しかしその PL 強度及び光学特性は、プラズモン材料との距離依存性を示すなど複雑である。量子ドット(Quantum Dot: QD)は、狭い線幅や高い量子収率などの優れた光学特性を有するナノ材料であり、ディスプレイなどの光デバイス応用が試みられている。QD デバイスの設計には、金属基板上 3 次元 QD 膜の光学特性が重要であるが、現状では単一 QD の光学特性の検討が多く、3 次元に秩序化した QD の光学特性は十分に調べられていない。そこで本研究では、ナノオーダーで膜厚を制御した2 次元 QD 膜を Au 基板上に積層することで 3 次元構造を形成し、各膜厚での光学特性を評価した。その結果、PL 強度の増大とその層数依存性が確認され、これが QD 多層積層膜の高屈折率光共振器としてのメタマテリアル光学効果、QD–Au 基板間の長距離励起子–SP 結合、Au 基板によるミラー効果の 3 つの要因で説明可能であることを示した。また、光学応答は単純な有効媒質近似による有限差分時間領域(Finite-difference time-domain: FDTD)シミュレーションによって再現された。

孔構造を有する Ag ナノ粒子二次元膜の光学特性
NPs が隣接している場合、LSPR 波長はそれらの粒子間距離にも影響を受ける。そのため、自己組織化 2 次元 NPs 膜は、ドメインサイズに依存したレッドシフトや、0 次元系や 1 次元系とは異なる鋭い LSPR 吸収を示す。本研究では、疎水性基板上に凝縮した水滴をテンプレートとすることで、剛直な自己組織化 Ag NPs 単層膜にマイクロスケールの孔構造を付与する手法を開発し、得られた不連続膜の光学特性を検討した。面積あたりの粒子数が同一であるにも関わらず、多孔質膜は均一膜と異なる吸収スペクトル、屈折率、消衰係数を示した。得られた多孔質膜は、金属蒸着や局所蛍光イメージング用のマスクとして使用でき、バイオセンシングやイメージングへの応用が考えられる。

新奇可視プラズモニック PtIn2 ナノ粒子の合成とプラズモン特性評価
貨幣金属 NPs を用いた研究は数多くなされてきたが、大きな欠点として Ag や Cu は酸化されやすく、Au は高価という問題がある。しかし、貨幣金属を含まずに球状で可視 LSPR を示す材料はほとんど報告されていなかった。また、近年、Au NP の光励起電子ダイナミクスが計算され、可視 LSPR にはバンド間遷移だけでなく、可視光による束縛電子の振動、すなわち「スクリーニング」が LSPR 特性を決定する重要な因子であることが指摘された。貨幣金属を用いた合金の多くは面心立方(fcc)ベースの結晶構造であるため、スクリーニング効果を制御するための電子構造と結晶構造の相関は不明なままであった。本研究では、新奇可視プラズモン材料として C1-PtIn2 NPs を合成し、紫外可視分光法、電子エネルギー損失測定、表面増強ラマン散乱、第一原理計算により 550 nm 付近の可視 LSPR を確認した。また、合金 NPs での可視プラズモン実現には、フェルミ準位近傍での sp 電子の集団振動、d 電子のバンド間遷移、束縛 d 電子の遮蔽効果のバランスを最適化することが重要であることが理論的に示唆され、結晶構造や合金組成がそのバランスを調整する制御因子になることを示した。以上の知見は、プラズモニックナノ合金群の台頭を促し、従来のプラズモニック材料の物理的・化学的性質を凌駕する新たな合金材料の創製をもたらすことが期待できる。

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