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大学・研究所にある論文を検索できる 「救急外来を受診した子どもの保護者が認識するHealth Locus of Controlの親尺度の関連要因の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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救急外来を受診した子どもの保護者が認識するHealth Locus of Controlの親尺度の関連要因の検討

内藤, 晃子 大阪大学

2022.02.28

概要

15歳未満の人口は減少傾向だが、初診料/再診料の時間外・休日・深夜加算の算定回数は横ばいで推移している。子どもを心配するあまり救急外来へ向かう保護者は多いが、受診した子どもの90%は入院を必要としないとの報告もある。保護者の不安の解決を救急外来に求めるだけでなく、子どもの病状に応じた保護者の受診行動のための支援も重要である。子どもの発熱を主訴に救急外来を受診した経験がある母親15名への半構造化面接より、Health Locus of Controlのうち、「保護者の行動で子どもの健康が決まる」との保護者の認識が高まると、急病時、保護者は不安を増大することなく子どもの病状に応じて対処できる可能性があると考えた。そこで本研究では、救急外来に受診した保護者の認識をParent Health Locus of Control (PHLOC)Scalesの親項目尺度で測定するため日本語版を開発し(研究1)、Health Belief Modelを概念枠組みとして親項目尺度への関連要因を検討した(研究2)。

【研究1】PHLOC尺度は、親、子ども、医療者、メディア、運、神のうち、どれがどの程度子どもの健康を決めると親が認識しているかを6件法で測定する計30項目自記式尺度である。得点が高いほど、保護者は、その項目が子どもの健康により影響すると認識していることを示す。原著者の許諾を得て翻訳後、母親13名にパイロットテストを行い日本版PHLOC尺度とした。保健センター・保育所等にて依頼した6歳児以下の保護者231名の回答を用いた。Shapiro-Wilk検定の結果、合計得点は正規分布であった。サブスケールにおいて、Cronbachα係数は0.73-0.93、再テスト法の級内相関係数0.80-0.90、内的整合性・再現性を確保できた。探索的因子分析の結果、1項目を除き原版と同じ因子構造であり、以上より日本版PHLOC尺度は日本の保護者に適応できることを確認した。

【研究2】当該医療圏(4市2町)にて夜間・時間外診療を担う広域一次小児救急センターを受診した15歳以下の子どもの保護者に自記式質問紙調査を実施した。本調査に先立ち、受診した子どもの保護者51名とその診察をした小児科医に調査したところ28.6%が受診の必要がなかったと小児科医が回答し、2次後送病院への紹介は2%であったが、保護者の6割が診察前に不安を感じていた。また、「子どもの健康管理におけるかかりつけ医の活用尺度」5項目、「子どもの救急外来受診に伴う利益と障壁の認識尺度」7項目、いずれも6件法を作成し、幼稚園児の保護者35名に予備調査の後、本調査で使用した。本調査では304名(有効回答27%)を分析した。未就学児が187名(61.5%)、第一子は180名(59.2%)で、現在・過去に定期的な通院治療歴がない子どもは229名(76.8%)だった。過去6か月間の子どもの救急外来受診歴は、121名(40.2%)にあり(以下、受診歴あり群)、親項目尺度得点の平均は、この受診歴がない保護者が有意に高かった。子どもの救急外来受診歴の有無で2群に分け分析した結果、受診歴あり群は、子ども・保護者の年齢、日本語版ソーシャル・サポート尺度のうち家族/大切な人のサポート、いずれも有意に低く、子育てに不安を感じていた(p=0.044)。親尺度得点と有意な相関関係を認めたのは、受診歴あり群が「障壁の認識」(rs=0.279,p=0.002)、受診歴なし群は「利益の認識」(rs=0.221,p=0.003)、「子どもの健康管理におけるかかりつけ医の活用尺度」(rs=0.210,p=0.005)だった。

【結論】「保護者の行動で子どもの健康が決まる」との保護者の認識を高めるための支援は、子どもの健康管理にかかりつけ医の活用を勧める、子どもの急病時の対処方法を考えるための情報提供が必要であることが示唆され、支援の実施により家庭での子どもの健康管理を支え、小児医療提供体制の整備の一助に繋がると期待できる。