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大学・研究所にある論文を検索できる 「Use of endoscopy to determine the resection margin during laparoscopic gastrectomy for cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Use of endoscopy to determine the resection margin during laparoscopic gastrectomy for cancer

Kawakatsu, S. 川勝, 章司 名古屋大学

2020.04.02

概要

【緒言】
早期胃癌の治療成績は良好であり、低侵襲性と機能温存を目指した治療として内視鏡的切除や腹腔鏡下胃切除が広く行われている。近年では腹腔鏡下胃切除は手術手技の向上と手術器具の進歩に伴って腹腔鏡補助下から完全腹腔鏡下へと移行している。またQuality of life向上のために早期胃癌に対しては胃全摘を避け、噴門側胃切除や幽門温存胃切除、胃亜全摘などの機能温存を追及した術式が選択されることも増えてきている。完全腹腔鏡下胃切除では触覚の欠如のために術中に腫瘍の位置を同定することが難しく、胃切離ラインの決定が困難である。完全腹腔鏡下胃切除において術中に腫瘍の位置を同定するために様々な方法が試みられているが未だ標準化された方法は存在しないのが現状である。我々は術前内視鏡によるマーキングクリップ留置と術中内視鏡を組み合わせた方法で腫瘍位置の同定を行って胃切離ラインを決定しており、本法の有用性の検証を試みた。

【方法】
2012年3月から2015年7月の期間で胃癌に対して腹腔鏡下胃切除を施行した959例を対象とした。腹腔鏡補助下胃切除症例、開腹移行症例を除外し術前内視鏡によるマーキングクリップの留置、術中内視鏡による胃切離線の決定を行った完全腹腔鏡下胃切除症例の断端陰性率を検討した。

胃切離ライン決定法
・術前内視鏡によるマーキングクリップ留置(Fig.1)
複数の内視鏡医によって詳細な観察を行い、範囲診断・深達度診断を行う。病変部の生検で癌を確認するとともに、病変部から5-10mmの位置で口側・肛門側の陰性生検を行う。手術の数日前に再度内視鏡を行い、陰性を確認した生検部にクリッピングを行う。

・術中内視鏡による胃切断ライン決定(Fig.2)
見下ろしの視野でマーキングクリップを確認する。内視鏡画面と腹腔鏡画面の両方を見ながら、胃漿膜面からもマーキングクリップの位置を確認し、ピオクタニンでマーキングを行う。内視鏡を食道まで引き抜き、胃切離のため自動縫合器を挿入する。病変が小彎側にあれば小彎側から、大彎側にあれば大彎側から挿入している。自動縫合器はあらかじめ設定した切離ラインに沿って小彎または大彎に垂直にかける。小彎側または大彎側から約半分の胃壁をクランプし、残り半分はクランプされていない状態にしておく。再度内視鏡を胃内に挿入し、マーキングクリップが観察できない状態となっていることを確認する。切離ラインとマーキングクリップの距離が2cm以上あると考えられる症例ではこの見下ろしの視野で1回目の胃切離を行っている。切離ラインとマーキングクリップの距離が2cm未満と考えられる症例ではクランプされていない側から切除側となる胃内に内視鏡を進め、送気後に内視鏡を反転させる。この見上げの視野でクランプ部の肛門側にマーキングクリップが観察できることを確認し、必要に応じて自動縫合器の位置を微調整した後に1回目の胃切離を行う。1回目の切離に続き、予定切離ラインに沿って切離を行い、胃切離を完了させる。

【結果】
完全腹腔鏡下胃切除で術中内視鏡を用いて切離線を決定したのは522症例(幽門側胃切除310例、幽門保存胃切除141例、噴門側胃切除69例、残胃幽門側胃切除2例)、662断端であった。初回切離でマーキングクリップを含めた切離成功率は99.8%(661/662)であり、1断端でクリップ残存のため追加切除を行った。また内視鏡的粘膜下層剥離術後ですでに腫瘍が存在しない症例を除いた初回切離での切離断端陰性率は98.9%(550/556)であった。初回切離での術中迅速病理診断で陰性が確認できなかった6断端で追加切除を行い、断端陰性を確認した(Fig.3)。

【考察】
初回切離での術中迅速病理診断で陰性が確認できなかった6断端は、3断端で陽性、残り3断端で異形細胞を認めるとの結果であった。同切片を永久標本で確認すると、陽性となった3断端は低分化癌を主体とする深達度SSの進行癌であり、粘膜下を這うように進展していた。異形細胞を認めた3断端のうち1断端は粘膜内進展、2断端は炎症細胞浸潤のみで陰性であった。追加切除後の永久標本による最終診断では全断端が陰性となった。

本方法は手術手技のみならず、術前診断、術中内視鏡、術中迅速病理診断と、各部門の協力が必要不可欠であり、マンパワーの豊富な施設でなければ施行することは難しいと思われる。また約1%の症例で術前内視鏡診断の限界のため、追加切除を要しており、術前診断の限界を念頭に置き、必要に応じて術中迅速病理診断を併用することが望ましく、特に機能温存を目指した術式では必須であると考える。悪性腫瘍の手術では、病変部を確実に切除することが最も重要であり、その上で機能温存の可能性を追求できることを考慮し、術式を決定すべきである。

【結語】
術前・術中内視鏡を用いた胃切離ライン決定法は、触覚の欠如した完全腹腔鏡下胃切除における早期胃癌の局在を同定する方法として非常に確実性の高い方法であった。本方法を用いても追加切除を要する症例が存在することを念頭に置き、癌の確実な切除を心掛けるべきである。

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