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大学・研究所にある論文を検索できる 「肺がんの進展における免疫抑制性受容体LILRB4の役割についての検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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肺がんの進展における免疫抑制性受容体LILRB4の役割についての検討

熊田 早希子 東北大学

2022.03.25

概要

抗 PD-1、抗 PD-L1、抗 CTLA-4 などの免疫チェックポイント阻害薬療法は、腫瘍の免疫逃避を防ぐことにより、様々な種類のがん患者の予後を改善した。しかし、一般的には、これらの治療を受けた患者の 50%以上には効果がないとされている。近年、骨髄由来抑制性細胞(MDSCs)ががんの進展を促進する役割を果たしていることが明らかになり、一方で MDSCs に白血球免疫グロブリン様受容体 B4(ヒト LILRB4 (B4)/ILT3、マウスではその相同受容体である gp49B)が発現していること、さらに基礎研究において LILRB4/gp49B とがんの進展との関連を示唆する報告も散見されるようになった。

本研究では、肺がんの進展における LILRB4/gp49B の役割を、特に MDSCs との関連から検討することを目的とした。肺がん転移モデルマウスでは、LILRB4/gp49B ノックアウトによって転移が抑制され、その機序として、 gp49B-/- MDSCs と共培養したマウス肺がん細胞は増殖や遊走が抑制されることを示した。また、この MDSCs の作用に、gp49B-/- MDSCs における TGF-β、IL-10、VEGF-αなどの腫瘍進展促進的に作用する物質の遺伝子発現の減少、抗腫瘍性 TNF-α遺伝子の発現増加の関与が示唆された。さらに、gp49B-/-転移モデルマウスの血漿中では、抗腫瘍性 exosomal micro-RNA miR-1a-3p、miR-133a-3p、miR-206-3p の発現量が増加しており、 LILRB4/gp49B 阻害による転移抑制の機序に関与している可能性がある。抗 gp49 抗体と抗 PD-1 抗体の併用によってがん進展を抑制できることも明らかとなり、臨床応用への可能性も示された。

外科的に切除された非小細胞肺がん検体を用いた検討では、B4 陽性細胞浸潤レベルが高い腺がん患者において、病理学的予後不良因子の一つである血管侵襲陽性症例が有意に多いことが明らかになった。また、腺がん病理病期Ⅰ期の患者、MDSCs のマーカーである CD33 陽性患者に限定したサブグループ解析では、それぞれ B4陽性細胞浸潤レベルが高い群では低い群に比べて有意に無再発生存が不良であり、B4 高発現は、これらの患者群における無再発生存を不良にする独立した予測因子であった。

以上の結果から、LILRB4/gp49B 免疫抑制機構は肺がんの進展に関与し、その機序としてがん微小環境において MDSCs から分泌される液性因子や血漿中で増加する exosomal micro-RNA を介した免疫抑制が関与している可能性が示唆された。LILRB4 を標的とした免疫抑制機構の阻害治療は、肺がん患者にとって新たな治療法となる可能性がある。

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