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大学・研究所にある論文を検索できる 「Paclitaxel exposure downregulates miR-522 expression and its downregulation induces paclitaxel resistance in ovarian cancer cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Paclitaxel exposure downregulates miR-522 expression and its downregulation induces paclitaxel resistance in ovarian cancer cells

宮本, 真由子 大阪大学

2021.02.28

概要

〔目的(Purpose)〕
卵巣癌は我が国において年々増加しており、厚生労働省の統計では2011年の罹患者は9314名であったが、2016年には13338名と急増している。現病死するものは4784名であり、約3分の1の患者が死亡する“致死的な”疾患である。卵巣癌の治療は手術に続いてパクリタキセル(PTX)とカルボプラチンを中心とした化学療法が行われ、治療により進行癌患者の約8割が一時的な完全寛解が得られるが、その約2/3が再発し、再発を繰り返すうちに抗癌剤に対する耐性を獲得し、最終的には死亡に至る。従って、卵巣癌の治療成績向上のためには抗癌剤に対する耐性獲得メカニズムの解明とその克服が必要である。過去にカルボプラチンを始めとする白金製剤に対する耐性獲得に関する基礎的な報告は複数存在するが、PTX耐性獲得のメカニズムに関する研究は未だ少ない。ヒトでは、ゲノムにコードされる2500種類以上のマイクロRNA(miRNA)が時に重複しながら様々な遺伝子の転写翻訳を抑制している。そして、その半数以上が癌遺伝子の近傍に存在し、発癌、癌の進展に重要な役割を果たしている。そこで、今回卵巣癌におけるPTX耐性獲得のメカニズムの解明を目的とし、その原因をmiRNAに求め、PTXに対する耐性獲得に関わる役割を明らかにすることにした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
卵巣癌細胞株SKOV3ip1とHeyA8に対してPTXを添加し継続培養することにより、PTX耐性卵巣癌細胞株を作成し、各々の親株、耐性株を用いてmiRNA microarrayによるmiRNA発現解析を行った。両細胞株で0.5倍以下に発現が低下する5つのmiRNAを抽出した。miRNART-PCR法による確認試験を行い、PTX持続投与により卵巣癌細胞において発現が低下するmiR-522-3pを抽出した。まずmiR-522-3pの卵巣癌臨床における意義を明らかにするべく、Public databaseによる解析を行い、miR-522の発現が低いと無病生存期間および全生存期間が有意に短く、予後因子の1つである可能性が示された。次にmiR-522の役割を検証するため、PTX耐性株にmiR-522を、親株にmiR-522阻害剤を導入し、PTXに対する感受性をMTS assayで評価した。耐性株にmiR-522を強制導入すると、PTXに対するIC50値が低下、即ち、PTXに対する感受性が増した。逆に親株にanti-miR-522を強制導入するとIC50値は上昇し、PTXに対する感受性が低下した。結果miR-522-3pにより卵巣癌細胞におけるPTX感受性が制御できる可能性が示唆された。そこで、miR-522-3pの標的遺伝子を検索するため耐性株にcontrol miRNAとmiR-522-3pを強制導入した細胞よりRNAを抽出し、細胞周期に焦点を当ててmi RNART qPCR arrayを行った。発現が低下している複数の細胞周期関連遺伝子の中から、過去の報告をもとに、E2F2を抽出した。E2F2のLuciferase reporter assayを行い、miR-522-3pがE2F2の3’UTRと直接結合し、発現を制御していることを証明した。そこでE2F2の発現をWestern BlotとRT-PCRで確認し、親株に比較してPTX耐性株においてE2F2の発現は増加していることを確認した。更に耐性株にmiR-522-3pを強制導入することによりE2F2の発現が低下することを確認した。続いてE2F2のPTX耐性化に関するメカニズムを明らかにするべく、PTX耐性株にE2F2-siRNAを用いてE2F2の発現をknockdownした。E2F2をknockdownするとPTXに対するIC50値が有意に低下しPTXに対する感受性が増した。即ち、E2F2の発現がPTX耐性を制御していることが判明した。細胞周期解析とWestern blot法による蛋白発現解析をおこない、E2F2の発現抑制により、E2F2の下流である細胞周期のG1/SチェックポイントにおけるRbのリン酸化が抑制され、卵巣癌細胞株においてG1/Sarrestが起こることを確認した。

〔総括(Conclusion)〕
PTXの持続投与により、卵巣癌におけるmiR-522-3pの発現が低下することを証明した。miR-522-3pの発現低下に伴い、PTX耐性株ではE2F2の発現が増加していた。miR-522-3pの強制導入およびE2F2のKnockdownによりE2F2の発現が低下し、PTXに対する耐性が部分的に解除された。即ち、卵巣癌におけるPTX耐性の獲得にmiR-522-3pが関与していることを報告し、新たな治療標的としての可能性を提示した。

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