リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Association between dysphagia risk and unplanned hospitalization in older patients receiving home medical care」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Association between dysphagia risk and unplanned hospitalization in older patients receiving home medical care

Watanabe, Kazuhisa 渡邊, 一久 名古屋大学

2020.04.02

概要

【緒言】
慢性疾患の管理が必要な高齢者にとって、特に日常生活における自立度が低下した場合、外来を訪れることは困難な場合がある。したがって、高齢者の慢性疾患の管理は外来や入院管理だけでなく、在宅医療の提供が重要である。現在、約 18 万人が訪問医療を受けており、その 92%が高齢者である。在宅高齢者の多くはフレイルであるが、フレイルは緊急入院の危険因子の一つである。一方で、フレイルの進行に伴い、多くの在宅高齢患者は嚥下機能の低下を有する傾向がある。嚥下障害の原因は、脳血管障害、老化、体力の低下、神経筋疾患、および認知症を含むが、サルコペニアによる嚥下障害は入院に独立した危険因子ある。嚥下障害は、栄養状態を悪化させ、食べる楽しみを減らし、肺炎につながる可能性がある。食事量減少はまた栄養失調と体重減少につながり、感染症、心臓病、脱水症状などの急性疾患による予期せぬ入院につながる。訪問診療においてはいかに入院を回避し,患者が在宅で療養できるかが大きな意義を持っており、QOL 低下を避けるため予期せぬ入院を避ける必要があるが、いまだ訪問診療における予期せぬ入院に影響を与える因子はいまだ明らかになってない部分が大きい。我々はその因子について嚥下障害に着目して後方視的に検討した。

【対象及び方法】
我々は訪問診療をうける高齢者の医療の在り方を検討するためのコホート研究 (Observational study of Nagoya Elderly with HOme MEdical care;ONEHOME)を行っており、名古屋市およびその周辺の在宅医が訪問診療を開始した際に同意を得られた患者を登録し、その後のイベントを追跡している。フォローアップデータは、2012 年 12 月から 2017 年 3 月の間に収集されている。本研究は ONEHOME に登録された患者の性別、年齢、Charlson Comorbidity Index(CCI)、薬剤種類数、Dysphagia Severity Scale(DSS)、 Mini Nutritional Assessment -Short Form(MNA-SF)、Barthel Index(BI)、Frailty Index(FI)、認知症自立度を共変数として初回入院までの経過日数を Cox 回帰分析により検討した。DSS の 1〜4 点は、誤嚥を伴う嚥下障害として Low DSS 群に分類され、5~ 7 点は誤嚥を伴わない嚥下障害もしく嚥下障害のない症例として High DSS 群に分類された。

【結果】
178 人の登録患者のうち 86 人が 4 年間の研究期間中に入院した。患者のベースライン特性を Table1 に示す。High DSS 群の患者数は 140 名(78.7%)、Low DSS 群の患者は 38 人(21.3%)であった。DSS、BI、MNA-SF、認知症自立度および FI は、High DSS 群よりも Low DSS 群で有意に低かった(Table1) 。入院契機となった疾患を Table2 に示す。合計 86 名(48.3%)の患者が予期せぬ入院を経験した。86 名の入院のうち、肺炎が 24 人(27.9%)で、High DSS 群では 15 人、Low DSS 群では 9 例であった。Low DSS 群の方が肺炎で入院する患者の割合が高かったが、統計学上の有意差はなかった (p=0.109)。Cox 回帰分析の結果、Low DSS 群では、年齢、性別、BI、CCI、MNA-SF および認知症自立度を調整したうえで、予期せぬ入院と有意に関連していることがわかった(Table3;HR=2.292、95%CI 1.296-4.052、p=0.004)。一方で Model2 として、BI、 CCI、MNA-SF、および認知症自立度に変えて、FI を共変量に変更したところ、Low DSS群は年齢、性別、FI を調整したうえで予期せぬ入院と有意に関連していた(Table3;HR 1.700、95%CI 1.030-2.805、p=0.038)。DSS のスコアが低い、すなわち嚥下障害のリスクが高いことが予期せぬ入院と有意に関連していることが示された。

【考察】
本研究では、嚥下障害のリスクは、訪問診療を受けている高齢患者の予期せぬ入院と有意に関連していることがわかった。嚥下障害リスクを有する患者は、BI のレベルが低く、栄養状態が悪く、認知機能が悪化し、フレイルであった。BI、栄養状態の低下、認知機能の低下は、急性期入院に関連していることが先行文献で示されている。多変量解析では、DSS は訪問診療患者における予期せぬ入院の独立した予測変数であったものの、BI、低栄養、認知機能に関しては関連がなかった。本研究に参加した在宅高齢患者は、これまでの先行研究よりもよりフレイル(平均 FI 0.24±0.13)であった。このようなフレイルで、かつ入院リスクの高い集団においては嚥下障害リスクが BI、低栄養および認知機能低下よりも強い予測因子であることが示唆された。原因疾患を分析すると、Low DSS 群では肺炎入院の割合が高かった(37.0%)。嚥下障害は、地域在住高齢者における肺炎の入院の危険因子であることが先行文献から明らかであるが、在宅高齢患者の肺炎についても同様に関連していることを示唆される。肺炎以外の疾患に関して、嚥下障害と予期せぬ入院との関連についてはいくつかの理由が考察される。嚥下障害リスクを有する高齢者は神経疾患の有病率が高い。本研究では、Low DSS群患者の 44.7%が脳卒中の既往歴を有し、High DSS 群患者の 27.9%と比して有意に多かった。神経疾患の既往を有する患者は先行文献で予期せぬ入院に関連していることが知られている。また嚥下障害のリスクがあることは口腔衛生の悪化、消化管機能の低下、薬物代謝能の低下など、いくつかの要因が感染症を含む有害事象に寄与する可能性がある。また嚥下障害リスクは、薬物アドヒアランスを低下させることが知られており、入院に結び付いた可能性がある。本研究の limitation としては訪問診療患者のみが含まれ、参加者数が比較的少なかったこと、訪問診療開始後の最初の入院のみを調査し、2 回目以降が解析されていないこと、また嚥下内視鏡や嚥下造影検査による直接評価が行われてないことがあげられる。

【結語】
本研究では、訪問診療を受けている高齢者において、嚥下障害と予期せぬ初回入院を予測するが示された。この結果によって、嚥下障害がこの在宅高齢患者において、嚥下障害のリスクを評価することが予後を推定する重要な因子であることを示唆された。高齢者の訪問診療においては、予期せぬ入院を回避し、QOL を維持した上で在宅療養を継続することが重要である。嚥下障害にも注目した上で予後予測することで、患者や医療従事者に有用な情報を提供することができることが期待される。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る