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大学・研究所にある論文を検索できる 「Dexamethasone resets stable association of nuclear Snail with LSD1 concomitant with transition from EMT to partial EMT」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Dexamethasone resets stable association of nuclear Snail with LSD1 concomitant with transition from EMT to partial EMT

奥田 哲史 広島大学

2022.03.23

概要

口腔扁平上皮癌は,上皮から間質への浸潤に始まり,脈管内移動を経て転移巣を形成する.上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition,以下,EMT)は,上皮細胞が可逆性に間葉細胞に転換する生理的プログラムで,癌細胞は浸潤・転移する過程でこれを利用する.近年,EMTは単純な上皮・間葉の2極ではなく波のような多相性を持ち,癌細胞が上皮形質と間葉形質を兼ね備えた中間相が段階的にも存在することが報告されてきた.この中間相/段階はpartial EMT(以下,pEMT)と呼称され癌のいち表現型として着目されている.さらに,EMTによる定常的間葉形質獲得後であっても間葉上皮転換(Mesenchymal to Epithelial Transition,以下,MET)が上皮形質への可塑性を担保している.また,Epigeneticな制御がこの多段階的かつ可逆的な性質を制御することに注目が集まっている.EMT誘導性転写因子Snailの標的遺伝子転写制御にはヒストン脱メチル酵素LSD1との会合が重要な役割を果たしていることが知られており、本研究では,pEMT-EMTの状態がSnail結合クロマチンでのLSD1とSnailの複合体形成を通じ調節される可能性を検討した.

 申請者は舌癌由来細胞株OM-1にSnailをコードするSnai1を導入した,Vimentinの転写活性を示しながらもCDH1の転写抑制がないpEMT表現型を示す細胞株(pEMTOM-1Snai1)に着目した.pEMTOM-1Snai1は,安定したpEMT状態を示したが,条件依存的にEMTが誘発され、シングルセルクローニング法にて定常的に間葉形質を示し,上皮形質は完全に抑制された細胞株(EMTOM-1Snai1)を樹立することに成功した.本研究では,このEMTの多段階性を再現する3つの細胞株OM-1,pEMTSnai1,EMTOM-1Snai1を材料として用いた.まずEMTの可逆性を再現するために,細胞外刺激によってEMTOM-1Snai1からpEMTへのMETを誘導することを試み,デキサメタゾンへの長期的な暴露が定常的EMTを定常的pEMTに逆変換することを発見した.この成果により,核内SnailがpEMT-EMTの行き来において結合クロマチン領域にEpigeneticな調節を伴うことを検証できることになった.まず,直接ヒストン修飾活性を持たないSnailがヒストン脱メチル化を誘導するための結合パートナーのLSD1に焦点を当てた.近接ライゲーションアッセイ(以下,PLA)を使用し,OM-1,pEMTOM-1Snai1,EMTOM-1Snai1においてSnail-LSD1複合体を視覚化した.Snail-LSD1複合体は核内スポットとして検出されスポット数を定量化した結果,EMTOM-1Snai1においてSnail-LSD1複合体の数は著明に上昇し,デキサメタゾンによりEMTOM-1Snai1をpEMTへ逆変換すると,その数が減少した.このことは,核内Snail-LSD1複合体の数でpEMT-EMT状態が代弁できることを示した.次にLSD1は,結合したクロマチン領域のヒストンメチル化マークを変化させることから基質となるメチル化されたH3K4またはH3K9とSnailの間にPLAを行い,Snail結合クロマチン領域のヒストンメチル化マークを分析した.EMTOM-1snai1におけるデキサメタゾン依存的pEMTへの逆行に伴い,Snail結合クロマチン領域にはH3K9me1が集積した.すなわち,デキサメタゾンによってSnail結合クロマチンからLSD1が解離した際,H3K9me1は脱メチル化を回避し集積した.

 以上の結果より,核内SnailとLSD1のクロマチン上での会合とヒストンメチル化マークの変動がpEMTとEMTの段階的行き来に伴うことが示された.このことはクロマチンに結合したSnailが周辺遺伝子の発現パターンをEpigeneticに変化させることでpEMTとEMT相を可逆的に制御することを示唆した.またデキサメタゾンがMETを誘導することより核内レセプターがSnail結合クロマチン複合体をリセットする可能性が示唆された.

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