書き出し
硫黄原子上でのアミノ基選択的な置換反応を用いる非対称ジスルフィド合成法の開発
概要
ジスルフィド類は,様々な生物活性天然物にみられることに加えて,リンカーとしての有用性などから,生命科学分野における多彩な応用が期待されている.しかし,合成難易度の高さ故にこれらの応用研究は進展していないのが現状であった.これに対して近年,脱離基を配置した硫黄試薬を用いる合成法が精力的に研究されているが,多彩な置換基の組み合わせを有する非対称ジスルフィドを合成するのは未だ容易ではない.[1]このような背景のもとで,当研究室では硫黄原子上に反応性の異なる2種類の脱離基を配置したジスルフィドプラットフォーム分子の開発に取り組んでいる.[2]
本研究では,硫黄原子上にアミノ基とイミド基を有する分子を設計し,アミノ基を選択的に活性化することで,多彩な置換基を導入する手法の開発に取り組んだ.さらに,得られた化合物をもう一度変換することで,ジスルフィド類の多様性合成へと利用した(Figure1).