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大学・研究所にある論文を検索できる 「高リスク群前立腺癌治療前MRI画像の定量的解析によるアンドロゲン除去療法併用強度変調放射線治療後の予後予測の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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高リスク群前立腺癌治療前MRI画像の定量的解析によるアンドロゲン除去療法併用強度変調放射線治療後の予後予測の検討

川端 広聖 東北大学

2021.03.25

概要

高リスク群前立腺癌の標準治療において、内分泌療法併用放射線治療は外科的切除や小線源併用外照射療法と並んで標準治療の一つである。近年では強度変調放射線治療(Intensity Intensity-Modulated Radiation Therapy; IMRT)の台頭により、高リスク群前立腺癌患者に対する線量増加が試みられているが、その予後改善は頭打ちとなっている。現在、病変の局所線量増加も試みられており、局在診断におけるMRIの重要性が高まりつつあるが、一方で予後予測の評価の指標としてもMRIの役割が期待されている。今回、予後予測因子として治療抵抗性前立腺癌の画像における特徴を探索するため、治療前MRIの定量的解析を行った。

 当院で2008年4月から2012年12月までの間に内分泌療法併用強度変調放射線治療(Intensity Intensity-Modulated Radiation Therapy; IMRT)を用いた根治的放射線治療を開始した高リスク群前立腺癌患者のうち、治療前MRIにおいて辺縁域に病変を同定できた患者65例を対象とした。これらの患者のMRI画像の辺縁域病変を描出し、MRI上の各パラメータを定量的に解析し、再発群と非再発群との差をWelchのt検定によって比較した。また、各パラメータにおいて患者を高値群及び低値群に分け、2群間の生化学的非再発期間をKaplan-Meier法によって求め、Wilcoxon検定によって比較した。

 結果として、患者背景においては再発群においてGleason score(GS)およびprimary gradeが有意に高かった(p=0.0255、p=0.0359)。画像解析においては、ADC20thpercentile低値群およびT2強調画像Interquartile range低値群で、それぞれ高値群に比べ有意に7年後生化学的非再発率が低かった(61.8%vs88.2%、p=0.0486、60.0%vs89.4%、p=0.0497)。これらのパラメータはいずれもPSA値、GS、T stageと有意な相関を示さなかった。

 過去の報告では、前立腺癌のADC値のヒストグラム解析に関する複数のパラメータとGleason score、前立腺全摘術後の生化学的再発率、active surveillance時の増大速度と有意に相関することが報告されている。前立腺癌に対する放射線治療においてもヒストグラム解析・テクスチャ解析におけるパラメータと予後との関連の報告はあるが、高リスク群前立腺癌に限ってはヒストグラム解析において有用な予後予測因子に関する知見は不足している。今回の研究において、ADC 20th percentileおよびT2強調画像Interquartile rangeと生化学的再発率との間に有意な相関が見られ、これらは既知の臨床的予後予測因子とは相関が見られなかった。ADC mapおよびT2強調画像における定量的解析が、高リスク群前立腺癌の独立した予後予測因子であることが示唆された。