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大学・研究所にある論文を検索できる 「Australasian Tektite Event : Identification of the On-land Ejecta Deposit and its Distribution across Eastern Indochina」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Australasian Tektite Event : Identification of the On-land Ejecta Deposit and its Distribution across Eastern Indochina

多田, 賢弘 東京大学 DOI:10.15083/0002006686

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

多 田 賢 弘

いまから約 80 万年前に起きた天体衝突イベント(以下、オーストラリア・アジアテク
タイトイベント)は、テクタイトと呼ばれる衝突起源の急冷ガラスがアジアから南極に及
ぶ広域に分布する、比較的最近生じた大衝突イベントである。それにもかかわらず,衝突
クレーターは特定されておらず,その実態が解明されていない。本論文は、インドシナ半
島東部における地質調査に基づき、オーストラリア・アジアテクタイトイベントによって
形成されたイジェクタ堆積物を世界で初めて認定し、その分布から衝突地点を制約しよ
うとするものである。
本論文は6章からなる。第1章は、イントロダクションであり、オーストラリア・アジ
アテクタイトイベントの先行研究のレビューと課題抽出を行ったのち、インドシナ半島
東部における陸上イジェクタ層を認定し、その層序学的特徴や分布、堆積過程を解明する
ことを主目的として掲げている。
第2章では、タイ北東部のラテライト層中から採取したテクタイト破片の集合体につ
いて、破片の形状、組成、サイズ分布に基づき、テクタイトの産状や堆積過程を詳細に検
討している。採取したテクタイト試料がオーストラリア・アジアテクタイトイベント起源
であることを地球化学的分析により確認したほか、テクタイト破片が互いに組み合わさ
ることから一塊のテクタイトが粉砕されたこと、大きなテクタイト破片のサイズ分布が
衝突起源特有のべき乗則に従うこと、などを明らかにした。この結果に基づき、テクタイ
トは天体衝突によって放出され、地表に高速衝突した直後に破砕されて堆積した現地性
のものであり、衝突後に再堆積したものではないと結論した。
第3章では、タイ北東部の地層中に、天体衝突により形成される衝撃変成石英が含まれ
ていることを鉱物学的手法により明らかにした。オーストラリア・アジアテクタイトイベ
ントによる衝撃変成石英とされるものは最近報告されていたが、論文提出者はラメラの
特徴や角度分布、イベント層中の衝撃変成石英の含有量の鉛直変化など、多角的なアプロ
ーチにより衝撃変成石英の存在を定量的に立証し、その堆積過程を議論した。そして,衝
撃変成石英を含む層準がイジェクタ層であると認定した。
第4章では、インドシナ半島東部で行った広域調査結果に基づき、各地のオーストラリ
ア・アジアテクタイトイベントのイジェクタ層の記載と認定を行った。調査範囲はタイ、
ラオス、ベトナム、カンボジアにまたがり、イジェクタ層が広範囲に分布していることに
加え、層厚や岩石・鉱物組成等に地域差が認められることも明らかにした。
第5章では、第4章で記載を行ったイジェクタ層の堆積過程を議論した。その結果、イ
ジェクタ層は下位から、衝突に伴う爆風による影響を受けながら堆積した層、イジェクタ
1

カーテン起源と考えられるテクタイトを含む礫層、細粒の降下物が堆積して形成された
シルト層または砂層からなることを明らかにした。さらに、衝突地点に近いほどイジェク
タ層の層厚が厚くなるという仮定のもと、イジェクタ層の層厚分布を統計的に解析し、衝
突地点がラオス南西部である可能性が高いことを明らかにした。
第6章では結論が述べられている。
本論文は、テクタイトと衝撃変成石英の詳細な分析を行い、ラテライト層が衝突起源の
現地性イジェクタ堆積物であることを明らかにしたことで、層序学的特徴の類似した堆
積物をオーストラリア・アジアテクタイトイベントのイジェクタ層として認定できるよ
うにしたほか、分布域が不明であったオーストラリア・アジアテクタイトイベントのイジ
ェクタ層の広域対比を可能にした点で、世界的に行われている関連研究の中でも、新規
性、独自性が認められる重要な成果である。また、衝突クレーターの発見にまでは至って
いないものの、長年不明とされてきたオーストラリア・アジアテクタイトイベントの衝突
地点を、既往研究よりも高い精度で制約することに成功しており、今後、地形・地質学的
調査あるいは陸上掘削により、衝突クレーターを発見できる可能性が高い点で、発展性を
有している。以上のように、論文提出者の本分野における貢献はきわめて大きく、博士論
文としてふさわしいものと判断できる。
なお、本論文の第2章は、多田隆治、Praphas Chansom、Wickanet Songtham、Paul
A. Carling、田近英一の各氏との共同研究であり、第3章は多田隆治、Praphas Chansom、
Wickanet Songtham、Paul A. Carling、田近英一、小暮敏博、常昱の各氏との共同研究
であるが、両章とも論文提出者が主体となって分析及び検証を行ったもので、論文提出者
の寄与が十分であると判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

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