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大学・研究所にある論文を検索できる 「SMAD4発現保持とRUNX3発現喪失は膵管癌予後不良因子となる」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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SMAD4発現保持とRUNX3発現喪失は膵管癌予後不良因子となる

廣瀬 勝也 東北大学

2020.03.25

概要

膵臓癌の遺伝子背景は解明されてきているが, その発生と進展の機序に関しては未だ不明な部分が多い.分子間の関係性を解明しその機序を理解することができれば, 膵臓癌の悲惨な予後を改善できる可能性がある.

遺伝子改変した膵臓癌マウスを使った実験において, Runt-related transcription factor 3 (Runx3) とSmad4は連携して癌細胞の局所的な増殖と転移の均衡を調節していることが報告されている. ヒト膵臓癌において, SMAD4 と RUNX3 がどのような役割を果たしているかを明らかにするため, 本研究では外科的に切除された膵管癌 101 症例において SMAD4 の発現, 変異, コピー数異常, RUNX3 の発現, KRAS の変異について調べ, それらの結果と臨床病理学的特徴との関連性について検討した. その結果, SMAD4 発現が保持されている
(retained) と判断した症例群では, SMAD4 発現が減弱 (reduced) もしくは欠失 (loss) しているとした症例群と比較して, 遠隔転移再発は有意に高頻度に認められた (n = 0.0432). また, SMAD4 発現が retained かつ RUNX3発現が喪失していた (null) 症例群では, SMAD4 発現が reduced もしくは loss であった症例群や, RUNX3 がびまん性 (diffuse) もしくは局所的 (focal) に発現している症例と比較して生存期間解析において有意に予後不良であった(n = 100, p = 0.0220, log-rank). 他の予後因子を含めた多変量解析においても, SMAD4 retained かつ RUNX3 null であった症例群は, その他の症例と比較して有意に予後不良であった (n = 100, p = 0.0290 log-rank). 以上の結果より SMAD4 は retained の状態で切除膵管癌の転移性再発を促進し, さらに, RUNX3 が存在しない状況下では有意に生存期間を短縮させることが示唆された.

RUNX3 は SMAD4 を含んだ SMADs と複合体を形成することにより標的遺伝子の転写調節を行い, それにより発がん遺伝子としてもがん抑制遺伝子としても機能することが知られている. RUNX3 を欠失した状態においてSMAD4が含まれるTGF-beta signaling pathwayは遺伝子の不安定性を促進するという報告もされており, 今回の結果においては SMAD4 retained, つまり TGF-beta signaling pathway の機能が保持された状態で, RUNX3 発現が喪失することで, 遺伝子の不安定性が高まり, 癌の成長及び転移再発の促進に寄与した可能性が考えられる.

膵管癌において SMAD4 は機能喪失をきたすことにより悪性化が進むと考えられている. 本研究の結果はそれに相反する可能性があり, 膵管癌における SMAD4 の働きを見直すきっかけとなりうる. SMAD4 と RUNX3 の関連性と膵臓癌の進展への寄与についてさらに検討を重ねることで, 膵臓癌のより画期的な診断法や治療法が発見されることが期待される.

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