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大学・研究所にある論文を検索できる 「Structural plastic changes in the motor cortices after internal capsular infarcts in macaque monkeys」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Structural plastic changes in the motor cortices after internal capsular infarcts in macaque monkeys

松田, 滉平 筑波大学

2023.09.04

概要

〔博士論文概要〕

Structural plastic changes in the motor cortices after
internal capsular infarcts in macaque monkeys
(マカクサル内包梗塞後における運動野の構造可塑的変化)

令和 4 年度

松田

滉平

筑波大学大学院 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群
ニューロサイエンス学位プログラム

目的
脳卒中後,脳構造可塑的な変化がどのように生じるかは依然不明である.そこで本研究では,
magnetic resonance imaging (MRI) 画像をもとに脳灰白質体積を算出する手法の一つであ
る Voxel-based morphometry (VBM)と免疫組織化学染色を駆使して,マカクサル内包梗塞
後における脳体積の変化と,その背景にある細胞基盤について調べた.
方法
マカクサル 5 頭 (雄 2 頭,4.5 - 8.8kg) の片側内包後脚にエンドセリン-1 を注入し梗塞を作
製した後,手指機能の回復経過を vertical slit task によって評価した.脳構造の変化を調べ
るために,梗塞前および梗塞後 3 カ月までの T1 強調画像を撮像した.撮像した画像を
SPM12 で脳灰白質,脳白質,脳脊髄液に分割した後,diffeomorphic anatomical registration
through exponentiated Lie algebra (DARTEL) を使用して脳灰白質画像の平均画像を作製
した.この時に計算された流れ場をもとに脳灰白質画像を平均画像に位置合わせし,このと
きにボクセル毎の体積算出に Jacobian modulation を適用した.次に modulation 済みの画
像をテンプレート画像 (Rohlfing et al., 2012) に位置合わせを行った.位置合わせ後のノイ
ズ除去のために画像を半値幅 2mm で平滑化し統計解析に使用した.さらに,より詳細な解
析として一次運動野 (M1)および背側運動前野 (F2/F5),
腹側運動前野 (F5/F4) に ROI を
設置し ROI 内体積を算出した.次に,これら脳体積変化の背景にある細胞基盤を調べるた
めに,SMI-32 抗体を使用して 5 層錐体細胞を可視化し,樹状突起の伸長と細胞体密度を定
量した.定量結果を健常のマカクサル 5 頭 (雄 2 頭,4.2-8.2kg) と統計学的に比較した.
結果
内包梗塞後翌日から,損傷対側の上肢および手指に限局した運動障害を確認した.手指機能
は梗塞後 1 週より回復し始め,梗塞後 3 カ月で損傷前とほぼ同じレベルまで回復した.こ
の期間を回復期間と定め,
梗塞後 1 週と 3 カ月の脳灰白質体積を VBM 解析 (nonparametric
paired t-test) によって比較した.結果,
梗塞後 3 カ月で損傷対側の吻側-腹側運動前野 (F5c)
で有意な脳体積の増加を明らかにした (統計閾値 p = 0.001,クラスター閾値 p = 0.05 [FWE
補正済み]).ROI 解析では,梗塞後 1 週に比べて梗塞後 3 カ月で損傷対側の F5/M1 の有意
な脳体積の増加と (p < 0.05),損傷側 F2/F4 の有意な脳体積の減少 (p < 0.05),および損
傷側 F7 の脳体積が減少傾向に大きくばらついていることを明らかにした.一方で,損傷側
M1 では有意な脳体積の減少はみられなかった.しかしながら,損傷側 M1 の脳灰白質体積
が梗塞サイズ (mm3) と負の相関を示したことから (r = -0.957, p < 0.05),損傷側 M1 で
は損傷サイズ依存的な構造可塑性が示唆された.組織解析では,損傷対側 F5/M1 の有意な
樹状突起伸長と損傷側運動前野 (F7/F2/F4) および損傷側 M1 で退行性変化を確認した.
特に損傷側 M1の樹状突起構造が梗塞サイズと負の相関傾向を示しており,以上の組織解
析の結果は,脳体積解析の結果と一致している.すなわち,損傷対側 F5/M1 で脳体積拡大
1

と樹状突起伸長が起こり,損傷側半球では両者の一貫した退行変性を確認した.一方で,損
傷側 M1 では損傷サイズ依存的な構造変化が示唆された.
考察
マカクサル内包梗塞後 3 カ月において,損傷対側半球の F5/M1 領域で構造可塑的な変化が
生じたと考えられる.特に F5 領域は頚髄と解剖学的な結合をもつため,脊髄介在ニューロ
ンを介した間接投射が運動機能再建に寄与した可能性がある.また,F5 領域における神経
発火が同側 M1 の興奮性を増幅させることが知られているため,M1 を介した同側性投射の
存在も示唆される.このような損傷対側半球の側性化が,活動依存的な樹状突起の可塑的変
化をもたらし脳灰白質の拡大につながった可能性がある.特に,樹状突起は脳灰白質の最大
の構成要素であることから,樹状突起構造の変化が脳灰白質体積変化の細胞基盤として考
えることができ,本研究における両者の一貫した構造変化はこれを支持するものである.こ
れまで,VBM 解析の細胞基盤や脳卒中後評価としての妥当性に関して統一的な見解は得ら
れていなかった.しかし本研究の試みは,手法としての VBM 解析の有用性を示しただけで
なく,脳卒中後の脳構造可塑性を明らかにした点で臨床上有益な知見を提供している.将来
的に,上述の対側半球の側性化や可塑性機序の検証を進めることで MRI 解析技術の臨床治
療への応用が期待できる.

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