リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Landslide controlled by geological structures : an example from eastern Hokkaido, Northern Japan [an abstract of entire text]」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Landslide controlled by geological structures : an example from eastern Hokkaido, Northern Japan [an abstract of entire text]

加地, 広美 北海道大学

2021.09.24

概要

本研究は、北海道白糠地域で発生した地すべりを対象とし、地すべりが発生する地域の地質および地質構造をマクロおよびミクロの観点から分析を行い、すべり面を形成する粘土鉱物を分析しすることで、地すべりを引き起こす環境について考察を行ったものである。

対象地すべりは、北海道釧路市西部に位置する白糠丘陵に位置する。白糠丘陵を構成する地質は主に上部始新世の狭炭層を挟む砂岩および泥岩から成る浦幌層群と上部中新世の凝灰質な砂岩~シルト岩から成る厚内層である。対象地域には背斜および向斜構造が確認されており、対象とする地すべりは撓曲部に形成されている。

対象地すべりは標高約 20〜40m の東向き斜面に位置し、その大きさは長さ約 110 m、幅 80m である。対象地すべりは 2 つのサブブロックを含み、それぞれの大きさは長さ約 60 m、幅 23 m および長さ約 25 m、幅 23m である。地すべり土塊の地表面は地すべり特有の凹凸があり、地すべり土塊内および東側のブロック側部では湧水が確認された。滑落崖の比高差は頭部で 7m、西側側部で 5m である。対象地すべりは、すべり面の上部は崩積土で構成されており、下部は基盤岩である尺別層の砂岩から構成される。2016 年 8 月に斜面崩壊が確認されたことから現在まで、変位および水位観測が行われており、現在も滑動している。

すべり面は灰色を呈しており、強く風化を受けているが、変質は受けていない。すべり面を構成する粒子の大きさは 50 µm~10 µm であり、XRD 分析の結果、非粘土鉱物は石英、長石、カリ長石が粘土鉱物はカオリン鉱物、スメクタイト、緑泥石、イライトが同定された。すべり面を構成するすべり帯の微細構造光学顕微鏡下で観察した結果、亀裂が網目状に発達しており、せん断を受けていることが示された。また、亀裂は上記の粘土鉱物で充填されている様子が確認された。

ボーリングコアを肉眼で観察した結果、対象地すべりの深部には Deformation bands と呼ばれる細脈が形成されていることが分かった。Deformation bands は幅約 1〜3cm で複数観察された。さらに、Deformation bands の形成位置には、炭層が存在する。Deformation bands を光学顕微鏡で観察した結果、1 つの Deformation bands の中に幅約 5〜10 μm の複数の bands の存在が明らかになった。本地域の Deformation bands はせん断を強く受け形成されていることが判明し、これは本地域が受けている地殻変動により形成されたものと推測した。観察された Deformation bands が弱面となり、地すべりのすべり面が形成されたことが示唆されることから、Deformation bands に含まれる粒子を画像解析により分析し、構成する鉱物粒子を XRD により同定した。
Deformation bands に含まれる鉱物粒子の平均粒径はホスト部と比較し、明らかに小さくなっており、せん断により、粒子が破壊され、細粒化したことが推測できる。また、ホスト部の粒径分布は正規分布を描くことに対し、Deformation bands の粒径は左に歪んだ分布を描いた。つまり、ホスト部の粒径は多様であるが、Deformation bands の粒径は破砕により均一化することを示唆する。さらに、鉱物の種類によって、破砕の受け方が異なることも分かった。具体的には石英や斜長石などの硬い鉱物粒子は粉砕されにくく、黒雲母などの柔らかい鉱物はへき開に沿って粉砕されやすいため、顕微鏡観察でも他の鉱物と比較し粒径の大きな石英粒子が保存されている。

Deformation bands に含まれる粒子の円磨度とホスト部に含まれる粒子の円磨度を比較した結果、Deformation bands に含まれる粒子の円磨度の方が高く、粒径への依存性が高いことが判明した。これは、もともとの粒子は角張った形状であるが、Deformation bands の形成過程において、剪断により粒子の角が切り取られ、Deformation bands に含まれる粒子の円磨度が増加したことを意味する。

Deformation bands にはスメクタイトが非常に多く含まれており、これが Deformation bandsの形成および地すべりのすべり面の形成に貢献し、地すべりの滑動を助長したものと考えられる。また、Deformation bands が炭層に沿って形成されていることから、被熱温度についても分析を行った。その結果、50℃程度の比熱を受けていることが分かった。
これらの結果から、対象とする地すべりの形成過程を考察し、対象地すべりが撓曲部に形成された地すべりであり、地質構造に規制され形成されたことを明らかにした。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る