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大学・研究所にある論文を検索できる 「Molecular pathways for development of multiple subtypes of intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Molecular pathways for development of multiple subtypes of intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas

小林 敏一 山形大学

2020.03.31

概要

【背景と目的】
膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal mucinous papillary neoplasm:IPMN)は、膵管内の腫瘍性上皮が多様な乳頭状構造をとりながら増殖する嚢胞性腫瘍で、 gastric type、intestinal type、pancreatobiliary type、oncocytic type の 4 つの subtype に亜分類され、臨床病理学的特徴と関連する。しかし、subtype 発生の分子機構は不明である。仮説として、IPMN subtype は founder となる subtype からその他 3 つの subtype へと変化して発生するのか、または、それぞれが独立して発生するのかが考えられる。本研究の目的は IPMN における subtype の発生機序を明らかにすることにある。

【方法】
複数の subtype が認められる IPMN 症例(Multiple subtypes 症例と呼称)をモデルとして subtype毎の分子プロファイルを詳細に解析し、それらの相互関係を明らかにすることで検証した。対象症例は 2010-2015 年に東北大学病院で切除され subtype 分類した IPMN107 例で、 Multiple subtypes 症例から顕微的に subtype 毎に採取した 103 個の病変を、膵腫瘍関連 38 遺伝子パネルを用いて次世代型シーケンス(NGS)解析した。

【結果】
107 例中 38 例で Multiple subtypes 症例が認められ、その内訳は 38 症例全例で gastric type が観察された。シーケンス解析の対象症例は、この Multiple subtypes 38 症例に、1 つの subtype のみ認められた 69 症例の中から pancreatobiliary type 3 例、oncocytic type 1 例、複雑な MUC染色の形態を呈した intestinal type 1 例を加えた全 43 症例とし、103 の病変の遺伝子変異の総数は 241 個、19 種類であった。内訳は、KRAS 変異が 77 個(74.8%)と最多で、次いで GNAS 変異が 64 個(62.1%)と続いた。また、共存する gastric type の群と比較した時、KRAS の変異アレル頻度はその他 subtype 群で有意に上昇しており、GNAS の変異アレル頻度は intestinal type の群で有意に上昇していた。Subtype 間で同一の KRAS 変異または GNAS 変異、あるいはその両方を有していた multiple subtypes 症例は 28/38 症例(71.3%)で、その他同一の遺伝子変異を有する症例が存在するのに対し、一方 subtype間でKRAS・GNAS 変異のいずれも有していないmultiple subtypes 症例は8/38 症例(21.1%)で、その他同一の遺伝子変異を有する症例は 1 例も認められなかった。同一の KRAS あるいは GNAS 変異を有する症例は、RNF43 変異を半数の症例で認め、一方、STK11 変異は全て同一の KRAS 変異を持ちながらも GNAS 変異を持たない症例で認めた。Subtype別の遺伝子変異個数の平均は、gastric type 1.9 個と比較した時、intestinal type 2.89 個、 pancreatobiliary type 2.63 個、oncocytic type 2.33 個と増加傾向にあり、intestinal type では有意に増加を認めた。

【考察】
IPMN subtype の分化には、KRAS 変異あるいは GNAS 変異が分化初期のドライバー遺伝子となり、gastric type を founder としてその他 3 つの subtype へ分化している可能性、KRAS 及び GNAS 変異アレル頻度の上昇や遺伝子変異個数の蓄積が影響している可能性が考えられた。また、multiple subtypes 38 全症例の遺伝子変異を詳細に検討した所、subtype の分化・進化には KRAS 及び GNAS 変異の有無や変異アレル頻度の上昇、RNF43 や STK11、遺伝子変異数の蓄積などが重要な役割を果たしている可能性が示された。そして、subtype は、①Progression pathway;同一の細胞を祖とする subtype から他の subtype に順次進行するもの、②Independence pathway;複数の subtype が独立して発生するもの、③Divergence pathway;同一の細胞を祖とする subtype から別の subtype に分岐するもの、の 3 つの経路を介して発生する可能性が示された。

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