混合型十二指腸乳頭部癌における臨床病理学的特徴と遺伝学的変化

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Clinicopathologic Features and Genetic
Alterations in Mixed-Type Ampullary Carcinoma
河田, 純

https://hdl.handle.net/2324/7157301
出版情報：Kyushu University, 2023, 博士（医学）, 課程博士
バージョン：
権利関係：Copyright (c) 2023 United States & Canadian Academy of Pathology. Published by
Elsevier Inc. All rights reserved.

氏　名：

河田　純

論文名：

Clinicopathologic Features and Genetic Alterations in Mixed-Type Ampullary
Carcinoma
（混合型十二指腸乳頭部癌における臨床病理学的特徴と遺伝学的変化）

区　分：

甲

論　文　内　容　の　要　旨

　十二指腸乳頭部癌の混合型は腸型病変（intestinal: I）と胆膵型病変（pancreatobiliary: PB）を
併せ持つサブタイプであるが、混合型の臨床病理学的特徴や遺伝子変化を調べた研究はほとんどな
い。また、混合型と他のサブタイプの遺伝子変化の違いや、混合型における腸型病変と胆膵型病変の
遺伝子の違いは不明なままである。本研究では、Hematoxylin and eosin（HE）染色と免疫組織化学染
色（IHC）により、110例の乳頭部癌症例を63例の胆膵型、35例の腸型、12例の混合型に分類し、臨床
病理学的事項や予後を比較検討した。さらに、腸型の3例、胆膵型の9例、および混合型6例の腸型病
変、胆膵型病変について、24遺伝子のターゲットシークエンスによる遺伝子変異の比較解析をおこ
なった。混合型の予後は他のサブタイプに比べて予後不良であり、術後補助化学療法群 (n=22) でも
同様の傾向が見られた。DNAを解析した18例の全病変で、のべ49の遺伝子変異が検出された。混合型に
特異的な遺伝子変異は認めず、遺伝学的に混合型が腸型とも胆膵型とも決定することはできなかっ
た。しかし、6例中5例で腸型病変と胆膵型病変に共通する変異を有し、腸型あるいは胆膵型病変のい
ずれかのみに追加の変異を認めた。これを証明するかのように、混合型は他のサブタイプよりも遺伝
学的な腫瘍内不均一性が高かった。混合型は組織学的、免疫組織化学的、遺伝学的に不均一な腫瘍で
あり、この不均一性が予後不良と関連しており、治療抵抗性に影響を与える可能性がある。

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