レーザーアブレーションで生成されるエアロゾル中の微量元素分析におけるフィルター捕集法の評価
概要
レーザーアブレーション法 (Laser Ablation, LA)と誘導結合プラズマ質量分析法 (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry, ICPMS) を組み合わせた LA-ICPMS は、固体試料中の元素を迅速かつ高感度に分析することが可能である 1)。一方、この手法は元素分別効果により、固体標準物質の実験値と認証値が一致しない場合があり、定量性に欠ける 2)。この元素分別効果は、LA によって生成した試料エアロゾルの粒径が主な原因であることが知られており 3)、LA エアロゾルを溶液化することで元素分別効果の低減が期待される。そこで、ガラス標準物質 NIST 610 に LA を行ない、生成したエアロゾルをフィルターに捕集し、酸分解した溶液を ICPMS で定量するフィルター捕集法を考案した。また、LA-ガス交換器 (Gas Exchange Device, GED)-ICPMS により、GED でガス成分をAr に置換することで、フィルターに捕集できなかった元素の形態を分析した。本研究では、フィルター捕集法の定量性の評価およびフィルター通過画分の形態を明らかにすることを目的とした。