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大学・研究所にある論文を検索できる 「「生育限界」の変化が妊婦に与える影響に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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「生育限界」の変化が妊婦に与える影響に関する研究

柳川, 侑子 東京大学 DOI:10.15083/0002005082

2022.06.22

概要

本研究では、母体保護法における「胎児が、母体外において、生命を保持することができない時期(生育限界)」の1991年の変更が妊婦の人工妊娠中絶実施率や実施時期、母体保護法指定医師、周産期医療従事者の行動に与えた影響について、人口動態統計を用いた分割時系列デザイン及びt検定により3つの仮説を検証した。

まず、人工妊娠中絶が可能な時期が早まったことにより、妊娠22週までに人工妊娠中絶を早めて行うことが予測さたため、妊娠18〜21週における人工妊娠中絶率が増加するかを分割時系列デザインにより検証した。介入により妊娠20〜21週における人工妊娠中絶率は有意に増加しており、妊娠20〜21週に人工妊娠中絶を早めて行ったと考える。

次に、人工妊娠中絶が可能な時期が早まった場合、人工妊娠中絶の機会損失につながった可能性があるため、介入当時の妊娠週数以降(妊娠18週〜21週)の人工妊娠中絶が減少していることが予測されたため、各妊娠週数(妊娠18〜21週)以降の人工妊娠中絶率が減少するかを分割時系列デザインにより検証した。結果として、介入により妊娠20週及び21週以降の人工妊娠中絶率が有意に減少しており、妊娠20週及び21週の妊婦における人工妊娠中絶の機会が損失された可能性があることが示された。

3番目に、介入により妊娠22週以降に人工妊娠中絶が行われたにもかかわらず、死産票において妊娠22週未満において行われたと記載される人工妊娠中絶が増加する可能性を考え、妊娠20〜21週で人工妊娠中絶された児の平均出生体重が介入前と比べて有意に増加すると予測し、t検定により検証した。結果として、介入後に23.0g有意に増加したという結果が得られ、この週数における体重23gの増加は大きく、実際の週数よりも早めて死産票に妊娠週数を記載した可能性が考えられた。また、このような例は仮説1における人工妊娠中絶を早めて行った妊婦の増加の一因となっている可能性がある。

以上、3つの検証により生育限界の変更により、時期を早めて人工妊娠中絶を行った妊婦が多かったが、その一方で人工妊娠中絶の機会を損失した妊婦も認められることが明らかとなった。また、介入後に生育限界直下の週数(20~21週)で人工妊娠中絶となった児の出生体重が増加しており、実際の中絶実施時期よりも早い週数を死産票に記載している可能性も示唆された。

本研究において、1991年の生育限界の変更により妊婦の人工妊娠中絶のタイミングや機会、そして母体保護法指定医師においても法的に認められている週数を越えて行われた人工妊娠中絶の妊娠週数を早めて死産票に記載をしていた可能性が示唆された。今後、周産期医療の向上により生育限界の変更する際には、本研究で示唆された影響が起こる可能性が高く、変更を検討する際には加味する必要がある。

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