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大学・研究所にある論文を検索できる 「B細胞の活性化におけるインターフェロンαによるpretreatment作用と活性化B細胞に対するForkhead box M1阻害薬の効果の研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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B細胞の活性化におけるインターフェロンαによるpretreatment作用と活性化B細胞に対するForkhead box M1阻害薬の効果の研究

秋田 佳奈恵 東北大学

2020.03.25

概要

【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)は抗二本鎖 DNA(dsDNA)抗体を始めとする種々の自己抗体が産生され、腎臓、皮膚などの組織にそれらの自己抗体が沈着することにより炎症性病変を形成する自己免疫疾患である。B 細胞の異常な活性化により形質芽細胞が増加して自己抗体が産生されるが、その機序には I型 IFN の関与が示唆されている。我々は、健常人(n=9)、未治療 SLE 患者(n=29)から末梢血を採取し、フローサイトメトリーにて SLE 患者の形質芽細胞の増加を確認した。次に、末梢血分離 B 細胞のマイクロアレイによる遺伝子発現解析にて SLE 患者の B 細胞において IFN signature が上昇し、形質芽細胞において cell cycle signature が上昇していることを確認した。また、遺伝子発現群の upstream 解析にて転写因子である FOXM1 が形質芽細胞の増加に重要であることが示唆された。FOXM1 は細胞分裂や細胞死を調節する転写因子であり、腫瘍領域では治療標的としての報告はされているものの、膠原病領域での報告は少数であり、特に SLE については未報告である。B 細胞の分化や生存における FOXM1 の機能的役割を解明できれば、新たな SLE 治療法の開発につながる可能性がある。本研究では、B 細胞の活性化における IFNαの pretreatment 作用の意義を検証し、FOXM1 阻害薬が活性化 B 細胞へ及ぼす効果について検討した。

【方法】健常人と SLE 患者の末梢血から B 細胞を分離し、SLE 患者において発現が上昇している遺伝子をマイクロアレイにて解析した。健常人末梢血 B 細胞を分離し、抗 IgG+IgM 抗体にて B 細胞受容体(BCR)を、CpG-ODN にて Toll 様受容体 9(TLR9)を刺激後、B 細胞の分化、活性化、細胞生存に対する IFNαの pretreatment 作用をフローサイトメトリーにて評価し、FOXM1 の発現に対する IFNαの pretreatment作用を RT-PCR にて評価した。BCR 刺激により活性化したヒト B 細胞において、IFNαの pretreatment 作用の有無による FOXM1 阻害薬の FDI-6 の効果について、FOXM1、CCNA2 の発現を RT-PCR にて定量し、細胞死の誘導をフローサイトメトリーにて評価した。

【結果】マイクロアレイ解析にて、SLE 患者のナイーブ B 細胞、メモリーB 細胞、CD38+CD43+B 細胞のいずれにおいて type I IFN signature が有意に上昇し、CD38+CD43+B 細胞において cell cycle signatureが有意に上昇していることを確認した。各 B 細胞群間で有意に異なる発現を示した遺伝子群の upstream 解析にて、健常人と SLE 患者共に、ナイーブ B 細胞とメモリーB 細胞に比して CD38+CD43+B 細胞において FOXM1 と FOXM1 の下流に存在する遺伝子群が有意に上昇しており、形質芽細胞への分化に FOXM1が関与している可能性が示唆された。健常人の B 細胞を BCR で刺激した場合、B 細胞の分化、細胞サイズ、 CD86 の発現、細胞生存、細胞増殖、FOXM1 の発現において IFNαの pretreatment による促進作用を認めた。一方、TLR9 を刺激した場合、B 細胞の分化と細胞生存において IFNαの pretreatment 作用を認めたが、細胞サイズ、CD86 の発現、細胞増殖については効果を認めなかった。BCR 刺激による活性化 B 細胞において、IFNαの pretreatment 作用により FOXM1 の発現は有意に上昇した。また、活性化 B 細胞に FDI-6 を添加することにより FOXM1、CCNA2 の発現が低下した。FDI-6 は未刺激 B 細胞に比べ、活性化 B 細胞においてより高率にアポトーシスを誘導した。そのアポトーシス誘導効果は IFNαによる pretreatment を行った活性化 B 細胞においてより強く認められた。

【結論】Ⅰ型 IFN の pretreatment により BCR 刺激後の B 細胞活性化が促進し、細胞死が抑制された。また、FOXM1 を阻害することにより活性化 B 細胞にアポトーシスが誘導された。今回見出された IFNα pretreatment-FOXM1-cell activation/survival の axis は SLE における IFNα signature の新たな病的意義を示唆しており、新たな治療標的になり得ると考えられた。

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