全身性エリテマトーデスにおけるホスホリパーゼD4陽性B細胞の増幅とその意義
概要
博士論文
全身性エリテマトーデスにおけるホスホリパーゼ D4 陽性 B 細胞の増
幅とその意義
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
内科病態学講座
腎・膠原病・内分泌内科学分野
矢坂
健
目次
頁
略語
3
1.
要約
5
2.
研究背景
8
3.
研究目的
16
4.
研究方法
17
対象
17
末梢血単核球細胞(PBMC)の分離
17
Naïve B 細胞の分離
18
PBMC または naïve B 細胞の刺激培養による PLD4 誘導
18
RNA 抽出、cDNA 合成
19
定量リアルタイム PCR による PLD4 mRNA の転写解析
20
フローサイトメトリーによる解析、ソーティング
21
細胞内 T-bet 染色
23
1
ソートした B 細胞の刺激培養
24
ELISpot による IgG 抗体産生細胞の測定
24
B 細胞受容体レパトア解析
25
人工抗体の合成
26
ELISA による抗核抗体活性の測定
27
統計学的解析
28
5.
研究結果
29
6.
考察
38
7.
結論
44
8.
文献
45
9.
図
51
10.
表
74
11.
基礎論文と参考論文
77
12.
謝辞
78
2
略語
ABC
Age-associated B cell
ANA
Anti-nuclear antibody
AID
Activation-Induced cytidine
deaminase
ASC
Antibody secreting cell
β2MG
β2 microglobulin
BAFF
B cell activating factor belonging to
TNF family
BCR
B cell receptor
CVID
Common variable immunodeficiency
DN2
Double negative 2 B cell
ELISA
Enzyme-linked immunosorbent assay
ELISpot
Enzyme-linked immunospot
technique
3
FACS
Fluorescence activated cell sorting
FSC
Forward scatter
HD
Healthy donor
HRP
Horse radish peroxidase
IFN
Interferon
IgG
Immunoglobulin G
NK
Natural killer cell
PBMC
Peripheral blood mononuclear cell
PBS
Phosphate buffered saline
pDC
Plasmacytoid dendritic cell
PLD4
Phospholipase D 4
RT-PCR
Reverse transcription polymerase
chain reaction
SLE
Systemic lupus erythematosus
SLEDAI
SLE disease activity index
4
TLR
Toll-like receptor
5
1. 要約
【目的】
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)は、慢性炎症性の自己
免疫疾患である。抗核抗体をはじめとする、血中に検出される多様な自己抗体が、病態の
中心を担っていると考えられており、自己抗体産生細胞や、抗体産生細胞に分化する前の
自己反応性 B 細胞を標的とするような治療薬の開発が期待されている。近年、自己反応
性 B 細胞を含む、独自の細胞分画が SLE において増幅していることが報告されているが、
特異的な表面マーカーが同定されていないことが、治療開発を困難にしている。本研究では、
自己反応性 B 細胞に特異的な表面マーカーを同定し、SLE の治療開発への展望を開くこと
を目的とし、共同研究者の見出したホスホリパーゼ D4(phospholipase D 4, PLD4)陽
性 B 細胞(PLD4+ B 細胞)を研究対象とした。
【方法】
PLD4 に対するモノクローナル抗体を用いて、フローサイトメトリー上でヒト B 細胞における PLD4
表面発現を健常人、SLE 患者両群で解析した。また、in vitro における PLD4+ B 細胞の誘
導条件を検討した。最後に、SLE で増幅している PLD4+ B 細胞のレパトアから人工抗体を
6
合成し、その自己抗体活性を検討した。
【結果】
健常人の検体では、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell, pDC)の約
半数が PLD4 陽性だったのに対して、B 細胞では最大でも 5 %程度の陽性率だった。SLE
患者の B 細胞をフローサイトメトリー上で解析したところ、PLD4+ B 細胞が有意に増加してい
た。さらに、PLD4+ B 細胞内のサブセットであり、plasmablast に匹敵する細胞の大きさを有
する”PLD4+ blast”は、SLE の重要な臨床指標との相関を認めた。PLD4+ blast の多くは、
自己反応性が報告されている double negative 2 B 細胞(DN2)と重複していた。
また、in vitro で健常人 B 細胞のトル様受容体(Toll-like receptor, TLR)を刺激すると、
PLD4+ B 細胞が有意に誘導された。こうした誘導は、B 細胞受容体(BCR)の刺激だけで
は観察されなかった。
SLE 患者検体からソートした PLD4+ blast を培養して、増幅した BCR レパトアの配列をもと
に人工抗体を合成したところ、抗核抗体活性を有していた。
【結論】
PLD4+ B 細胞、特に細胞サイズの大きいサブセットは、SLE の病態に深く関与している可能
7
性が高く、DN2 との重複も見られることから、自己反応性 B 細胞を含む可能性が高い。既
報の細胞と比較して、PLD4 は特異性の高い発現パターンを示しており、新規の SLE 治療
標的として有望である。
8
2. 研究背景
全身性エリテマトーデス(SLE)は、様々な臓器に障害を及ぼす慢性の自己免疫性疾患
である
1)
。その病態は解明されていない点が多いが、抗核抗体(ANA)とよばれる核酸や
核酸関連タンパク質を標的とする自己抗体(抗 dsDNA 抗体、抗 Sm 抗体など)が多く
同定され、病態に深く関与していると考えられている
2)
。実際、自己抗体のなかでも抗
dsDNA 抗体は疾患活動性との相関が認められており、病変局所への沈着も認められてい
る。また分類基準にも含まれている低補体血症(血清 C3, C4 の減少)は、自己抗体/抗
原が形成する免疫複合体が補体の古典的経路を活性化するために起こると考えられてい
る 3,4)。以上のような病態を抑制するため、SLE の治療においては免疫抑制療法が主な治療
法となる。多くの症例でステロイド製剤が使用されるが、ステロイドは免疫だけでなく、糖代
謝や骨代謝を含めた様々な生体活動に影響を及ぼし、多くの副作用を引き起こすため、ス
テロイド以外の免疫抑制剤を使用することで、ステロイドの使用量を最小化する戦略がとら
れてきた。加えて、最近では免疫担当細胞、サイトカイン、シグナル伝達分子を特異的に標
的とするような抗体製剤、小分子化合物の開発も行われている。SLE の治療薬としては近
年、自己抗体の産生源である B 細胞を標的とする治療も開発されている。ベリムマブは B
9
細胞の分化・成熟、生存に関与するサイトカインである B cell activating factor(BAFF)
に対するモノクローナル抗体であり、SLE に対して保険適用されている
5)
。また、ほとんどの B
細胞に発現している CD20 に対するモノクローナル抗体であるリツキシマブも、一部の治療抵
抗性の SLE に対して有効であることが知られている
6,7)
。しかしながら、こうした治療薬に抵抗
性のある場合や、治療による副作用が無視できない場合が多く、治療のアプローチがいっそ
う多様化することが望まれている 8)。
造血幹細胞は以下のようなプロセスを経て、成熟 B 細胞、形質細胞へと分化・発達する。
骨髄においてリンパ球系共通前駆細胞が pro-B 細胞へ分化すると、骨髄で VDJ 再構成
によって B 細胞受容体(B cell receptor, BCR)のレパトアを形成し、pre-B 細胞を経て、
未熟 B 細胞となる。未熟 B 細胞は、transitional B 細胞として骨髄を出ると、二次リンパ
組織、末梢血中で naïve B 細胞へと成熟し、プールされる。Naïve B 細胞が抗原刺激を受
けて活性化すると、plasmablast を含む抗体産生細胞(antigen secreting cell, ASC)
や memory B 細胞へと分化する 9)。これらの分化過程において、自己抗原に強く反応する
自己反応性B細胞は、骨髄や末梢における免疫寛容機構によって不活化やアポトーシス
を誘導され、それ以上分化が進まないように制御されている
10)
。SLE を含む自己免疫疾患
においては、こうした免疫寛容の破綻によって、自己反応性B細胞の分化が進み、やがては
10
自己抗体産生細胞として疾患を引き起こすと考えられる 10,11)。B 細胞は細胞ごとに特異的
な BCR を有しており、抗原刺激による BCR シグナルが、分化過程を促進することが知られ
ているが、helper T 細胞によるヘルプや、パターン認識受容体を介したシグナルも、これらの
B細胞の発達・活性化に深く関与していることがわかってきた。B 細胞に発現しているパター
ン認識受容体としては、トル様受容体(toll-like receptor, TLR)が知られている。TLR7
と TLR9 は、それぞれ一本鎖 RNA、DNA の非メチル化 CpG モチーフを認識して、B細胞の
分裂や活性化を誘導する 12,13)。上記のごとく、SLE では核酸関連の自己抗体が多く検出さ
れるが、BCR と結合した核酸抗原が、エンドサイトーシスによって B 細胞に取り込まれると、エ
ンドソーム上の TLR7 または TLR9 を刺激する可能性がある。Leadbetter らは、自己の
IgG2a に反応性をもつ抗体(リウマチ因子)を発現したトランスジェニックマウス由来の B 細胞
が、ハプテンと結合した抗ハプテン IgG2a 抗体で刺激しても活性化しないが、抗クロマチン
IgG2a 抗体で刺激すると活性化することを見出し、この現象が IgG2a 自体が BCR を刺激
するとともに、IgG2a に結合したクロマチンが TLR9 を刺激することで生じていると結論づけた
14)
。こうした研究を皮切りに、TLR7 や TLR9 の SLE における自己抗体産生への関与が、近
年ますます研究されている。野生型マウスにおいては、年齢とともに、独自のフェノタイプを有
する age-associated B cell (ABC)が脾臓に蓄積するが、MRL/lpr マウスや NZW B マ
11
ウスといった SLE の疾患モデルマウスにおいては若齢のうちから ABC が増幅しており、さらに
ABC を in vitro で刺激すると自己抗体を産生することが報告され、病的な自己抗体産生
源として注目されてきた
15)
。現在では、TLR7 を過剰発現させたマウスや、TLR7 のリガンドを
反復投与したマウスでは、ABC がより増幅し、SLE 様の炎症性病態を生じることがわかって
いる 16,17)。
マウス ABC に対応するヒト B 細胞集団についても研究が進んでいる。以前より SLE をはじめ
とする自己免疫疾患の末梢血において、独自のフェノタイプを有する B 細胞集団がフローサ
イトメトリーによって見出されていた。これらは CD21lo B 細胞や CD19hi B 細胞と呼ばれ、自
己免疫疾患以外でも、C 型肝炎ウイルス感染症やマラリアなどの感染症、分類不能型免
疫不全症 (common variable immunodeficiency, CVID) などの免疫不全症においても
同定されていた
18,19)
。フローサイトメトリーの発展とともに、これらの B 細胞集団についての解
析もより詳細になっていき、2018 年に Jenks らは、double negative 2 B 細胞(DN2)が
SLE 患者の末梢血で増幅していることを報告した
。DN2 は、naïve B 細胞で発現してい
20)
る IgD、memory B 細胞で発現している CD27 をどちらも発現していない double negative
分画に属し、さらに CD11c++、CD21-、CD19++、CXCR5-といった独自のフェノタイプを有す
ることから、DN2 と呼ばれる。興味深いことに、CD11c++や細胞内 T-bet 発現上昇など、
12
複数のフェノタイプがマウス ABC とオーバーラップしている。
DN2 は遺伝子発現解析によって、TLR7 の発現上昇が指摘されている。実際、in vitro で
naïve B 細胞を抗 BCR 抗体、TLR7 リガンド、インターフェロン γ(IFN-γ)、IL-21 などによって
刺激して培養することで、DN2 を誘導することができる
21)
。また、DN2 をソートして、さらに刺
激培養を行うことで抗体産生細胞に分化させることができ、その培養上清から抗 RNP 抗
体、抗 Sm 抗体、抗 SS-A 抗体などの自己抗体が検出された
20)
。このため、DN2 は自己
反応性 B 細胞として有力な治療ターゲットになるのではないかと考えられている。
ホスホリパーゼ D4 (Phospholipase D4, PLD4)は、生後数日のマウスで、小脳のミクログリ
アで発現していることが同定された分子である
22)
。蛋白質発現データベースでは、形質細胞
様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell, pDC)や B 細胞、マクロファージで発現して
おり、近年は、GWAS 解析において、SLE、強皮症など複数の自己免疫疾患でリスク遺伝
子として同定されている。PLD4 は His – x – Lys – x -x -x -x – Asp で表される HKD モチー
フを持つため、PLD ファミリーとして位置づけられているものの、実験上、phospholipase 活
性を示さず、その機能は不明であった。
2018 年に Gavin らが、初めて PLD4 の機能を解析し、報告した
13
23)
。それによれば、PLD4
は pDC や B 細胞のエンドリソソーム上に位置するエクソヌクレアーゼであり、核酸分子を分解
する機能を有している。マウスにおいて PLD4 をノックアウトすると、TLR 依存性に全身の炎症
が観察される。以上の観察から、PLD4 はエンドリソソーム上で、DNA や RNA などの核酸分
子を分解することで、TLR7 や TLR9 の細胞内リガンド量を調整し、過度な免疫細胞の活性
化を制御していることが示唆された
24)
。この研究では、PLD4 の局在を直接検証したわけで
はなく、特に細胞表面における発現の有無についてはわかっていない。
我々の共同研究者らは以前、ヒト末梢血単核細胞 (peripheral blood mononuclear
cell, PBMC)において細胞特異的に発現する遺伝子を、SAGE 法(sequential analysis
of gene expression)によって解析した 25)。その結果、PLD4 遺伝子が、pDC で特異的に
発現していた。定量リアルタイム PCR によって、PBMC における発現を比較したところ、pDC
が顕著に PLD4 を発現しており、その他として、B 細胞でわずかに上昇がみられ、比較的特
異的な発現パターンであることが示唆された(図 1A)。また、臓器組織ごとの PLD4 発現
を定量したところ、脾臓において最も発現が強く、免疫システムへの関与を示唆する分布で
あった(図 1B)。次に共同研究者らは、ヒト PLD4 の細胞外領域と、マウス IgG2a の Fc
領域を融合させたタンパク質によってマウスを免疫感作することで、PLD4 に対するモノクロー
ナル抗体(Clone: T1S)をハイブリドーマ法により作製し、フローサイトメトリーを用いることで、
14
健常人の pDC 表面の多くで PLD4 が発現していること、またそれよりは低い割合で一部の
B 細胞表面に PLD4 が発現していることを同定した。
本研究では、これらの実験結果を踏まえ、SLE 患者の B 細胞表面 PLD4 発現の有無と、
その臨床的意義を検討した。
15
3. 研究目的
SLE の B 細胞表面における PLD4 発現を健常人と比較する。SLE において PLD4 陽性の B
細胞が増幅している場合には、特に自己抗体産生細胞の可能性を検討し、PLD4 が治療
標的マーカーとなる可能性を考察する。また、健常人 B 細胞において PLD4 発現を誘導す
る条件を検討し、生体内における PLD4 陽性 B 細胞の存在意義を考察する。
16
4. 研究方法
1. 対象
健常人サンプルとして、20 歳以上で自己免疫疾患を罹患していない 23 名から、全血 2030 mL を採取した。
2019 年 4 月~2021 年 12 月にかけて、東北大学病院リウマチ膠原病内科(旧血液免疫
科)の外来を受診、あるいは入院した SLE 患者のうち、患者の同意が取れた 40 名より全血
を採取し、解析を行った。SLE 患者全員が、アメリカリウマチ学会分類基準(1997)
を満たしていた。すべての検体採取において、インフォームドコンセントを実施し、同意書を取
得した。本研究のプロトコールは、ヘルシンキ宣言を遵守し、東北大学大学院医学系研究
科倫理委員会の承認を受けた。
2. 末梢血単核球細胞(peripheral blood mononuclear cell, PBMC)の分離
全血をヘパリン採血管に採取した。等量のリン酸緩衝食塩水(Phosphate-buffer saline,
PBS)と混合し、Ficoll-PaqueTM(Cytiva)に重層して、500 g で 20 分間遠心した。遠心
後、PBMC の浮遊層をスポイトで慎重に回収した。等量の PBS と混合して、300 g で 5 分
17
間遠心し、上清を吸引した。ペレットを 500 μL の RPMI1640(Sigma-Aldrich)で懸濁し
て、RBC lysis Buffer 5 mL(Invitrogen)を 添加して 10 分間静置 して溶血 し た。
RPMI1640 は、あらかじめ、1 % ペニシリン/ストレプトマイシンと、10 % ウシ胎児血清
(SERANA)を添加して使用した。
溶血後、PBS で洗浄し、300 g で 5 分間遠心し、上清を吸引した。ペレットを PBS で懸濁
し、細胞数をカウントして、以降の実験に用いた。
3. Naïve B 細胞の分離
PBMC を、Naïve B cell Isolation kit(Miltenyi)を使用して、説明書通りに naïve B 細
胞を分離した。分離した検体は、フローサイトメトリーで純度が 90 %以上であることを確認し
た。
4. PBMC または naïve B 細胞の刺激培養による PLD4 誘導
RPMI1640 に懸濁した細胞液を、各種刺激因子とともに U 字型 96 well プレートに撒いた。
PBMC は 5×105 /well、naïve B 細胞は 1×105 /well で培養開始した。細胞の刺激には、
5 μg/mL ヤギ抗 IgG/IgM, F(ab’)2 抗体 (Jackson Immuno research、 カタログ番号
18
109-006-127)、0.15 μM CpG ODN2006(Invivogen)、1 μg/mL R848 (SigmaAldrich)を用いた。培養は 37℃、5 % CO2 の環境で行った。
いずれも培養開始の 48 時間後にハーベストして、フローサイトメトリーによる解析を行った。ま
た、培養した naïve B 細胞は、RNA 抽出に使用した。
5. RNA 抽出、cDNA 合成
培養していた naïve B 細胞をハーベストして、Rneasy Plus Micro Kit(Qiagen)を用いて添付
の説明書にしたがって total RNA を抽出した。抽出した RNA は Nanodrop(Thermo
Fisher)を用いて濃度を測定し、ReveTra Ace qPCR RT キット(TOYOBO)で逆転写反応
を行った。合成した cDNA は、100 μL の TE buffer(nacalai tesque)を加えて、-20℃で
保存した。
6. 定量リアルタイム PCR による PLD4 mRNA の転写解析
定 量 リ アル タイム PCR(quantified real time PCR, qPCR)は SYBR Green PCR kit
(Qiagen)を用いて行った。培養細胞由来の cDNA、またはスタンダード用のコピー数既知
(106、105、104、103、102、10) の cDNA を 、特 異 的 プ ラ イ マ ー と 混 合 して 、C1000
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Thermal Cycler(Bio-Rad)を用いて PCR 反応と測定を行った。ハウスキーピング遺伝子
として、β2 ミクログロブリン (β2 micro globulin, β2MG)遺伝子を用いて、スタンダードサンプ
ルの測定結果から検量曲線を作成し、β2MG mRNA 転写量あたりの PLD4 mRNA 転写
量の相対値を計算し、検体ごとに比較した。PCR 反応のプロトコルは、以下の通り。
95℃で 15 分インキュベートし、その後 94℃で 10 秒、55℃で 30 秒、および 72℃で 30 秒、
40 サイクルで増幅した。
使用したプライマー配列を以下に示す。
PLD4 forward primer: 5’ -gtgaaagtcttcatcgtgccg- 3’
PLD4 reverse primer: 5’ -gtgctgctgaagtaatcctcc- 3’
β2MG forward primer: 5’ -ccactgaaaaagatgagtatggct- 3’
β2MG reverse primer: 5’ -ccaatccaaatgcggcatcttca- 3’
7. フローサイトメトリーによる解析、ソーティング
健常人、SLE 患者末梢血から分離した PBMC をフローサイトメトリーで解析した。 ...