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大学・研究所にある論文を検索できる 「Hilar and mediastinal sarcoid-like reaction after the treatment of malignant tumors: imaging features and natural course on 18F-FDG-PET/CT」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Hilar and mediastinal sarcoid-like reaction after the treatment of malignant tumors: imaging features and natural course on 18F-FDG-PET/CT

金子, 揚 岐阜大学

2020.03.25

概要

サルコイドーシスは肺門縦隔リンパ節を主体として多臓器に病変を形成する全身性肉芽腫性疾患である。一方で悪性腫瘍の所属リンパ節にサルコイド様反応と呼ばれるサルコイドーシスと同様の病変が見られることが知られている。胸郭外の悪性腫瘍にも肺門縦隔リンパ節などにサルコイドーシスと同様の症状のない病変を伴うことがあり,これらもサルコイド様反応と呼ばれる。近年,悪性腫瘍に対してステージングや再発診断の目的で 18F-fluorodeoxyglucose(FDG)-PET/CT が施行されることが多くなり,悪性腫瘍の経過中に 18F-FDG-PET/CT でサルコイド様反応と考えられる縦隔肺門リンパ節への集積亢進をしばしば経験するようになった。これまで 18F-FDG-PET/CT におけるサルコイド様反応の自然経過は報告されていないため,今回我々はサルコイド様反応の画像所見や自然経過を明らかにするため,サルコイド様反応の 18F-FDG-PET/CT 画像を検討した。

【対象と方法】
岐阜大学医学部附属病院および木沢記念病院において,2008 年 2 月~2018 年 5 月の期間に悪性腫瘍の精査目的で施行された 30,923 件の 18F-FDG-PET/CT 検査を対象とした。画像診断報告書の記載内容を参考にして,悪性腫瘍の治療後に施行された 18F-FDG-PET/CT 検査で肺門縦隔リンパ節に多発性・両側性の集積亢進を示した症例を抽出した。なお,リンパ節転移が疑われる症例や治療前からサルコイドーシス/サルコイド様反応を疑う所見がある症例は慎重に除外した。その結果,サルコイド様反応と診断された 16 症例を画像評価の対象とした。16 症例の年齢は 53‒82 歳(平均 71 歳),性別は男性 10 例・女性 6 例,基礎疾患の悪性腫瘍の内訳は悪性リンパ腫 3 例,前立腺癌 2 例,子宮頸癌 2 例,大腸癌,直腸癌,胃癌,膀胱癌,卵巣癌,乳癌,胆管癌,胸腺癌,乳房 Paget 病がそれぞれ 1 例ずつであった。臨床病期は StageⅠ,Ⅱ,Ⅲがそれぞれ 3 例,StageⅣが 7 例であった。最終診断は,肺門縦隔リンパ節に対する病理組織診断に基づいた症例が 4 例,臨床診断・画像診断に基づいた症例が 12例であった。

2 名の放射線科医が 16 症例の 18F-FDG-PET/CT 画像を個別に評価し,意見の不一致は合議で解決した。集積した肺門縦隔リンパ節の最大 SUV 値(Standardized uptake value:SUVmax)を測定し,肺門集積の対称性を評価した。18F-FDG-PET/CT で経過観察された症例については,消退したかどうかを判定し,またリンパ節の最大 SUV 値を測定した。

【結果】
18F-FDG-PET/CT で異常集積を認めた肺門縦隔リンパ節の最大 SUV 値は 3.8‒13.6(平均 6.8)であった。肺門への集積は 12 症例(75%)が対称性で,4 症例(25%)が非対称性であった。治療開始から画像所見が出現するまでの期間は 9‒86 ヶ月(平均 27.1 ヶ月)であった。18F-FDG-PET/CT で経過観察された 14 症例のうち,11 症例(79%)は消退傾向を認め,3 症例(21%)は消退傾向を認めなかった。消退傾向を認めた 11 症例における消退するまでの期間は 3‒80 ヶ月(平均 8.5 ヶ月)であった。

【考察】
サルコイド様反応は腫瘍から放出される抗原により免疫反応が惹起され,肉芽腫が形成されるものと推測されているが,その機序ははっきりとは解明されていない。

18F-FDG-PET/CT はサルコイドーシスの評価に有用性が示唆され,本邦では 2012 年から心サルコイドーシスの活動性診断に保険収載されており,病態が類似するサルコイド様反応の評価にも有用であると考えられる。過去の報告では,悪性腫瘍の化学療法後に施行された 18F-FDG-PET/CT でサルコイド様反応が 1.1%(4/376)の頻度で見られ,最大 SUV 値は 3.1-13.6(平均 7.3)と本研究の結果と同様であった。今までにサルコイド様反応の自然経過については検討された報告はないが,本研究では治療開始から画像所見が出現するまでに約 27 ヶ月と比較的長い期間を要するのに対し,画像所見が自然に消退するまでの期間は約 9 ヶ月と短かった。

悪性腫瘍の治療後に 18F-FDG-PET/CT で肺門縦隔リンパ節への集積を認めた場合,サルコイド反応とリンパ節転移の鑑別が問題となるが,肺門縦隔リンパ節への多発性・両側性の 18F-FDG 集積はサルコイド反応を考慮すべき所見である。少なくともサルコイド反応という偽陽性が生じうることを認識しておくことにより,再発と誤診するリスクが減る。また本研究ではサルコイド反応が速やかに自然消退する傾向にあることが示されたため,経過観察で両者を鑑別できる可能性が示唆された。

【結論】
悪性腫瘍の治療後に施行した 18F-FDG-PET/CT で,縦隔肺門リンパ節にサルコイド様反応と考えられる異常集積が出現することがある。左右対称性で中等度の 18F-FDG 集積を認めることが多い。治療後 2 年以上の長い期間が経過して出現するが,しばしば比較的速やかに自然消退する。悪性腫瘍の経過中にサルコイド様反応と呼ばれる病態が出現することを認識していれば,過剰な加療を避けることができる。

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