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大学・研究所にある論文を検索できる 「Analysis of radiotherapy-induced alterations of CD8+ T cells and PD-L1 expression in patients with uterine cervical squamous cell carcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Analysis of radiotherapy-induced alterations of CD8+ T cells and PD-L1 expression in patients with uterine cervical squamous cell carcinoma

森, 康晶 モリ, ヤスマサ Mori, Yasumasa 群馬大学

2021.03.23

概要

子宮頸がんは世界で1年間に新規発症する悪性腫瘍の第4位であり、世界中の女性の死因の第4位と報告されている。2018年には57万人の新規発症と31万人の死亡が報告されている。

現在の子宮頸がんの治療は腫瘍の病期に応じてリンパ節郭清を含めた根治的切除、またはシスプラチンを併用した同時併用化学放射線治療が行われている。

予後の改善を目的として、シスプラチンに他の抗癌剤を加えた臨床試験も行われたが、予後の改善は認められなかった。また、子宮頸がん患者の数はいまだに増加しており、特に発展途上国での発生率と死因は乳がんについで2位となっている。

長期生存のためには早期の治療介入が重要な癌であり、5年生存率はstage1〜2では80%と良好であるものの、stage3では40-60%、stage4では10-40%と、特に進行期を対象とした治療成績の向上が課題となっている。さらに、従来の化学放射線治療は腸炎や膀胱炎などの副作用もあるため、新たな治療方法や放射線線量を低減できる治療方法が確立できれば、より安全な治療が可能となる。

現在のがん治療において、抗PD-1/PD-L1抗体は劇的な変化を起こした。PD-L1はPD-1の主要なリガンドであり、さまざまな癌種の細胞表面や活性化したT細胞や抗原提示細胞の細胞表面に発現している抗原である。腫瘍微小環境において腫瘍細胞表面のPD-L1とT細胞表面のPD-1の相互作用がT細胞の疲弊を誘導し、腫瘍は宿主の免疫監視機構から逃れることができる。この相互作用を阻害する抗PD-1/PD-L1抗体は、進行期がんを含む様々な癌患者の治療のために実臨床で使われ、メラノーマ・腎細胞がん・非小細胞肺癌・膵癌の患者で良い結果を出している。

PD-L1はその機能から一般的にはPD-L1発現が高いタイプの癌患者では予後不良と相関すると言われている。しかしながら、子宮頸がんではこれまでにPD-L1発現が増加している患者群の予後は良好という報告と、不良という相反する報告があり、未だに臨床への影響は明らかにはなっていない。また、癌細胞への放射線照射でPD-L1発現が亢進することは細胞実験・動物実験段階では知られており、子宮頸癌を含む臨床検体でのPD-L1発現誘導も明らかになりつつある。さらに、PD-L1発現率はそれ自体が予後に影響するだけでなく、抗PD- 1/PD-L1抗体の有効性に影響するバイオマーカーの一つと考えられており、PD-L1発現の変化の解析は今後のがん治療戦略において重要と考えられる。

そこで、我々は放射線治療を施行した子宮頸がん患者の臨床検体において放射線治療前とX線10Gy照射後のPD-L1発現の有無およびその変化と患者の予後との相関について調べた。加えて、これまで子宮頸癌の予後への影響が報告されており、さらにPD-L1発現に影響することが知られているCD8陽性T細胞の浸潤密度の変化と患者予後との相関の有無を調べた。

解析対象は根治的な放射線治療(化学療法併用・放射線単独)を受けた75人の患者で、後方視的に分析した。これらの患者から放射線治療前および10Gy照射後に採取した生検検体に免疫組織化学染色を行い、CD8陽性T細胞の浸潤密度とPD-L1発現を評価した。

その結果、PD-L1陽性率は放射線治療前と10Gy照射後で5%(4/75)から52%(39/75)へと有意に増加した(P < 0.001)。しかし、放射線治療前・10Gy照射後のPD-L1の陽性群、および10Gy照射後にPD-L1陽性率が増加した症例群でも、PD-L1陽性率と全生存期間
(OS)、局所制御(LC)、無増悪生存期間(PFS)に有意な相関は認められなかった。

一方、CD8陽性T細胞の浸潤密度は全例(化学放射線療法・放射線治療単独)では有意に低下した(中央値:放射線治療前23.1% vs 10Gy照射後16.9%;P=0.038)が、放射線治療単独の患者では有意ではないものの増加する傾向にあった(中央値、放射線治療前17.7% vs 10Gy後24.0%;P=0.400)。また、予後との関係については放射線治療前または10Gy照射後のいずれにおいてもCD8陽性T細胞の浸潤密度が高かった患者は、OS、LC、PFSいずれも予後が良いという正の相関を示した。このことはCD8陽性T細胞の浸潤密度が放射線治療中の子宮頸がん患者の予後因子の一つであることを示唆していると考えられた。

また、放射線治療は腫瘍細胞における子宮頸がん細胞のPD-L1発現を誘導するため、放射線治療を受けた患者には免疫チェックポイント阻害薬が予後を改善できる可能性も示唆された。

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