リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「大腸癌に対するrBC2LCNレクチン薬物複合体療法」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

大腸癌に対するrBC2LCNレクチン薬物複合体療法

北口, 大地 筑波大学 DOI:10.15068/0002008033

2023.09.04

概要



波 大



博士(医学)学位論 文

1

大腸癌に対する
rBC2LCN レクチン薬物複合体療法

2022
筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科







2



原典論文の再利用(Re-use)について

「この学位論文は Lectin drug conjugate therapy for colorectal
cancer,Kitaguchi D, Oda T, Enomoto T, Ohara Y, Owada Y,
Akashi Y, Furuta T, Yang Y, Kimura S, Kuroda Y, Kurimori K,
Miyazaki Y, Furuya K, Shimomura O, Tateno H,Cancer Sci,
111(12):4548-4557,2022,doi: 10.1111/cas.14687 の内容を Wiley
社の規定に従って再利用している

3

目次
1. 背景 ............................................................................................................... 6
2. 目的 ............................................................................................................. 11
3. 方法 ............................................................................................................. 11
3.1. 患者組織標本の収集 .............................................................................. 11
3.2. 細胞培養と試薬 ..................................................................................... 12
3.3. レクチン染色 ......................................................................................... 13
3.4. レクチン結合アッセイ........................................................................... 14
3.5. タンパク抽出とレクチンマイクロアレイ .............................................. 14
3.6. 定量的細胞生存率アッセイ ................................................................... 15
3.7. 異種移植大腸がんマウスモデル ............................................................ 16
3.8. rBC2LCN-PE38 の毒性評価.................................................................. 17
3.9. 統計学的解析 ......................................................................................... 17
4. 結果 ............................................................................................................. 18
4.1. 大腸がん患者組織標本に対するレクチン染色 ....................................... 18
4.2. 高密度レクチンマイクロアレイ ............................................................ 18
4.3. レクチン結合アッセイ........................................................................... 19
4.4. rBC2LCN-PE38 の殺細胞効果(in vitro) ........................................... 20
4

4.5. マウス異種移植腫瘍の組織化学染色 ..................................................... 20
4.6. rBC2LCN-PE38 の治療効果(in vivo) ............................................... 21
4.7. レクチン薬物複合体投与に伴う毒性評価 .............................................. 22
5. 考察 ............................................................................................................. 23
5.1. 本研究結果の総括 .................................................................................. 23
5.2. rBC2LCN-PE38 による治療効果の不均質性 ......................................... 24
5.3. FUT1/2 の発現量と rBC2LCN-PE38 に対する感受性の関係 ............... 24
5.4. がんのバイオマーカとしてのフコシル化 .............................................. 25
5.5. rBC2LCN-PE38 の毒性 ......................................................................... 26
5.6. 本研究の限界 ......................................................................................... 27
6. 結語 ............................................................................................................. 28
7. 要約図 .......................................................................................................... 29
8. 参考文献 ...................................................................................................... 30
9. 謝辞 ............................................................................................................. 39
10. 図表凡例 .................................................................................................... 40

5

1. 背景
大腸がんは罹患数が世界で 3 番目に多いがん種である(1,2).比較的早期の段
階で発見され根治切除に至った症例では良好な予後が期待できるものの,遠隔
転移を伴う症例,とりわけ切除不能例のステージⅣ症例では,その 5 年生存率
はいまだ 10%にも満たない.今日,大腸がんに対する複数の抗がん剤が使用可
能となっているが,既存の抗がん剤に対するがん細胞の薬剤耐性の獲得は進行
期の大腸がん治療における大きな障壁であり,長期治療成績を悪化させる原因
となっている.そのため,とりわけ進行期で薬剤耐性を有する大腸がん患者に対
する新規治療法の探索は常に重要なテーマである.
細胞の表面を覆う糖鎖の発現が大腸がんを含む様々ながん種において異常を
呈することはがん細胞の重要な特徴であり,がん細胞表面糖鎖の異常発現がが
んの発生や転移のメカニズムにおいて重要な役割を果たしていると考えられて
いる(3).すなわち,がん細胞表面糖鎖の発現パターンの解析が,がん治療にお
ける優れた新規診断や治療法の開発につながる可能性がある.しかしながら,糖
鎖構造は糖タンパク質,糖脂質,プロテオグリカンなどの多様な存在形態や,異
性体を含めた多種の構造,一本鎖ではない複雑な分岐構造を持ち,また糖鎖自体
にもリン酸化や硫酸化などの修飾が加わるため,直接的な解析が困難である.加
えて,がん細胞表面糖鎖の修飾過程にも糖転移酵素とがん微小環境の両方が関
6

与するため,遺伝情報からの予測も困難であるとされている.そこで我々の研究
チームでは,糖鎖構造を解析するにあたり,糖鎖に特異的な結合活性を有するタ
ンパク質であるレクチンに着目してきた.
rBC2LCN レクチンとはグラム陰性菌である Burkholderia cenocepacia から
単離されたフコース結合特性を有する腫瘍壊死因子様の外在性レクチンである
(5).従来 rBC2LCN レクチンは,ヒト胚性幹細胞やヒト人工多能性幹細胞など
のヒト多能性幹細胞に特異的なプローブとして同定された背景があり(6-8),ヒ
ト 多 能 性 幹 細 胞 の 未 分 化 細 胞 に 特 異 的 に 発 現 す る Fucα1-2Gal β 13GlcNAc/GalNAc を有する糖鎖構造,すなわち,H 型 1,H 型 3,H 型 4(GloboH)といった糖鎖エピトープを認識する性質を有する(9,10).rBC2LCN が認識
する糖鎖エピトープである H 型 1,H 型 3,H 型 4(Globo-H)の糖鎖構造を補
足図 1 に示す.H 型 1/4 糖鎖はβ1,3 ガラクトース転移酵素であるβ3GalT5 お
よび二種のα1,2 フコース転移酵素である FUT1/2 で合成されており,H 型 3 糖
鎖は FUT1/2 糖転移酵素で合成されている(8).また,補足図 1 に示す通り,こ
れら二種の糖転移酵素は SSEA3/4/5,Tra-1-60/-81,Globo H といった既知のヒ
ト多能性幹細胞の未分化マーカである糖鎖構造と密接に関係していることがわ
かる(11).
rBC2LCN レクチンはヒト多能性幹細胞に結合した後に細胞内に取り込まれ
7

る性質を有することから同レクチンの薬剤キャリアとしての利用可能性が見出
された(12).タンパク質合成を阻害して細胞死を引き起こす緑膿菌外毒素の触媒
ドメイン(domain III,23 kDa)を rBC2LCN の C 末端部分に融合させたレク
チン薬物複合体「rBC2LCN-PE23」が開発され(12),その後,domain III に加
えて domain Ib と domain II を融合し,38kDa ドメイン(PE38)の触媒部分
を結合させたレクチン薬物複合体「rBC2LCN-PE38」が開発された(13).この
rBC2LCN-PE38 は,rBC2LCN-PE23 と比べて 556 倍高い活性を示す(13).上
述の通り,rBC2LCN レクチンはヒト多能性幹細胞の未分化マーカの糖鎖構造を
特異的に認識する性質を有するため,rBC2LCN-PE38 は分化したヒト多能性幹
細胞を殺すことなく,腫瘍化した未分化なヒト多能性幹細胞を特異的に排除す
ることが可能な技術として用いられている(12).
我々の研究チームは,過去の研究において,rBC2LCN レクチンが膵臓がん細
胞表面糖鎖に結合することを明らかにした.なかでもヒト膵癌組織と類似の腺
管構造を形成し高~中分化型腺癌の形態を呈する Capan-1 膵臓がん細胞株に対
し,rBC2LCN は強い結合活性を示すこと,加えて興味深いことに,従来内因性
ではない外在性レクチンは有害な赤血球凝集反応を惹起すると考えられていた
が,rBC2LCN レクチンがヒト赤血球に対して凝集を起こさず,マウスへの投与
も安全であることを示した.さらに同研究において,レクチン薬物複合体である
8

rBC2LCN-PE38 を用いて膵がんに対する殺細胞効果を in vitro および in vivo
で検証した結果,in vitro では同レクチン薬物複合体が極めて低濃度(1.04 pg/ml)
で膵臓がん細胞に対する殺細胞効果が示され,また in vivo では同レクチン薬物
複合体によりマウスを用いた皮下腫瘍モデルに対する腫瘍増大の有意な抑制,
ならびにマウスを用いた腹膜播種モデルに対する腹膜播種結節数の有意な減少
が示された.rBC2LCN-PE38 の抗腫瘍効果に関しては,膵臓がん細胞株由来の
マウスモデルに対してのみならず,膵臓がん患者組織由来のマウスモデルに対
しても同様の結果が得られている (4).
rBC2LCN レ ク チ ン が 膵 臓 が ん 細 胞 に 結 合 す る 分 子 学 的 機 序 と し て ,
Hasehira らは膵臓がん患者組織由来のマウスモデルを用いて膵臓がん細胞表面
に Fucα1-2Galβ1-3 糖鎖を有する H3 型糖鎖構造の発現を検出しており(14),
また,rBC2LNC レクチンの膵臓がん細胞株上におけるキャリアとなるタンパク
質に関しても,Furuta らは液体クロマトグラフィー質量分析の手法を用いて膵
臓がん細胞に発現する rBC2LCN 陽性の複数の糖タンパク質を同定,膵臓がん
細胞と正常膵管細胞との発現率の差から膵臓がん細胞における最もがん特異的
なキャリアタンパクとしてがん胎児性抗原(CEA)に着目し,ウェスタンブロッ
トとレクチンブロットを用いて rBC2LCN と CEA の関係性を評価し,糖タンパ
ク質である CEA が rBC2LCN のリガンドであることを示すなど(15),少しずつ
9

そのメカニズムが明らかとなってきている.
がん細胞表面においてフコシル化 AFP(AFP-L3)や,シアリルルイス A 抗
原(CA19-9)などフコシル化糖鎖の発現が亢進することが一般的に知られてお
り,また担がん患者において血清や尿中の L-フコース濃度が上昇することが報
告されているが(16,17),この機構は様々ながん種においてフコース転移酵素
(Fucosyltransferase:FUT)の発現が亢進することに関連する.FUT は種々
のシアリル前駆体のフコシル化を通じて細胞の悪性形質転換を促進させる重要
な糖転移酵素であると共に,FUT 活性の増強は形質転換増殖因子-β による上皮
間葉転換の促進を通じて様々ながん細胞における転移能の増幅と関連すること
が報告されており(18,19),FUT ががん細胞の進展と転移を媒介することから,
フコシル化が疾患としてのがんの病態の進行に重要な役割を果たす可能性につ
いても複数の報告において示唆されている(20-28).
rBC2LCN レクチンおよびそのレクチン薬物複合である rBC2LCN-PE38 が
膵臓がん細胞において特異的な結合と治療としての有効性を示していること,
その結合強度や治療効果は分化度の高い腺癌において大きいこと,加えて,同レ
クチンが外在性レクチンにも関わらず有害な赤血球凝集反応を惹起しない点で
生体投与が可能であることから,rBC2LCN レクチンおよびそのレクチン薬物複
合である rBC2LCN-PE38 が,同じく細胞表面にフコースを発現する代表的な
10

がん種であり,その多くが腺管構造を形成する高~中分化型腺癌である大腸が
んに対しても,がん細胞表面糖鎖を標的とした有効な薬物担体になり得ると仮
説を立てた.

2. 目的
本研究の目的は以下の三点である.


大腸がん患者から得られたがん組織及びヒト由来大腸がん細胞株を用いて,
rBC2LCN レクチンと大腸がん細胞との結合活性を評価すること.



rBC2LCN レクチンと緑膿菌外毒素 PE38 との複合体である rBC2LCNPE38 の大腸がん細胞に対する殺細胞効果を複数のヒト由来大腸がん細胞株
を用いて in vitro で評価すること.



rBC2LCN-PE38 の大腸がんに対する治療効果及び毒性について異種移植大
腸がんマウスモデルを用いた in vivo での評価を行うこと.

3. 方法
3.1. 患者組織標本の収集
筑波大学附属病院で大腸がんに対する手術を受けた患者の組織標本から,大
腸がん:24 症例,大腸腺腫:1 症例,計 25 症例分を研究目的で収集した.患者
11

背景に関する情報は電子カルテ内の診療記録と病理記録から収集した.術後の
病理学的病期分類は,Union for International Cancer Control:UICC-TNM 分
類(第 8 版)に従って記載した.患者背景情報を表 1 に示す.
厚生労働省の Good Clinical Practice ガイドラインに基づき,本研究に参加し
た全患者からオプトアウト形式でインフォームドコンセントを得た.すなわち,
本研究への参加の辞退を表明した患者からは組織標本の収集は行わなかった.
本研究のプロトコルは筑波大学附属病院の倫理委員会により承認を受けている
(登録番号:H28-90)


3.2. 細胞培養と試薬
本研究では 4 種類のヒト大腸がん細胞株を使用した.過去に,複数の大腸が
ん細胞株由来の異種移植大腸がんマウスモデルを樹立し,マウスの皮下で増殖
させた腫瘍の組織像についてまとめた報告がある(29).本研究で採用した大腸が
ん細胞株の選択に関しては,同既報の結果を基に,樹立培養後の腫瘍の組織学的
分化度が高分化型から低分化型までバランス良くなるよう意図して行った.
HT-29,LoVo,LS174T 細胞株は ATCC 社から購入し,DLD-1 細胞株は JCRB
細胞バンクから入手した.全ての細胞株の同一性検証は,ショートタンデムリピ
ート(Short Tandem Repeat:STR)検査によって確認された.STR 検査とは
12

DNA プロファイリングによって個々の組織に由来するヒト細胞株の同定を行
い,培養物の純度やクロスコンタミネーションの防止を保証するプロセスであ
る.SUIT-2 は rBC2LCN レクチンとの結合活性を有さないことが既報で証明さ
れている膵臓がん細胞株 であるが(13),SUIT-2 も JCRB 細胞バンクから入手
し,各実験において陰性対照として使用した.
HT-29,LoVo,LS174T は,それぞれ McCoy's 5a,F-12K,E-MEM 培地(全
て ATCC 社製)を用いて培養し,DLD-1,SUIT-2 は,それぞれ RPMI 1640,
D-MEM 培地(共に富士フイルム和光純薬社製)を用いて培養した.各培地は
Thermo Fisher Scientific 社製の 10%ウシ胎児血清,および富士フイルム和光
純薬社製の 1% ペニシリン-ストレプトマイシン溶液を補充した上で使用した.

3.3. レクチン染色
組織化学的染色:ホルマリン固定・パラフィン包埋組織の 3 µm スライド切片
を 120℃で 20 分間オートクレーブにかけ抗原を賦活化した後,3%過酸化水素
水・メタノールで内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害した.富士フイルム和光純
薬社製の Horseradish Peroxidase 標識 rBC2LCN(1 μg / ml)を添加し,室温
で 60 分間培養した後,ニチレイバイオサイエンス社製のジアミノベンジジン発
色剤を添加して可視化した.染色性の分類に関しては,陽性細胞の割合と染色強
13

度に基づく Wang らの分類方法を基に若干の修正を加え,陰性,弱陽性,強陽
性に分類した(30).
生細胞蛍光染色:富士フイルム和光純薬社製の Fluorescein Isothiocyanate 標
識 rBC2LCN(1 μg / ml)を含む培地で生細胞を室温で 60 分間培養し,キーエ
ンス社製の蛍光顕微鏡 BIOREVO BZX-710 を用いて撮影した.

3.4. レクチン結合アッセイ
各大腸がん細胞株と rBC2LCN レクチンとの結合性をフローサイトメトリー
で解析した.細胞をプレート上で 48 時間培養した後,トリプシンを用いて細胞
を回収した.生細胞を洗浄した後,富士フイルム和光純薬社製の Phycoerythrin
標識 rBC2LCN(1 μg / ml)と共に暗所下氷上で 60 分間培養し,緩衝液(1%
Bovine Serum Albumin / Phosphate-buffered Saline:PBS)で洗浄した.1 サ
ンプルあたり約 10 000 個の細胞を,CytoFLEX(ベックマン・コールター社)
を用いて分析し,得られたデータの処理・解析には FlowJo ソフトウェア(日本
ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いた.

3.5. ...

この論文で使われている画像

参考文献

1.

Siegel R, Desantis C, Jemal A. Colorectal cancer statistics, 2014. CA

Cancer J Clin. 2014;64:104–117. https://doi.org/10.3322/caac.21220

2.

Brenner

H,

Kloor

M,

Pox

CP.

Colorectal

cancer.

Lancet.

2014;383:1490–1502. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(13)61649-9

3.

Cervoni GE, Cheng JJ, Stackhouse KA, et al. O-glycan recognition

and

function

in

mice

and

human

cancers.

Biochem

J.

2020;30;477:1541-1564. doi: 10.1042/BCJ20180103

4.

Shimomura O, Oda T, Tateno H, et al. A Novel therapeutic strategy

for pancreatic cancer: targeting cell surface glycan using rBC2LC-N

lectin-drug conjugate (LDC). Mol Cancer Ther. 2018;17:183–195.

https://doi.org/10.1158/1535-7163.MCT-17-0232

5.

Sulak O, Cioci G, Delia M, et al. A TNF-like trimeric lectin domain

from Burkholderia cenocepacia with specificity for fucosylated human

histo-blood

group

antigens.

Structure.

2010;18:59–72.

https://doi.org/10.1016/j.str.2009.10.021

6.

Tang C, Lee AS, Volkmer JP, et al. An antibody against SSEA-5 glycan

on human pluripotent stem cells enables removal of teratoma-forming

30

cells.

Nat

Biotechnol.

2011;29:829–834.

https://doi.org/10.1038/nbt.1947

7.

Wang YC, Nakagawa M, Garitaonandia I, et al. Specific lectin

biomarkers for isolation of human pluripotent stem cells identified

through array-based glycomic analysis. Cell Res. 2011;21:1551–1563.

https://doi.org/10.1038/cr.2011.148

8.

Tateno H, Toyota M, Saito S, et al. Glycome diagnosis of human

induced pluripotent stem cells using lectin microarray. J Biol Chem.

2011;286:20345–20353. https://doi.org/10.1074/jbc.M111.231274

9.

Tateno H, Mori A, Uchiyama N, et al. Glycoconjugate microarray

based on an evanescent-field fluorescence-assisted detection principle

for

investigation

of

glycan-binding

proteins.

Glycobiology.

2008;18:789–798. https://doi.org/10.1093/glycob/cwn068

10.

Tateno H, Nakamura‐Tsuruta S, Hirabayashi J. Frontal affinity

chromatography:

Sugar-protein

interactions.

Nat

Protoc.

2007;2:2529–2537. https://doi.org/10.1038/nprot.2007.357

11.

Hirabayashi J, Tateno H, Onuma Y, et al. A novel probe as surface

glycan marker of pluripotent stem cells: research outcomes and

31

application

to

regenerative

medicine.

Adv

Healthc

Mater.

2015;4:2520–2529. https://doi.org/10.1002/adhm.201400837

12.

Tateno H, Onuma Y, Ito Y, et al. Elimination of tumorigenic human

pluripotent stem cells by a recombinant lectin-toxin fusion protein.

Stem

Cell

Reports.

2015;4:811–820.

https://doi.org/10.1016/j.stemcr.2015.02.016

13.

Tateno H, Saito S. Engineering of a potent recombinant lectin-toxin

fusion protein to eliminate human pluripotent stem cells. Molecules.

2017;22:1151. https://doi.org/10.3390/molecules22071151

14.

Hasehira K, Furuta T, Shimomura O, et al. Quantitative structural

analysis of glycans expressed within tumors derived from pancreatic

cancer patient-derived xenograft mouse models. Biochem Biophys Res

Commun. 2021;534:310–316. https://doi: 10.1016/j.bbrc.2020.11.087.

15.

Furuta T, Oda T, Kiyoi K, et al. Carcinoembryonic antigen as a specific

glycoprotein ligand of rBC2LCN lectin on pancreatic ductal

adenocarcinoma cells. Cancer Sci. 2021;112:3722–3731. https://doi:

10.1111/cas.15023.

16.

Sawke NG, Sawke GK. Serum fucose level in malignant diseases.

32

Indian J Cancer. 2010;47:452–457. https://doi.org/10.4103/0019509X.73549

17.

Deyasi SK, Aikat BK, Sengupta U. Serum fucose in the diagnosis of

malignancy, and its relative merits. Indian J Pathol Bacteriol.

1975;18:16–20.

18.

Hirakawa M, Takimoto R, Tamura F, et al. Fucosylated TGF-beta

receptors transduces a signal for epithelial-mesenchymal transition

in

colorectal

cancer

cells.

Br

Cancer.

2014;110:156–163.

https://doi.org/10.1038/bjc.2013.699

19.

Weston BW, Hiller KM, Mayben JP, et al. Expression of human

alpha(1,3)fucosyltransferase antisense sequences inhibits selectinmediated adhesion and liver metastasis of colon carcinoma cells.

Cancer Res. 1999;59:2127–2135.

20.

Miyoshi E, Moriwaki K, Nakagawa T. Biological function of

fucosylation in cancer biology. J Biochem. 2008;143:725–729.

https://doi.org/10.1093/jb/mvn011

21.

Yan X, Lin Y, Liu S, et al. Fucosyltransferase IV (FUT4) as an effective

biomarker for the diagnosis of breast cancer. Biomed Pharmacother.

33

2015;70:299–304. https://doi.org/10.1016/j.biopha.2014.12.048

22.

Muinelo-Romay L, Vazquez-Martin C, Villar-Portela S, et al.

Expression and enzyme activity of alpha(1,6)fucosyltransferase in

human

colorectal

cancer.

Int

Cancer.

2008;123:641–646.

https://doi.org/10.1002/ijc.23521

23.

Li J, Guillebon AD, Hsu JW, et al. Human fucosyltransferase 6

enables

prostate

cancer

metastasis

to

bone.

Br

Cancer.

2013;109:3014–3022. https://doi.org/10.1038/bjc.2013.690

24.

Liu F, Qi HL, Chen HL. Regulation of differentiation- and

proliferation-inducers on Lewis antigens, alpha-fucosyltransferase

and metastatic potential in hepatocarcinoma cells. Br J Cancer.

2001;84:1556–1563. https://doi.org/10.1054/bjoc.2001.1815

25.

Liu F, Qi HL, Zhang Y, et al. Transfection of the c-erbB2/neu gene

upregulates

the

expression

of

sialyl

Lewis

X,

alpha1,3-

fucosyltransferase VII, and metastatic potential in a human

hepatocarcinoma cell line. Eur J Biochem. 2001;268:3501–3512.

https://doi.org/10.1046/j.1432-1327.2001.02254.x

26.

Koike T, Kimura N, Miyazaki K, et al. Hypoxia induces adhesion

34

molecules on cancer cells: A missing link between Warburg effect and

induction of selectin-ligand carbohydrates. Proc Natl Acad Sci U S A.

2004;101:8132–8137. https://doi.org/10.1073/pnas.0402088101

27.

Matsumoto K, Yokote H, Arao T, et al. N-Glycan fucosylation of

epidermal growth factor receptor modulates receptor activity and

sensitivity to epidermal growth factor receptor tyrosine kinase

inhibitor.

Cancer

Sci.

2008;99:1611–1617.

https://doi.org/10.1111/j.1349-7006.2008.00847.x

28.

Chen CY, Jan YH, Juan YH, et al. Fucosyltransferase 8 as a functional

regulator of nonsmall cell lung cancer. Proc Natl Acad Sci USA.

2013;110:630–635. https://doi.org/10.1073/pnas.1220425110

29.

Trainer DL, Kline T, McCabe FL, et al. Biological characterization and

oncogene expression in human colorectal carcinoma cell lines. Int J

Cancer. 1988;41:287–296. https://doi.org/10.1002/ijc.2910410221

30.

Wang L, Wei D, Huang S, et al. Transcription factor Sp1 expression is

a significant predictor of survival in human gastric cancer. Clin

Cancer Res. 2003;9:6371–6380.

31.

Saito S, Hiemori K, Kiyoi K, et al. Glycome analysis of extracellular

35

vesicles derived from human induced pluripotent stem cells using

lectin microarray. Sci Rep. 2018;8:3997. doi: 10.1038/s41598-01822450-2.

32.

Kanda Y. Investigation of the freely available easy‐to‐use software

'EZR' for medical statistics. Bone Marrow Transplant. 2013;48:452–

458. https://doi.org/10.1038/bmt.2012.244

33.

Koprowski H, Herlyn M, Steplewski Z, et al. Specific antigen in serum

of

patients

with

colon

carcinoma.

Science.

1981;212:53–55.

https://doi.org/10.1126/science.6163212

34.

Filella X, Molina R, Grau JJ, et al. Prognostic value of CA 19.9 levels

in

colorectal

cancer.

Ann

Surg.

1992;216:55–59.

https://doi.org/10.1097/00000658-199207000-00008

35.

Kouri M, Pyrhonen S, Kuusela P. Elevated CA19-9 as the most

significant prognostic factor in advanced colorectal carcinoma. J Surg

Oncol. 1992;49:78–85. https://doi.org/10.1002/jso.2930490204

36.

Petrioli R, Licchetta A, Roviello G, et al. CEA and CA19.9 as early

predictors of progression in advanced/metastatic colorectal cancer

patients receiving oxaliplatin-based chemotherapy and bevacizumab.

36

Cancer

Invest.

2012;30:65–71.

https://doi.org/10.3109/07357907.2011.629380

37.

Grabowski P, Mann B, Mansmann U, et al. Expression of SIALYLLe(x) antigen defined by MAb AM-3 is an independent prognostic

marker in colorectal carcinoma patients. Int J Cancer. 2000;88:281–

286.

https://doi.org/10.1002/1097-0215(20001015)88:2<281::AID-

IJC21>3.0.CO;2-2

38.

Nakagoe T, Fukushima K, Tanaka K, et al. Evaluation of sialyl

Lewis(a), sialyl Lewis(x), and sialyl Tn antigens expression levels as

predictors of recurrence after curative surgery in node-negative

colorectal cancer patients. J Exp Clin Cancer Res. 2002;21:107–113.

39.

Hiller KM, Mayben JP, Bendt KM, et al. Transfection of

alpha(1,3)fucosyltransferase

antisense

sequences

impairs

the

proliferative and tumorigenic ability of human colon carcinoma cells.

Mol Carcinog. 2000;27:280–288. https://doi.org/10.1002/(SICI)10982744(200004)27:4<280::AID-MC6>3.0.CO;2-L

40.

Kannagi R, Izawa M, Koike T, et al. Carbohydratemediated cell

adhesion in cancer metastasis and angiogenesis. Cancer Sci.

37

2004;95:377–384. https://doi.org/10.1111/j.1349-7006.2004.tb03219.x

41.

Muinelo-Romay L, Villar-Portela S, Cuevas Alvarez E, et al.

alpha(1,6)Fucosyltransferase expression is an independent prognostic

factor for disease-free survival in colorectal carcinoma. Hum Pathol.

2011;42:1740–1750. https://doi.org/10.1016/j.humpath.2011.01.021

42.

Hakomori S, Kannagi R. Glycosphingolipids as tumor-associated and

differentiation markers. J Natl Cancer Inst. 1983;71:231–251.

43.

Mawaribuchi S, Onuma Y, Aiki Y, et al. The rBC2LCN-positive

subpopulation of PC-3 cells exhibits cancer stemlike properties.

Biochem

Biophys

Res

Commun.

2019;515:176–182.

https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2019.05.108

44.

Adamová L, Malinovská L, Wimmerová M. New sensitive detection

method for lectin hemagglutination using microscopy. Microsc Res

Tech. 2014;77:841–849. https://doi.org/10.1002/jemt.22407

38

9. 謝辞

本研究を遂行するにあたり,終始御懇切なるご指導を頂きました筑波大学医

学医療系消化器外科小田竜也教授に深謝申し上げます.また,本研究の実験を直

接ご指導頂きました同研究室大学院生の古田智章先生,Yang Yu さん,木村聡

大先生に心より御礼申し上げます.本研究に対して建設的なご助言とご支援を

継続的に賜りましたその他全ての先生方に対し,この場を借りて深く感謝申し

上げます.

39

10. 図表凡例

表 1:患者背景(n=25 人)

Characteristic

Age (years)

71 [27–85]*

Sex

Male

17 (68%)

Female

8 (32%)

Histopathological diagnosis

Adenocarcinoma

24 (96%)

Adenoma

1 (4%)

Histopathological differentiation

Well

4 (16%)

Moderate

16 (64%)

Poor

1 (4%)

Mucinous

3 (12%)

Tumor site

Ascending

5 (20%)

Transverse

1 (4%)

Sigmoid

7 (28%)

Rectal

12 (48%)

Tumor size (major axis, mm)

55 [32–93]a

Distant metastatic site

Liver

4 (100%)

Pathological stage**

1 (4%)

2 (8%)

II

12 (48%)

III

6 (24%)

IV

4 (16%)

* 中央値 [範囲]

** UICC-TNM 分類(第 8 版)に準拠

40

図 1:rBC2LCN レクチンと大腸がん細胞株との結合性評価(in vitro)

41

(A) 大腸がん患者組織標本に対する rBC2LCN レクチンを用いた組織化学染

色の結果,多様な組織学的分化度のがんにおいて染色性が確認された(ス

ケールバー:100 µm)

(B) 細胞溶解液中に存在するレクチンリガンドを,高密度レクチンマイクロ

アレイ上に配列した 96 種類のレクチンと結合させて定量化した(黄色:

高,黒:中,青:低).赤矢印は rBC2LCN の位置を示す.

(C) FITC 標識 rBC2LCN(1 µg / ml)を用いた生細胞蛍光染色の顕微鏡画像

(スケールバー:100 µm)

(D) PE 標識 rBC2LCN(1 µg / ml)を用いた生細胞に対するフローサイトメ

トリー解析

(E)

Cell Counting Kit WST-8 Assay を用いた各細胞株に対する rBC2LCNPE38 の殺細胞効果を評価した.

42

図 2:異種移植大腸がんマウスモデルにおける rBC2LCN-PE38 の治療効果(in vivo)

43

(A) 異種移植大腸がんマウスモデルから採取した各大腸がん細胞株由来の皮

下腫瘍に対する rBC2LCN レクチンを用いた組織化学染色の結果

(B) 実験期間中の相対的腫瘍体積の変化.腫瘍体積はデジタルノギスで 2 次

元的に測定し,体積は「0.5 × 幅 2 × 長さ」の式で近似.Day 1 の腫瘍体

積を基準体積(100%)とした.

(C) 異種移植大腸がんマウスモデルから採取した腫瘍の重量

44

図 3:異種移植大腸がんマウスモデルにおける rBC2LCN-PE38 の毒性評価(in vivo)

45

(A) 実験期間中の体重変化

(B) Day 15 の血液学的所見.全血球数(白血球数,赤血球数,ヘモグロビン,

血小板数,ヘマトクリット),AST,ALT,総ビリルビン,アミラーゼ,

クレアチニンの 10 種類の血液学的評価項目を計測した.

(C) 心臓,肺,肝臓,腎臓,脾臓,膵臓,胃,十二指腸,小腸,大腸の主要 10

臓器の組織学的分析(スケールバー:100 μm).

(D) 腹膜の組織学的解析

(E) 肝臓および腎臓に対する rBC2LCN を用いた組織化学的染色(スケール

バー:100 µm)

46

補足図 1:rBC2LCN レクチンが認識する糖鎖構造

H 型 1/4 糖鎖はβ3GalT5 および FUT1/2 の二種の糖転移酵素で合成されてお

り,H 型 3 糖鎖は FUT1/2 糖転移酵素で合成されている.また,これら二種の

糖転移酵素は既知のヒト ES/iPS 細胞の未分化マーカである SSEA3/4/5,Tra-160/-81,Globo H といった糖鎖の合成にも関係している.(Hiroaki Tateno.

Glycoforum. 2020 Vol.23 (6), A16 より引用し改変)

47

補足図 2:抗 FUT1/2 抗体を用いた免疫組織化学染色(スケールバー:100 µm)

ホルマリン固定・パラフィン包埋組織の 3 μm スライド切片を 120℃で 10 分

間オートクレーブにかけ抗原を賦活化した後,3%過酸化水素水・メタノールで

内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害した.ニチレイバイオサイエンス社製のブ

ロッキングバッファー(10%正常ヤギ血清)を添加し,室温で 10 分間培養した

後,一次抗体として GeneTex 社製の抗 FUT1 抗体(10 μg / ml)および Atras

Antibodies 社製の抗 FUT2 抗体(2 μg / ml)を添加し,室温で 60 分間インキ

ュベートした.続いて,DakoCytomation 社製の Horseradish Peroxidase 標識

二次抗体を添加し,室温で 30 分間インキュベートした.最後に,同じく

DakoCytomation 社製のジアミノベンジジン色素を添加し,室温で 5 分間発色

した.

抗 FUT1/2 抗体を用いた免疫組織化学染色は,ヒト正常結腸組織,ヒト結腸

がん組織,LS174T 由来マウス異種移植腫瘍組織,DLD-1 由来マウス異種移植

腫瘍組織,および HT-29 由来マウス異種移植腫瘍組織に対して施行された.

48

各組織における FUT1 と FUT2 の発現には同様の傾向が観察されたが,FUT1

の発現の方が FUT2 の発現よりも顕著であった.図 2A と補足図 2 を比較する

と,FUT1/2 の発現強度と rBC2LCN レクチンに対する結合活性の間にも同様

の傾向が確認された.すなわち,rBC2LCN レクチンとの強い結合活性を示す

LS174T および DLD1 由来のマウス異種移植腫瘍が FUT1/2 の高発現を示した

一方で,rBC2LCN レクチンとの結合活性が弱い HT-29 由来のマウス異種移植

腫瘍は FUT1/2 発現量が低い傾向を示した.加えて注目すべきは,ヒト大腸が

ん組織において FUT1/2 が高発現であった一方で,正常ヒト組織における

FUT1/2 発現が陰性であった.

49

...

参考文献をもっと見る

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る