リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「A Clinicopathological Study of Metachronous Anaplastic Carcinoma Transformed from Recurrent Papillary Thyroid Carcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

A Clinicopathological Study of Metachronous Anaplastic Carcinoma Transformed from Recurrent Papillary Thyroid Carcinoma

大舘 徹 山梨大学

2021.03.23

概要

(研究の目的)
甲状腺未分化癌は稀ではあるが甲状腺癌死の14〜39%を占める予後不良な腫瘍である。未分化癌の多くは乳頭癌や濾胞癌などの先行する本来予後良好な高分化癌から生じる。この過程を未分化癌転化と呼ぶ。未分化癌転化の機序に関してこれまでに多くの研究がなされてきたが、先行研究では同一腫瘍内に併存する未分化癌成分と乳頭癌成分を比較する事を研究の主眼としてきた。本研究では乳頭癌がリンパ節再発を繰り返す過程において最終的に再発リンパ節巣で未分化癌となった症例に注目し、これらの組織学的および遺伝子異常を調べることで未分化癌転化の過程およびその予測因子を明らかにすることを目的とした。

(方法)
リンパ節再発を繰り返した後に最終的に再発リンパ節において未分化癌へと転化した乳頭癌症例10例とリンパ節再発を繰り返すが初回手術から10年以上経過しても未分化癌に転化していない症例19例(初回手術からのフォローアップ期間中央値198ヶ月)を収集し原発巣および各リンパ節再発巣に対して組織学検討および遺伝子解析を実施した。全ての症例の組織スライドを改めて検討した。免疫染色はBenchmark GX autostainer (Ventana Medical Systems Inc., Tucson, AZ, USA)を用いて行った。遺伝子解析は腫瘍細胞の純度を高めるためにホルマリン固定パラフィン包埋切片から腫瘍部のみをマクロダイセクションした。DNAの抽出は、RecoverAll total nucleic acid isolation Kit (Ambion, Austin, Texas, USA) を用いて行った。原発腫瘍からDNAの抽出が不能な場合は初回手術時のリンパ節転移巣を原発腫瘍のものとして代用した。遺伝子解析の対象は乳頭癌および未分化癌に高頻度かつhot spotを有する遺伝子変異( BRAF, NRAS, HRAS, KRAS, PIK3CA, TERT promoter)とした。遺伝子変異の同定はPCR法による対象部位の増幅とその後のダイレクトシークエンシングを用いた。

(結果)
未分化癌転化を起こした再発乳頭癌と起こさなかった再発乳頭癌の間に年齢、性別、腫瘍径、組織亜型、甲状腺外進展の程度(Ex)、初回手術時のリンパ節および遠隔転移の有無、治療方法に差異を認めなかった。未分化癌転化に要した期間の中央値は初回手術から106ヶ月であった。遺伝子解析では、未分化癌転化した再発乳頭癌ではBRAFV600E 変異(8/9)とTERTプロモーター変異(9/9)が高頻度に認められた。これらの変異は原発腫瘍の段階から再発リンパ節、未分化癌転化後まで一貫して保持されていた。一方で非未分化癌転化群でも高頻度にBRAFV600E 変異(19/19)とTERTプロモーター変異(17/19)がみられた。PIK3CAH1047R 変異はそれぞれの群に1例のみみられた。RAS変異は未分化癌転化群および非未分化癌転化群のいずれにもみられなかった。組織学的検討では未分化転化した再発乳頭癌のみで再発リンパ節巣において充実型(4/10)、島型(1/10)、鋲釘型(3/10)といった組織形態が観察された。免疫染色で、p53の高発現およびTTF-1の発現減弱は未分化癌成分のみに認められた。

(考察)
TERTプロモーター変異は未分化癌では70%程度と高頻度に認められる一方で、乳頭癌では 10%程度にみられる程度である。近年、同一腫瘍内で未分化癌と併存する乳頭癌を検討した 研究ではこれらの未分化癌および乳頭癌の両成分に高頻度にTERTプロモーター変異を認め、 TERTプロモーター変異が未分化癌転化に関与している可能性が示された。本研究では未分化 癌転化が生じる以前の乳頭癌にもTERTプロモーター変異がみられ、先行研究の結果を支持す る結果となった。また、悪性黒色腫、尿路上皮癌、肝細胞癌など多くの腫瘍においてTERTプロモーター変異が腫瘍発生の早期の段階で獲得される事が示されているが甲状腺未分化 癌においても同様の事象が当てはまる事が示唆された。一方で、本研究では未分化癌転化群 と非未分化癌転化群の間に遺伝子学的差異がみられなかった。これは本研究が解析の対象を 乳頭癌および未分化癌における代表的な遺伝子変異に限定したためであると考えられ、今後 は全エクソーム解析、さらにはエピゲノム異常も含めた包括的な解析を実施する必要がある。また、本研究での組織学的検討では未分化癌転化をきたした再発乳頭癌の群で再発リンパ節 において充実型、島型、鋲釘型といった組織形態が出現することが明らかになった。これらの組織 学的変化はTERTプロモーター変異と組み合わせる事でその後の未分化癌転化を予測する因子になり うると思われる。

(結論)
本研究では TERT プロモーター変異を有する乳頭癌の中の一部の腫瘍が未分化癌転化を生じる傾向にある事を示した。さらに TERT プロモーター変異は原発巣の乳頭癌の段階から獲得されていることがわかった。これらの腫瘍のうちリンパ節再発巣において充実型、島型、鋲釘型といった組織像が出現した場合はその後に未分化癌転化する可能性が高い事も示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る