低侵襲心拍出量測定装置の心拍出量値の広い範囲における互換性と追従性の検討
概要
【別紙 2】
審査の結果の要旨
⽒名
朝元雅明
本研究は周術期に広く⽤いられている低侵襲⼼拍出量測定装置である
FloTrac/Vigileo と LiDCOrapid について、オフポンプ冠動脈バイパス術と⽣体肝移植⼿術
という極端な循環動態を⽰す患者さんを対象にして広い⼼拍出量範囲での互換性と追従
性を調べたものであり、下記の結果を得ている。
1.
FloTrac/Vigileo と LiDCOrapid の⼼係数測定値はいずれも⼼係数が正常範囲の
時、実際の⼼係数に最も近づく。
2.
どちらの機器も実際の⼼係数が正常値より⾼まるにつれ誤って低めに測定する
誤差があり、⼼係数が正常値より低まるにつれ⾼めに推測する誤差が存在する。
3.
FloTrac/Vigileo と LiDCOrapid はいずれも肺動脈カテーテルからの冷⽔希釈法で
求めた⼼拍出量と⽐較して互換性は無く、臨床使⽤出来る信頼性はない。
4.
FloTrac/Vigileo と LiDCOrapid を⽐較し、今回のサンプル数では互換性が等しい
とする帰無仮説が棄却されなかった。すなわちどちらの互換性が優れているか、につい
ては結論が出せなかった。
5.
FloTrac/Vigileo と LiDCOrapid を⽐較し、追従性については LiDCOrpid の⽅が良好
である事が⽰唆された。
以上、本論⽂は低侵襲⼼拍出量測定装置について広い範囲の⼼拍出量値での互換
性、追従性を明らかとし、FloTrac/Vigileo と LiDCOrapid の測定上の問題点を⽰した。本
研究は正確な⼼拍出量測定アルゴリズムの開発に貢献すると考えられる。
よって本論⽂は博⼠( 医学 )の学位請求論⽂として合格と認められる。