リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Practical use of a multicenter clinical research support system connected to electronic medical records」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Practical use of a multicenter clinical research support system connected to electronic medical records

真鍋, 史朗 大阪大学

2022.03.24

概要

〔目 的(Purpose)〕
日本の病院は緒外国に比べて分散しているため、1つの施設で収集できる症例数には限界がある。そのため、多施設による臨床研究が必要となる。電子カルテ(EMR; Electrical Medical Records)を活用して臨床研究用のデータを集めることができれば良いが、臨床研究に関連するデータは、一般的にEMRと物理的に切り離されたインターネット上のEDC (Electric Data Capture)を用いて収集されてるため、電子カルテの内容を手動で転記しなければならない。日本では各病院が異なるシステムベンダーのEMRを使用しているため、病院間でデータベースを共有することは困難である。さらに、医用画像の収集・解析が必要な臨床研究において、各病院に設置されたPACS (Picture Archiving and Communication System)から医用画像を出力するのは、匿名化処理などに手間と時間がかかる。これらの問題点を解決し、臨床研究に必要なデータの収集を効率化するため、我々はEMRと速携した他施設共同臨床研究支援システムを開発した。これはEMRから臨床データを収集する臨床研究データ収集システム(CDCS; Clinical study Data CoIIediong System)と、PACSから画像データを収集する医用画像収集システムからなる。さらに、大阪大学医学部附屈病院(阪大病院)を中心に臨床研究を促進している大阪臨床研究ネットワーク(OCR-net)に参加している26病院中19病院にこのシステ厶を導入した。本研究では、本システムによりどれくらい臨床研究が実施され、どのような問題点があったかを調べた。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
阪大病院にデータの収集・管理用のセンターサーバーを、各病院内に被験番IDと患者情報を管理するサイトサーバーを設置し、サーバー間にセキュアなネットワーク基盤を構築した。CDCS用にテンブレートを用いて臨床研究用データを蓄積し、センターサーバーに電子症例報告書(eCRF)を送信するCRFレボーターを各病院のEMRに組み込んだ。医用画像収集システムとして、CDCSと連携して臨床研究に参加する被験者の医用画像をPACSから収集し、患者IDを被験者 IDに置き換え、匿名化処理を行った後、センターサーバに送信する仕組みを構築した。CDCSを5種類のEMRが使用されている19病院に、医用画像収集システムを4種類のPACSが使用されている13病院に導入した。CDCSを用いた臨床データ収集は2013年に開始され、2020年12月末時点で28件(観察研究25件、無作為割当による介入研究3件)の臨床研究が実施された。全研究から計9,987症例が登録されていた。最も多くの被験者が登録された臨床試験では、1,119名の被験者が登録されていた。
CDCSには、EMRのテンブレートで入力されたデータをCRFレボーターに引用する方式のデータ転記型と、CRFレボーターをEMRから直接起動してカルテに記載する直接記録型の2タイプがある。
検証的研究では主に、診察に必要な情報と診療記録に記載は不要だが研究用に収集すべき情報があるため、データ転記型が適している。この有効性を評価するため「カスタムメイド手術ガイド・プレート用いた上肢矯正手術に関する臨床研究」において、EMR内に観察項目を記録するテンブレートを作成し、その記録内容をCDCSに半自動的に転記させる仕組みを構築した。テンブレート化した項目の割合と時間短縮性等に基づき効率性を評価したところ、対象とした臨床研究における入力の総項目数は1,311であり、うちEMRにテンプレートとして入力した項目数は572 (カバー率47.1%)であった。CDCSを活用することで、EMRからの転記ミスの減少や記載内容確認の時間短縮が見込まれたが、直接入力型よりコンテンツ作成・管理に関するコストが多くかかることがわかった。
一方、探索的研究型の臨床研究では、診察時に被験者から多くの項目の情報を簡便に讓めることが重要となるため、直接入力型が適している。「多施設共同臨床研究ネットワークを用いた脳卒中レジストリ構築による脳卒中診療実態の把握(OCR-STR0KE)」スタディにおいて、対象となる阪大病院の脳神経外科領域における救急患者で入院した患者のうち、何名が臨床研究支援システムで登録されているかを評価した。その結果、阪大病院において対象患者143名中、本システムを使って症例登録されたのは121名(84.6%)だった。
また、OCR-STROKEスタディにおいては、eCRFにCTやMRIの撮影日を入力すると、画像が自動的に匿名化されて、データセンターに送信される。医用画像収集システムの有効性を評価するため、全症例に対して画像が収集できた症例の割合を調べたところ、116例においてCT画像が1,933シリーズ333,774枚、MRI画像が718シリーズ26.564枚、それぞれ匿名化された状態で収集されていた。システ厶の利用に関して、全ての医師から有用である旨のコメントがあった。

〔総 括(Conclusion)〕
OCR-netの19病院にCRFレボーターを、13病院に医用画像収集システムを組み込んだ。これにより、前向き観察研究のための臨床データ、画像の収集が効率化された。CDCSを用いた臨床研究は7年間で28件行われ、9,987例のデータが収集された。また、CDCSは直接記録型を積極的に採用すべきであることがわかった。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る