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書き出し

動的環構造を持つアクリル酸エステルの開環および環拡大を利用した反応性高分子の合成

高坂, 泰弘 信州大学

2021.03.01

概要

4版

様 式 C−19、F−19−1、Z−19 (共通)

科学研究費助成事業  研究成果報告書
令和

元 年

6 月 13 日現在

機関番号: 13601
研究種目: 基盤研究(C)(一般)
研究期間: 2016 ∼ 2018
課題番号: 16K05792
研究課題名(和文)動的環構造を持つアクリル酸エステルの開環および環拡大を利用した反応性高分子の合成

研究課題名(英文)Synthesis of Reactive Polymer by Ring-Opening and -Expansion of Cyclic Acrylates
with Dynamic Ring-Structure
研究代表者
高坂 泰弘(Kohsaka, Yasuhiro)
信州大学・学術研究院繊維学系・准教授

研究者番号:90609695
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)

3,700,000 円

研究成果の概要(和文):本研究はヘミアセタールエステル骨格,あるいはその前駆体を有する環状モノマーの
重合により分解性を有するポリエステルを合成することを目的とする.環状アクリルモノマー (2,
6-dimethyl-5-methylene-1,3-dioxan-4-one; DMDO)はアセトアルデヒドを脱離しながら開環重合し,分解性を
有するポリ共役エステルを与えた.環状ビニルエステル(2-methylene-4H-benzo[d][1,3]dioxin-4-one; MBDO)
は,ヘミアセタールエステル骨格を生成しながらラジカル重合した.そのポリマーは酸加水分解によりモノマー
原料を再生した.

研究成果の学術的意義や社会的意義
本研究は可逆的な生成・分解が可能なヘミアセタールエステル結合を含む環状モノマーを重合し,分解性を有す
る低環境付加型ポリマーを提供しました.環状アクリルモノマーに関する研究では,既存の生分解性ポリエステ
ルに,化学分解性を付与することに成功しました.この化学分解は穏和な条件でも迅速に進むため,従来のポリ
エステルに比べて速い浄化が期待されます.一方,環状ビニルエステルに関する研究では,酸加水分解により原
料に再生するビニールを初めて合成しました.この成果は,リサイクル可能なビニールを開発する上での重要な
ヒントになります.
研究成果の概要(英文):This research project has purposes on the synthesis of degradable polyesters
via polymerization of designed cyclic monomers with hemiacetal ester skeleton or its precursor.
Ring-opening polymerization (ROP) of 2,6-dimethyl-5-methylene-1,3-dioxan-4-one (DMDO), a cyclic
monomer bearing acryl moiety, was accompanied with the elimination of acetaldehyde to afford
degradable poly(conjugated ester). Radical polymerization of 2-methylene-4H-benzo[d][1,3]
dioxin-4-one (MBDO), a cyclic vinyl ester, formed hemiacetal ester moieties on the backbone. The
polymer regenerated raw materials of MBDO by acid hydrolysis.

研究分野: 高分子化学
キーワード: ヘミアセタールエステル ポリ共役エステル 分解性ポリマー 開環重合 環状アクリル酸エステル 
環状ビニルエステル ラジカル重合 共役置換反応



式 C−19、F−19−1、Z−19、CK−19(共通)

1.研究開始当初の背景
ポリ共役エステル
近年,自然界に投棄された高分子材料が引き起こす環境汚染が問題視されている.こうした
中で,生分解性ポリマーに関する関心が,産学官の各分野で急速に高まりつつある.現在流通
している生分解性ポリマーは,最終的に水と二酸化炭素,不活性ガスに分解する特徴を有する.
一方で,この要請が足枷にもなり,生分解以上の機能を賦与しにくい状況も発生している.そ
こで,生分解性ポリマーに化学修飾が可能な反応点を導入し,機能性を後から賦与する戦略が
図られるようになった.例えば E.-X. Chen らは,ランタノイド触媒を用いることで 5 員環の αメチレン‐γ‐ブチロラクトンの開環重合に成功し,ポリ共役エステルを得ている [1].ポリ共役
エステルの主鎖に含まれるアクリル骨格は,チオールエン反応による化学修飾や架橋が可能で
あった.一方,この触媒の開発以前には,環状アクリル酸エステルの開環重合は困難であると
認識されていた [2,3].このため,重合を行う前にアクリロイル基の化学修飾を行い,開環重合
を容易にするアプローチも図られている[4][5].
ヘミアセタールエステル
ヘミアセタールのヒドロキシ基をエステル化した骨格は,ヘミアセタールエステルと呼称さ
れる.ヘミアセタールエステルは単離可能なほど安定であるが,中心炭素原子がメチン基に隣
接する場合,ビニルエーテルとカルボン酸に熱分解する [6-8].
ヘミアセタールエステルはビニルエーテルのカチオン重合開始点として用いることができる
[9].大内らはヘミアセタールエステルをカチオン重合の開始点として用いた直鎖状高分子の合
成や,
環状ヘミアセタールエステルを開始剤として用いた環拡大重合の報告をしている[10-12].
一方,Hillmyer らは環状ヘミアセタールエステル,MBL の開環重合について報告している.
高濃度のジエチル亜鉛を触媒として用いると,アシル開裂に続きアセトアルデヒドの脱離を経
る開環重合が進行する [13].一方,低濃度のジエチル亜鉛を用いた場合はアセトアルデヒドの
脱離を伴わない開環重合が進行する[13].
ポリヘミアセタールエステルはジビニルエーテルとジカルボン酸の重縮合によって合成する
ことも可能である.ヘミアセタールエステルが可逆的開裂・再結合を起こす動的共有結合であ
ることから,解体性材料としての利用が提案されている[6-8, 13].
2,6-dimethyl-5-methylene-1,3-dioxan-4-one (DMDO) は,6 員環内にアセタール結合,エステル
結合,ビニリデン基(アクリロイル基)を有する多官能性環状化合物である (Scheme 1).6 員
環を構成する原子のうち,アリル位 (6 位)の炭素原子を除くすべての原子が何らかの官能基に
関与しており,究極に官能基化したモノマーと捉えることができる.著者は,DMDO がアクリ
ルモノマーとしてラジカル重合およびアニオン重合に活性であることを示し,ビニルポリマー
を与えることを見出した[14].一方,DMDO を環状ヘミアセタールエステルと捉えると,開環
重合により共役エステル単位を有するポリマーの合成が期待される.

Scheme 1. 2,6-dimethyl-5-methylene-1,3-dioxan-4-one (DMDO) の開環重合.
2-methylene-4H-benzo[d][1,3]dioxin-4-one (MBDO) は水を吸収してアセチルサリチル酸に変化
することから,脱水アスピリン(Dehydroaspirin) の別名でも知られている [15].MBDO にフェ
ノールやカルボン酸が付加すると,環状ヘミアセタールエステルが生じる(Scheme 2).
O

CH3COOH

CH2

CH3 O
AcO O

O
O

O

Scheme 2. 2-methylene-4H-benzo[d][1,3]dioxin-4-one (MBDO) の性質.
2.研究の目的

環状ヘミアセタールエステルの反応性を利用した分解性ポリマーの開発を目的とする.
(1) DMDO の開環重合: 本研究では,DMDO の開環重合により,ポリ共役エステルを合成し,
分解性や化学修飾性を有する新規材料を提供することを目的とする.
(2) DMDO 類縁体・誘導体の開環重合: (1)に関連して,DMDO とは異なる置換基のモノマ
ーの合成や,チオールを付加した誘導体の重合性を明らかにする.
(3) DMDO を開始剤とするビニルエーテルの環拡大重合: DMDO を開始剤としてビニルエ
ーテルの環拡大重合を実施し,アクリル骨格を有するマクロ環を合成する.アクリル骨格を起
点に,複数のマクロ環を連結した高分子アーキテクチャーへの展開を目指す.
(4) MBDO のラジカル重合によるポリ(環状ヘミアセタールエステル)の合成と反応: MBDO
のラジカル重合を行い,環状ヘミアセタールエステル骨格が連続したビニルポリマーを合成す
る.このポリマー構造と反応性を明らかにすることを目的とする.
3.研究の方法
個々の化学反応の方法論は成果と併せて次項で報告する.
4.研究成果
(1) DMDO の開環重合
過去の報告[16]に従い DMDO を得た.ベンジルアルコールを開始剤に,触媒量のジフェニル
リン酸 (DPP)[17,18]を加えて開環重合を行った.25 °C では重合がほとんど進行しなかった
(Table, Entry 1).また,加熱条件でも Mn ≤ 103 のオリゴマーが得られたのみであった (Table,
Entries 2, 3).DMDO の単独重合が進行しない原因を探るため,ベンジルアルコールと DMDO
の等量混合物を用いて重合の初期生成物を解析したところ,少なくとも開始反応は生じている
ことがわかった.一方,開始剤をイソプロパノールとしたところ,開始反応はほとんど生じな
かった.この結果から,DMDO は 1 級アルコールとの反応は比較的円滑に進行するが,2 級ア
ルコールとの反応は遅いことが示唆された.DMDO の開環重合で生じる末端基は 2 級アルコー
ルであるため,成長反応が進みにくいことが予想される.そこで,1 級アルコール末端を与え
る飽和ラクトン類との共重合を検討した.
Table. Ring-opening (co)polymerization of DMDO with lactones initiated by BnOH with DPP as a catalyst.
O
CH2
Me

O
O

O
DMDO

O
Me

x

BnOH
cat. DPP

O

Me
O
CH2

O
x

O
n

δ-VL (x = 1)
ε-CL (x = 2)

Conv.c [%]
Compositionc [%]
Temp.
Entrya
M2b
[°C]
Time [h]
DMDO
M2
Mnd
Đd
DMDO
M2
1
25
24
2
50
24
47
500
1.29
100
3
80
24
76
1000
1.24
100
4
δ-VL
25
2
30
89
3200
1.55
7
93
5
δ-VL
50
18
43
98
2200
1.30
22
78
6
δ-VL
80
18
95
96
2100
1.44
43
57
7
ε-CL
50
24
41
99
2700
1.47
32
68
8e
ε-CL
50
24
41
96
4000
1.52
33
67
9
ε-CL
80
24
80
>99
3200
2.32
37
63
a
[DMDO]0/[M2]0/[BnOH]0/[DPP]0 = 25/25/1/1. b Comonomer. c Determined by 1H NMR spectrometry (400 MHz, CDCl3,
25 °C).
d
Determined by SEC (THF, 40 °C, polystyrene standards). e [DMDO]0/[M2]0/[BnOH]0/[DPP]0 = 50/50/1/1.

δ-バレロラクトン (VL) との共重合では 25 °C で Mn = 3200,Ð = 1.55 のポリマーが得られた
ものの,
DMDO 由来の単位は 7%で,
主に δ-VL が重合したことがわかった (Entry 4).
50 °C, 80 °C
では DMDO の含有率が増加したが,数平均分子量は 25 °C での重合とほとんど変わらなかった
(Entries 5, 6).
重合の後半では δ-VL がほぼ完全に消費されており,
DMDO のみが反応していた.
それにもかかわらず,1H NMR スペクトルによる連鎖解析の結果,重合後期では DMDO–DMDO
の連鎖が増加せず,むしろ VL–DMDO の連鎖が増加し,VL-VL の連鎖が減少した.この結果
から,重合後期にエステル交換が生じたことが示唆された.そこで,δ-VL より反応速度が遅い
ε-CL をコモノマーに変更したところ,DMDO 含有率,数平均分子量ともに改善が見られた
(Entries 7, 9).特に,開始剤モノマー比を[M]0/[I]0 = 100 に変更したところ,Mn = 4000, Ð = 1.52
で,DMDO 由来の単位を 33%含むポリマーが得られた (Entry 8).
以上のように,DMDO はアルデヒド脱離を伴いながら重合したが,このとき生成する単位は

4 員環ラクトンの開環重合によっても生じる.本研究の 2 年目に当たる 2017 年に,Lu らはこ
の 4 員環ラクトンの開環重合を報告し,生成するポリ共役エステルが化学修飾,硬化・架橋,
化学分解が可能な生分解性ポリマーであることを見出している[19].しかしながら,4 員環モノ
マーの合成は煩雑で,大量生産には向いていない.一方,DMDO は 2 段階の反応を経て蒸留精
製により単離され,実験室スケール(反応容器 1L 以下)ですら 30 g 以上の合成が可能である.
したがって,DMDO は 4 員環モノマーの代替品として評価することができる.一方で,単独重
合が困難である点など,4 員環モノマーと比べて課題も残っている.本研究では市販の触媒を
使用したが,今後は遷移金属触媒も含め,DMDO に特化したモノマーの開発が求められる.そ
こで,3 年目の 2018 年に環状ヘミアセタールエステルの開環重合触媒の開発で成果を挙げてい
る, Prof. M. Shaver(英国,エディンバラ大→マンチェスター大)に DMDO を提供し,国際共
同研究として新たな触媒開発を進めている.Lu らは上記の 4 員環モノマーのポリマーが,アミ
ン類と反応して分解することを報告している[19].この論文では化学分解の反応機構について
は言及されていないが,著者らによる別の研究課題の成果から,α-(アシロキシ)メチルアクリ
ル酸エステル骨格への求核的共役置換反応に基づく主鎖切断が原因であることが示された[20].
したがって,同様の骨格を有する DMDO の開環重合体についても,共役置換反応による主鎖
分解が期待される.そこで,Entry 8 で得たポリ共役エステルについて,クロロホルム中,トリ
エチルアミン存在下で,アクリル骨格当たり 1.2 モル等量のベンジルメルカプタンを加えて 24
時間反応させたところ,数平均分子量は Mn = 4000 から Mn = 900 に減少した.1H NMR スペク
トルでは,共役置換反応が進行し,さらに余剰のチオールが共役付加反応を起こしたことが示
唆された.以上から,共役置換反応により主鎖切断したことが確認された.サイズ排除クロマ
トグラムにおいて,高分子ピーク全体が低分子側に移動したことから,すべての高分子鎖に共
役エステル骨格が導入され,主鎖切断を起こしたことが改めて確認された.また,分解は共役
エステル部位でのみ選択的に進行した.生分解性ポリマーの浄化には数ヶ月∼数年単位の時間
を要することから,近年では化学分解を補助的に用いた易分解型材料の設計が注目を集めてい
る[21].本研究で提供した DMDO とラクトン類の共重合体は,まさに化学分解性と生分解性を
併せ持つ材料であり,その合成も比較的容易である.現状は重合に課題があるものの,新触媒
の開発をもって高重合度体を合成できれば,材料としての展開も視野に入るであろう.
(2) DMDO 類縁体・誘導体の合成と開環重合
一般に環状アクリル酸エステルは重合しにくいが,その Michael 付加体は DPP 触媒により
容易に開環重合する[5].そこで,DMDO にベンジルメルカプタンを Michael 付加し BDDO を
合成した.BDDO は 2 位,5 位および 6 位の計 3 個の不斉炭素を有するため,8 通りの立体異
性体が考えられるが,原料である DMDO は cis 体が主成分である.カラムクロマトグラフィー
によるジアステレオマー分割を経て,最終的に 3 個の不斉炭素のすべてが R 配置もしくは S 配
置のエナンチオ混合物として BDDO を得た(収率 24.9%)


Scheme 3. BDDO の開環重合
DMDO と同様にベンジルアルコールを開始剤,DPP を触媒とする BDDO の単独重合を検討
したが,ポリマーが得られなかった.δ-VL との等モル混合物を用いた共重合では,Mn = 3510, Đ
= 1.10 のポリマーが生成した (Scheme 3).1H NMR スペクトルによる構造解析から,BDDO 由
来の単位は 11%で,そのすべてがアルデヒド脱離を経た開環重縮合により生成した単位[B]であ
ることがわかった.また,すべての停止末端において,BDDO 由来の単位がアセタール結合を
介して結合しており,アセタール交換反応が停止反応として存在することを示唆した.DMDO
の重合ではアセタール開裂に伴う停止反応が確認されなかったことから,エキソメチレン基の
有無がアセタール開裂に影響していると考えられる.詳しい議論が必要ではあるが,アクリル
骨格の共鳴構造による環歪みがアセタール周辺の立体障害を増大し,アセタール開裂を抑制し
たのではないかと推測している.
(3) DMDO を開始剤とするビニルエーテルの環拡大重合
当初は研究代表者らが単独で研究する方針であったが,2015 年に大内誠教授(京都大学)と
ディスカッションし,本件を委託することになった.したがって,DMDO の合成や,生成し
た環状ポリマーのアクリル骨格の反応性についての助言・提言が研究代表者の担当であり,そ
れ以外の実験は大内先生の成果である.このため,本書では研究成果の概略のみを報告する.
ヘミアセタールエステルを開始剤とするビニルエーテルのカチオン開環重合は,臭化スズ

(IV)を添加剤として実施する[9].そこで,DMDO と臭化スズ(IV)からなる開始剤系を用いてイ
ソブチルビニルエーテルの重合を行ったが,DMDO から環拡大した明確な証拠は得られなかっ
た.添加剤を臭化マグネシウムに変更したところ,DMDO からの環拡大が確認され,マクロ環
が生成した (Scheme 4).今後,このマクロ環を原料とする環状高分子のケミストリーに順次展
開する予定である.

CH2
Me

Vinyl Polymn

O

O
O
O

Me

DMDO

CH2 CH
OR

CH2

catalyst

Me

O

OR

O
Me

HS

R

SH

Scheme 4. DMDO を開始剤とするビニルエーテルの環拡大重合.
(4) MBDO のラジカル重合:循環可能なビニルポリマーの開発
AIBN を開始剤とする MBDO の塊状重合を 65 °C で 18 時間行った (Scheme 5).生成物はク
ロロホルムや THF などの汎用有機溶媒に難溶であったが,
クロロホルム可溶部(重量比 10.8%)
の 1H および 13C NMR スペクトルからビニル重合が進行したことがわかった.また,クロロホ
ルム可溶部と不溶部の IR スペクトルが一致したことから,
不溶部も同様のビニル重合体である
ことが示唆された.THF 可溶部の分子量は Mn = 5200,Ð = 1.35 であった.
ヘミアセタールエステルは酸加水分解により,カルボン酸とアルデヒド(ケトン)
,アルコー
ルに分解する.そこで,poly(MBDO)のヘミアセタールエステル骨格に対して 1 モル等量の塩化
水素を 1 M 塩酸として加え,DMSO-d6 中,80 ˚C で加水分解を行った.その結果,ポリケトン
は生成せず,むしろアセチルサリチル酸と酢酸に分解した.これらは MBDO の出発原料である
ことから,本成果はケミカルリサイクルが可能なビニルポリマーの合成例と評価できる.

Scheme 5. MBDO によるリサイクルできるビニルポリマーの開発.
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