タンデム反応を用いたポリオール構築法の開発
概要
ポリオール構造はポリケチド系天然物やポリエン系抗真菌薬、スタチン系薬剤に見られる部分構造である。今日までにポリオール構造の立体選択的な合成法は多数報告されている 1)が、より効率的な合成法の開発は天然物の合成ルート簡略化や医薬品の大量供給につながる可能性がある。ポリオール構造の効率的な合成法の一つとしてEvans らが報告した-ヒドロキシ-,-不飽和エステルを syn-1,3-ジオキサン誘導体へ一段階で変換するヘミアセタール化/分子内 oxa-Michael 付加が知られている 2)。最近でも複数のグループからその発展形となる合成法が報告されている 3)が、前駆体の-ヒドロキシ-,-不飽和カルボニル化合物を Wittig 反応等で別途合成する必要があった。 本研究では、当研究室が過去に報告したタンデム反応で得られた知見 4)を発展させ、より効率的でステップエコノミカルな syn-1,3-ジオキサン誘導体の立体選択的合成法を開発した 5)。