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大学・研究所にある論文を検索できる 「Search for heavy diboson resonances decaying into semi-leptonic final states in 139 fb-1 of √s = 13 TeV pp collisions with the ATLAS detector」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Search for heavy diboson resonances decaying into semi-leptonic final states in 139 fb-1 of √s = 13 TeV pp collisions with the ATLAS detector

山谷, 昌大 東京大学 DOI:10.15083/0002006212

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

山谷

昌大

本論文は、LHC ATLAS 実験で収集された、重心系エネルギー13TeV の陽子陽子衝
突データ 139fb−1を解析し、セミレプトニックな終状態を持つ弱ボゾン共鳴を探索し、標
準理論を超える新しい物理理論のモデルを検証するものである。例えば、spin 1 の新粒
子を扱う単純化された模型”Heavy Vector Triplet (HVT)”の典型的なパラメータセット
A/B を用いて、拡張ゲージ対称性模型や複合ヒッグス模型からの新粒子(W’, Z’)を評価し、
また、余剰次元の Bulk RS model に予言される、spin 2 の RS graviton や、spin 0 radion
なども diboson に崩壊するのでこれらを検証できる。同様の探索は、full-leptonic な終
状態や、full-hadronic な終状態でも可能であり、semi-leptonic な終状態と合わせ、いず
れも 36.1 fb−1 のデータを過去に解析し未発見という結果が報告されている。本解析は、
0.5TeV~5TeV にわたる幅広い質量領域での探索が可能な semi-leptonic 終状態(qq,
lqq, llqq)について、139 fb−1のデータを改善された手法によって解析し、結果の更新を
与えるものである。
山谷氏は、探索が進むにつれ特に重要となった高質量領域で、diboson からの二つのジ
ェットが重なる場合をよりよく解析するために、大きなジェットの内部構造を変数化し、
D2 と呼ばれる変数によって、二つのジェットが重なってできているようなものと、そう
でないものを分離した。また、飛跡検出器からのトラック位置情報と、カロリメータか
ら得られるエネルギー情報を組み合わせて用い、より分解能の良い”TCC ジェット”を導
入することで、信号事象の D2 分布の広がりを抑え、探索の感度を向上した。高質量領域
の信号に対し、20%~30%の感度改善を達成している。また、山谷氏は、diboson が
Vector-Boson Fusion (VBF)により生成された場合には、ビーム軸方向に余分なジェット
が 2 本生成されることに着目し、小半径ジェットの 4 元ベクトルを入力として、機械学
習により生成機構(gluon-gluon fusion/Drell-Yang か VBF か)を区別している。
信号とトポロジーの似た標準理論のプロセスが主な背景事象となる。終状態の荷電レ
プトン数(0, 1, 2)によって寄与が異なり、0 の時は W/Z + jets と t-tbar、1 の時は W+jets
と t-tbar、2 の時は Z+jets が主要(90%超)となる。
信号探索の最終フィットの分布には、終状態の不変質量(ただし、終状態にニュート
リノが複数ある、0 荷電レプトンの場合は、transverse mass)を用いる。
終状態の荷電レプトンの数、生成機構、ジェットが重なっているか分離しているかに
応じて領域を分け、信号領域と制御領域あわせて 42 の領域に対し分布を同時にフィット
することで、信号の強さを求める。W/Z+jets と t-tbar 用に定義された制御サンプルによ
って、Monte Carlo (MC)シミュレーションによって見積られた背景事象を実データに則
して補正している。フィットの結果、いずれの領域においても信号事象の有意な超過は
見られなかった。最も大きな兆候は、0 荷電レプトン, VBF, D2 ウィンドウ内に見られる、

質量 1.5TeV 付近の超過であるが、高々local に 2.8の有意さであった。
有意な信号が見られなかった結果を受け、生成断面積×崩壊分岐比の上限を求めた。
例えば、先述の HVT のパラメータセット A(B)に対して、W’の質量が 4.08TeV(4.25TeV)
までを棄却した。36.1 fb−1 を用いた full-leptonic, full-hadronic, semi-leptonic のすべて
の解析を統合した結果よりも、本研究によって得られた semi-leptonic 単独での結果の方
が広い棄却域を与えている。他の手法と統合することで、さらに広い棄却域が得られる
と考えられる。また、HVT のパラメータである、ボゾンやフェルミオンとの結合定数 gH,
gf に対しても制約を与えた。
本論文は 11 章からなる。第 1 章では、理論的背景と重い diboson を semi-leptonic 終
状態で探索する動機を概観。第 2 章では、LHC 加速器と ATLAS 測定器を解説。第 3 章
では、取得した実データと、信号事象や背景事象を記述するために使用した MC シミュ
レーションデータについて解説している。第 4 章では、トラックや崩壊点、ジェット、
トポロジカル・クラスター、レプトン識別など、解析に使用する物理オブジェクトの再
構成方法を記述。第 5 章では、新たに導入した TCC ジェットのアルゴリズムとそれを利
用した boson 判定、またそれによる探索感度向上について述べている。第 6 章で、イベ
ントセレクションとカテゴリ分けを説明し、第 7 章ではバックグラウンドの見積もりお
よび、データと MC の比較について解説している。系統誤差について第 8 章で議論した
のち、第 9 章では統計的取り扱いについて述べ、第 10 章で結果を報告している。最後に
第 11 章で全体のまとめを行っている。
審査委員会として、論文の結果の正当性を確認し、またそれが適切に記述されている
ことを確認した。なお、本論文は、ATLAS コラボレーションによる共同研究である。山
谷氏は、自らのアイデアにより先行研究の結果よりはるかに感度の高い探索を可能にし、
注意深く制御サンプルを用意することで、結果の信頼性を担保している。それにより、
物理学の新たな知見を獲得している。よって、山谷氏は博士号を授与するにふさわしい
と認める。

この論文で使われている画像

参考文献

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