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大学・研究所にある論文を検索できる 「Colloidal dispersion states in oil-in-water emulsions stabilized by lecithin」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Colloidal dispersion states in oil-in-water emulsions stabilized by lecithin

山田, 兼三 大阪大学

2022.03.24

概要

コロイド分散系のうち、分散相と連続相とがともに液体状態にあるエマルション(以下、乳液)は、日常生活において広く利用されており、代表的な水中油滴(o/w)型乳液や、水と油との関係が逆転した油中水滴(w/o)型乳液のほか、近年ではo/w型乳液の油滴中にさらに水相を持つw/o/w型乳液などの、二重の液滴構造を有した分散状態も認められるようになっている。これらの乳液分散系は、基本的には油と水という互いに混じり合わない2つの液体のみから構成されているため、多くの場合、その液滴–媒質間の界面を安定化するために乳化剤が必要であり、例えば生体膜や胆汁酸ミセルの主要成分として古くから知られているリン脂質のレシチンが、マヨネーズや脂肪点滴液(乳剤)の乳化にも使われている。

このように、レシチンは水中において近接する物質に応じて自身を取り巻く液滴構造を変化させ、体液中の生体細胞など一種のw/o/w型と考えられる乳液中では脂質二重層のような膨潤ベシクルを形成する一方、点滴用脂肪乳剤など一般的にo/w型とされる乳液中では油を包み込んだ膨潤ミセルを形成していると想定されるが、我々が知る限り、このw/o/w型からo/w型へのエマルション転移という現象が基礎的に調べられた研究は非常に数が少ないと思われる。さらには、大豆油–レシチン混合物の脂肪乳剤は長く世界中で使用されているにも関わらず、その点滴液中に含まれるミセルコロイド(脂肪球)の分散状態が詳細に調査された報告は、現時点ほとんど見当たらない。本論文は、水を媒質とする乳液中におけるレシチンと大豆油との混合物の分散状態について、特にコロイド液滴構造の膨潤ベシクルから膨潤ミセルへの形態変化という点を明確に見出すことを目的とし、レシチンと大豆油との混合比を広範囲に変化させ、実験および理論の両面から調べた研究を記述している。

第2章では、点滴用脂肪乳剤に用いられているレシチン–大豆油混合物のコロイド水溶液を、大豆油のレシチン–大豆油混合物に対する重量分率(ξO)を0から0.96まで変えて調製し、それらの溶液中の分散状態を小角X線散乱法(SAXS)、静的および動的光散乱法(SLS and DLS)により実験的に詳しく調べた結果を述べる。散乱実験の結果、レシチンのみを水中へ分散した溶液(ξO = 0)中では、単層から多層までの異なる層数をもつベシクルが形成されていたが、レシチンと大豆油との等分混合物(ξO = 0.5)は、大部分が単層ベシクルを、一部が球状ミセルを形成し、水中で両液滴が共存していた。散乱関数の解析から、さらにこのξO = 0.5をもつ水溶液中では、単層ベシクルはξO = 0の場合に比べてやや膨潤しており、大豆油がレシチンの形成するベシクル層内側の疎水性部に包含され、あるいは球状ミセルでは核として内包され、膨潤ミセル化していることも分かった。大豆油の混合比率をさらに上げていくと(ξO > 0.5)、分散液中にはもはや膨潤球状ミセルだけが存在し、そのミセルサイズはξO ~ 0.75において最小である。すなわち、層内部へ大豆油を取り込んだ膨潤レシチンベシクルが分散されたξO ≤ 0.5をもつ乳液はw/o/w型であると考えることができ、ξO > 0.5によりo/w型へのエマルション転移が起こると言える。このエマルション転移という視点から、水を媒質、大豆油を分散質とし、レシチンを安定化剤とする身近な乳液を対象とし、コロイド分散状態の変化を系統的に捉えた事例は、他にあまり類を見ない知見であるものと考える。

続く第3章では、第2章に示されている、ξOの変化に伴うコロイド液滴構造の膨潤単層ベシクル–膨潤球状ミセル間の形態変換に関する実験結果について、o/w型乳液およびw/o型乳液へ発展させた高分子溶液に対する格子理論により、表面混合ギブス自由エネルギー密度を計算することで検証した結果を記載する。まず、o/w型膨潤球状ミセルの中核がw/o型膨潤球状逆ミセル自体である液滴を仮定することで、w/o/w型膨潤単層ベシクルを再現できる。次に理論計算から、界面活性剤の分子長、体積および分子内相互作用パラメータ、ならびに水–油間を含めた分子間各相互作用パラメータ等の適切な調整を行うことで、ξO依存的なエマルション液滴のw/o/w型ベシクルからo/w型ミセルへの形態変換の妥当性が混合ギブスエネルギーにより説明される。提案する理論から導き出される、膨潤ベシクルから膨潤球状ミセルへの変換に伴い変化する粒子半径は、実験から確認された各液滴のサイズと整合する。

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