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大学・研究所にある論文を検索できる 「在宅療養支援におけるレスパイトケアの有用性と訪問看護の費用評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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在宅療養支援におけるレスパイトケアの有用性と訪問看護の費用評価

大槻, 奈緒子 大阪大学

2021.03.24

概要

【背景】わが国の医療情勢は,小児医療に関しては,周産期医療の進歩に伴い乳幼児死亡率が著減し,一方で,重度の障害児が増加している.高齢医療では,超高齢社会に加え,高度医療の進歩に伴い,医療依存度の高い高齢者が増加し,必要な医療•介護の量だけでなく質も向上している.これらの背景により,わが国の医療体制は医療経済効率の良い在宅医療が推奨されている.それに伴い,在宅療養を支える中心的な役割を担っている家族介護者の介護負担やケアの質の問題が注目されている.家族介護者の介護負担や提供するケアの質は,患者だけでなく,家族介護者の健康を維持する上で重要な課題である.介護者の負担感軽減を目的としたサービスにレスパイトケアがあるが,その有用性の評価は不十分である.さらに,在宅療養支援の中核となる訪問看護を,ケアの質を確保した上で効果的•効率的に利用者に分配していくためには,訪問看護ケアの費用対効果および費用対便益を勘案した支援計画の策定が不可欠であるが,訪問看護の費用対効果および費用対便益の評価システムは確立されていない.

【目的】1)障害児とその家族介護者におけるレスパイトケアの有用性の評価ツールを開発し,信頼性と妥当性の検証を行い, 2) 全国の小児の訪問看護ステーションにおけるレスパイトケアの実施実態と関連要因を検討した.さらに 3) 訪問看護ケアの費用評価方法を確立させるためのパイロットスタディという位置づけで,利用者の健康関連QOLと訪問看護レセプトデータの請求額を用いた費用評価を試みることを目的とした.

【方法】本研究は,質問栗調査によるCross-sectional studyで実施した.レスパイトケアの有用性の評価ツール開発では,障害児の家族介護者465名に質問票調査を配布した.レスパイトケアの実施実態とその関連要因の検討では,全国の小児の訪問看護を実施している事業所1,154か所を対象に質問票悉皆調査を実施した.訪問看護ケアの費用評価では,日本の10か所の機能強化型訪問看護事業所の利用者515名を対象に,1か月間の利用者の健康関連QOLと1か月間の訪問看護レセプトデータの請求額を用いて調査した.

【結果】レスパイトケアの有用性の評価ツールとして,「子どもの発達」「家族介護者の生活の質の向上」「家族介護 者の精神的支え」「環境•視野の拡充」の4因子が抽出された.小児の訪問看護を実施している訪問看護ステーションにおけるレスパイトケアの実施実態と関連要因の検討では,レスパイトケア実施率は57.1%であり,実施には,看護職員数,ニーズ,看護の質の統一化,人員確保,事業所スタッフの児とのコミュニケーション能力,家族との信頼関係構築能力が関連していた.訪問看護ケアの費用評価では,訪問看護利用者を請求額低群と請求額高群に分類した.請求額低群では,QOLの高さと各ケアの実施頻度との間に関係は認められなかった.請求額高群では,「服薬管理•指導」「疾病•治療の説明•指導」「栄養•食事ケア」の実施頻度が高い人ほどQOLが高かった.

【結論】レスパイトケアには,障害児や家族介護者にとって多側面の有用性が存在し,今後,評価ツールを活用したレスパイトケアの供給体制の策定への貢献が期待される.さらに,訪問看護ケアの費用対効果および費用対便益を評価する際には,今後,EQ5Dを向上させるケア項目と,EQ5Dを維持させるケア項目に大別されることを勘案した評価システムを構築し,適切なデータ取得を行うことが望まれる.

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