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大学・研究所にある論文を検索できる 「胸部表在食道癌患者における化学療法併用強度変調放射線療法の 安全性および有効性の予備的評価 -interim analysis of a phase II study of IMRT with chemotherapy for stage I thoracic esophageal cancer-」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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胸部表在食道癌患者における化学療法併用強度変調放射線療法の 安全性および有効性の予備的評価 -interim analysis of a phase II study of IMRT with chemotherapy for stage I thoracic esophageal cancer-

寺村 聡司 東北大学

2021.03.25

概要

【 目 的 】 本研究の目的は、 3D-CRT(3-dimensional conformal radiation therapy) か ら IMRT(intensity-modulated radiation therapy)へと放射線治療を切り替えることによって生じる線量分布の変化による有害事象についての報告は少なく、その安全性と効果を検証するために行っている第 2 相臨床試験に付いて検証を行い、前向きに臨床試験の継続の可否を検討することを目的として行われた。

【方法】方法として、東北大学病院において、胸部表在食道癌の患者で内視鏡治療が不可または拒否された患者に対して、化学療法併用強度変調放射線療法による治療を行い、有害事象の有無および 3 年生存率・無増悪期間の評価を行う臨臨床試験に登録された 17 名の患者を対象とした。すべての患者が IMRT による治療を受け、再発や生存状態・有害事象の有無、主に急性期放射線障害、亜急性期放射線障害を評価し解析した。 また、IMRT の照射による肺線量の変化・心臓への線量の変化を比較検討するため 肺の平均線量、V5、V20、心臓の平均線量、V30の値も測定した。また、2014 年 1 月から 2018 年 2 月まで 3D-CRT による放射線療法の治療を受けた胸部表在食道癌の患者 27 名との再発・生存状態および有害事象の有無の評価を行い、肺線量・心臓の dose-volume histogram (DVH)解析を行い、IMRT 群との比較を行った。 有害事象の評価は CTCAEVer4.0 をもとに行った。急性期障害は治療中~終了から 1 か月後、亜急性期障害は治療終了後 1 か月~3 か月の間の有害事象と定義した。 食道炎の評価は CTCAEVer4.0 を基準として、鎮痛薬等にて経口が可能な場合を grade2 とし、鎮痛薬等を用いても完全に経口摂取がないまたは栄養を中心静脈栄養等に 依存する形となった場合を grade3 と定義した。P 値<0.05 は、統計的に有意とみなした。統計解析は JMP Pro version 13(SAS Institute, Cary, NA)を用いて行った。

【結果】本第 2 相臨床試験の目標症例数は 24 例であるが、これまでに本臨床試験には 17 名が登録された。観察期間中央値は 6 か月であった。肺の DVH 解析では、肺平均被曝線量は、9.54 Gy、V5(5 Gy 以上照射される体積の割合)は 41.3%、V20(20 Gy 以上照射される体積の割合)は 19.1%であった。心臓の DVH 解析では、心臓の平均被曝線量は 21.4 Gy、V30(30 Gy 以上照射される体積の割合)は 25.8%であった。急性期放射線障害は IMRTによる治療を受けた 17 名で食道炎を認め、grade2 が 10 名、grade3 が 4 名であった。皮膚炎は grade2 が 4名であった。血液毒性は、白血球減少は grade2 が 2 名、grade3 が 6 名、好中球減少は grade2 が 3 名、grade3が 5 名、貧血は grade2 が 2 名であった。grade 2 以上の腎機能・肝機能障害は認めなかった。亜急性期放射線障害である放射線肺臓炎は grade2 以上の出現は認めなかった。比較対象である、3D-CRT による治療を受けた患者は 27 名であった。
3D-CRT 群の観察期間中央値は 33 か月であった。肺の DVH 解析では、肺平均被曝線量は、10.68 Gy、V5 は 55.6%、 V20 は 10.7%であった。心臓の DVH 解析では、心臓の平均線量は 35 Gy、V30 は 65.8%であった。放射線急性期障害は 3D-CRT による治療を受けた患者 27 名のうち、確認された有害事象は食道炎 grade2 が 22 名。皮膚炎 grade2 が 11 名であった。血液毒性は、白血球減少 grade2 が 11 人、grade3 が 9 人、grade4 が 1 名,好中球減少は grade2 が 9 人、grade3 が 6 人、貧血 grade2 が 8 人、血小板減少は grade2 が 2 名 grade3 が 1 名,grade 2 以上の肝機能障害は認めなかった、腎機能障害は grade2 が 3 名認めた。亜急性期放射線障害である放射性肺臓炎は grade2 以上を認めことはなかった。

【結論】IMRT 群において、心臓の平均線量・V30 の値が低く、有意差を認めた。また、肺では、V5 において 3D-CRT 群の方が低く、有意差を認めた。V20 においては IMRT群の方が低く、有意差を認めた。また、本試験に登録した 17 名うち 1 名のみが、食道局所の照射外に再発を認め、内視鏡にて治療、現在まで Complete Response(CR)の状態であった。他の 16 名は再発なく CR の状態であった。IMRT による放射線治療では、致死的な障害等の出現は認めず、また、東北大学病院にて過去に行われてきた、治療法(3D-CRT)と比較しても、急性期~亜急性期有害事象の出現において有意差は認めなかった。IMRT における放射線治療の安全性は従来の治療と比較しても遜色なく、この前向き臨床試験を継続する上で問題はないと考えられたが、腫瘍制御率および晩期有害事象の比較のため、さらなる追跡および評価が必要であると考えられた。

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