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大学・研究所にある論文を検索できる 「Study on the Segmentation of the Right Posterior Sector of the Liver」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Study on the Segmentation of the Right Posterior Sector of the Liver

南, 貴之 名古屋大学

2021.07.20

概要

【緒言】
 現在の肝胆道外科では 60 年以上前にクイノーにより提唱された肝区域分類が広く用いられ、門脈支配に沿って肝を S1~8 に区分する。肝左葉は S2~4 に区分され、左門脈は左外側後枝(P2)が分岐し、門脈臍部から左外側前枝(P3)、右に内側枝(P4)を分岐するので、門脈分岐順に沿った区域分類となっている。肝右葉は右傍正中領域の前区域と右外側領域の後区域に区分される。肝前区域は門脈左右分岐部より頭側領域が S8、尾側領域が S5 とされる。肝前区域の門脈分岐形態と区域分類についての検討では、約 50%の症例でクイノー分類に沿った頭側-尾側区分が可能だったと報告されている。肝後区域も前区域同様に門脈左右分岐部を境界に区分され、頭側領域が S7、尾側領域が S6 とされる。右門脈後区域枝の分岐形態は右門脈後区域枝本幹が頭尾側方向の枝に 2 分岐する 2 分岐型と、右門脈後区域枝本幹が弓状に走行し本幹から数本の門脈枝が頭尾側方向に順次分岐する弓状型が多いと報告されている。しかし、その分岐形態と区域分類についての報告はほとんどなく、さらに S6 と S7 の区域境界には明確な解剖学的指標がなく、門脈支配に沿った区分かどうかも不明である。
 本研究の目的は右門脈後区域枝の分岐形態・走行を検討し、肝後区域の区域分類について再考することである。さらに我々を支配するクイノーコンセプトの外科臨床への応用も検討した。

【対象および方法】
 2011 年 1 月から 2013 年 10 月までの間に当科で肝胆膵疾患に対して CT を施行した患者から、1)肝硬変、2)肝占拠性病変、3)脈管浸潤、4)肝切除の既往、5)門脈塞栓術の既往、の項目を除外した 100 例を対象とした。3D 画像解析システム SYNAPSE VINCENT で CT から 3D 画像を構築し、右門脈後区域枝、門脈、右肝静脈の分岐形態と走行を検討し、各領域の肝体積の測定も行った。また、同システムで仮想的に S7 領域を切除し、S6 と S7 の区域境界に解剖学的指標として右肝静脈およびその枝が現れるかどうかを評価した。

【結果】
 右門脈後区域枝の分岐形態は、右門脈後区域枝本幹が頭尾側方向の枝に 2 分岐する例(2 分岐型)と、右門脈後区域枝本幹が弓状に走行し、本幹から数本の門脈枝が頭尾側方向に順次分岐する例(弓状型)に分類され、その頻度は各々45%と 50%であった。残りの 5 例のうち、2 例は右門脈後区域枝本幹が P6、P7、中間枝に同時に 3 分岐する 3分岐型、残り 3 例が分類不能型であった。2 分岐型ではその分岐により S6 と S7 に分類することができ、クイノー分類が可能であった。一方、弓状型では解剖学的指標が無く P6 と P7 に 2 区分することが困難なため、本幹から分岐する門脈枝のうち尾側枝を P6、水平枝と頭側枝を P7 と定義した。門脈枝の本数の中央値は P6 が 2(1-5)本、P7が 4(2-10)本であった。仮想肝 S7 切除後の S6 側の肝離断面には、弓状型の 60%(30例)に右肝静脈の比較的太い枝が現れ、2 分岐型では 11.1%(5 例)であった。弓状型と2 分岐型ともに S6 と S7 の体積は約 130ml、全肝に占める割合は約 15%で、両者に有意差は認めなかった。
 次に右門脈後区域枝、門脈、右肝静脈の分岐形態の関係、肝後区域の体積との関係について検討した。門脈の分岐形態は、門脈が 1)右門脈と左門脈に 2 分岐する通常型が 87 例、2)同時に前区域枝、後区域枝、左門脈に 3 分岐する 3 分岐型が 5 例、3)後区域枝と前区域枝・左門脈の共通幹に分岐する後区独立分岐型が 8 例であった。右肝静脈の分岐形態は、右下肝静脈が 1)存在しない Type I が 46 例、2)右肝静脈よりも小さい Type II が 29 例、3)右肝静脈よりも大きい Type III が 25 例であった。右門脈後区域枝、門脈、右肝静脈の分岐形態に関連は認めなかった。肝後区域の体積との関係は門脈の分岐形態とのみ関連があり、後区独立分岐型が通常型と 3 分岐型よりも有意に大きかった。右門脈後区域枝と右肝静脈の分岐形態と体積は関連を認めなかった。

【考察】
 右門脈後区域枝の分岐形態は主に 2 分岐型と弓状型に分類され、その割合はおおよそ 1:1 であった。2 分岐型はクイノー分類に沿っていたが、弓状型では解剖学的指標が無く P6 と P7 に 2 区分することが困難なため、尾側枝を P6、頭側枝と水平枝を P7と定義した。S6 と S7 の体積は 2 分岐型と弓状型ともに、おおよそ 1:1 であった。以上の結果を踏まえて、我々を支配しているクイノー分類の外科臨床への応用、特に肝 S6 および S7 切除への応用について検討した。
 肝 S6 および S7 切除のような系統的肝切除では、区域境界の正確な同定が必要である。右門脈後区域枝が 2 分岐型の場合、門脈分岐形態によりクイノー分類可能である。つまり、肝門部で P6 および P7 を確保し、血流遮断をすることで S6 と S7 領域を明らかにすることができる。一方、弓状型ではクイノー分類ができないため、右門脈後区域枝本幹から分岐する水平枝と頭側枝を術中に超音波ガイド下に穿刺・色素染色を行い、S6 と S7 領域を明らかにすることが有用である。加えて、S6 と S7 の区域境界に右肝静脈の太い枝が現れる例では、その肝静脈枝が肝離断の解剖学的指標になるため、術前にその存在を把握しておくことが必要である。

【結論】
 2 分岐型では門脈分岐形態によりクイノー分類と同様に S6 と S7 に分類することができる。一方、弓状型では右門脈後区域枝本幹から分岐する尾側枝を P6、水平枝と頭側枝を P7 と定義することを提案する。

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