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大学・研究所にある論文を検索できる 「Quantitative Analyses of Foot Processes, Mitochondria, and Basement Membranes by Structured Illumination Microscopy Using Elastica-Masson–and Periodic-Acid-Schiff–Stained Kidney Sections」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Quantitative Analyses of Foot Processes, Mitochondria, and Basement Membranes by Structured Illumination Microscopy Using Elastica-Masson–and Periodic-Acid-Schiff–Stained Kidney Sections

松本, あゆみ 大阪大学

2021.08.31

概要

〔目的(Purpose)〕
腎生検は腎臟病の診断およびそれに基づく治療方針の決定になくてはならない検査である。腎疾患の発症や進展には多様な因子が関連しており、細胞内オルガネラを含めた腎構成細胞の微細構造変化が腎病変と密接な関わりを持っことが多くの基礎研究にて明らかにされてきた。形態学的には、ポドサイト足突起の癒合は尿蛋白の出現と密接に関連し、尿細管上皮細胞のミトコンドリアの形態異常が尿細管間質障害と関連する。これらの腎微細構造の観察には通常電子顕微鏡が用いられ、近年では超解像度顕微鏡の有用性が報告されている。しかし、電子顕微鏡観察には専用のサンプル準備が必要であり、超解像度顕微鏡観察には通常免疫蛍光染色を施したサンブルが必要である。また、これらの方法によって観察された組織所見の定量評価方法は充分確立されているとは言えない。このため、本研究では臨床診断に用いられたhematoxylin and eosin (HE)、periodic acid-Scliiif (PAS), periodic acid methenamine silver (PAM), and elastica Masson trichrome (EMT)染色を施した腎組織を直接超解像度顕微鏡で観察し、腎微細構造の可視化を行う。さらに、可視化した腎微細構造変化の定量方法を確立する。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
EMT染色を施した腎組織の糸球体領域を観察したところ、561 nmおよび640 nmで励起すると、ポドサイト足突起および基底膜を分離して描出できることが判明した。蛍光の由来を明らかにするため、EMT染色において使用する各染色液について検討したところ、ポドサイト足突起の蛍光の由来はPonceau xylidine-acid fuchsin液であり、基底膜の蛍光の由来はaniline-blue液であることを見出した。同法にて取得したMinor glomerular abnormalities (MGA)、IgA腎症、Minimal change nephrotic syndrome症例の足突起画像をフーリエ変換を用いて数値化したところ、同法で定量した足突起障害度と尿蛋白に密接な相関関係が見出された。また、ボドサイト足突起障密を来す動物モデルである Puromycin aminonucleoside腎症ラットを用いて、ヒトサンプルと同様に病変の描出が可能であった。また、PAS染色を施した糸球体を観察すると、基底膜が観察された。基底膜病変を有さないMGA症例では平滑な底膜が描出され、基 底膜に免疫複合体が沈着する疾患である膜性腎症症例では、基底膜が不均一である像が描出された。基底膜病変を定量化するため、基底膜部分の画像の輝度を取得し、このばらつきを変動係数を用いて定量評価を行った。MGA症例と比較して、通常の光学顕微鏡では基底膜変化を観察できない膜性腎症stage Ⅰ症例においても有意に変動係数が大きく、膜性腎症stage Ⅰ症例の同定が可能であった。EMT染色を施した腎組織の尿細管領域では、561nm励起によりミトコンドリアが描出された。尿細管上皮細胞障害を伴う部位では、尿細管上皮細胞のミトコンドリアの断片化など形態異常が認められた。また、マウスにおいてEndotoxin投与もしくはIschemia-reperfusion injuryを行ってミトコンドリア障害を誘導したところ、障害に伴うミトコンドリアの形態異常が観察された。視察されたミトコンドリア形態異常の程度を、フーリエ変換を用いて指数化を行った。IgA腎症症例において、同指数が腎生検時のestimated glomerular filtration rate(eGFR)ではなく、生検後の腎機能推移を表すeGFR slopeと有意な相関関係を示し、超解像度画像とフ ーリエ変換を組み合わせた腎ミトコンドリア評価が腎予後予測に有用である可能性が示された。

〔総括(Conclusion)〕
日常診療で作成された腎生検プレパラートを用いて、腎微細構造変化を定量化する方法を確立した。本方法により、これまで以上に詳細に病態を把握することができる可能性がある。

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