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大学・研究所にある論文を検索できる 「Incidence and Distinct Features of Immune Checkpoint Inhibitor-Related Myositis From Idiopathic Inflammatory Myositis: A Single-Center Experience With Systematic Literature Review and Meta-Analysis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Incidence and Distinct Features of Immune Checkpoint Inhibitor-Related Myositis From Idiopathic Inflammatory Myositis: A Single-Center Experience With Systematic Literature Review and Meta-Analysis

濱田 直樹 横浜市立大学

2022.03.25

概要

1.序論
がん免疫療法の一つである免疫チェックポイント阻害剤は,患者の様々な臓器にこれまでの抗がん剤治療では経験しなかったような自己免疫病態が想定される有害事象(免疫関連有害事象)を生じうる.中でも免疫チェックポイント阻害剤(ICI)関連筋炎は,まれな有害事象であるが,致死的になりうる.ICI関連筋炎についての既報のレビュー(Kadotaetal.2019)では,抗PD-1抗体,抗CTLA-4抗体,および抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用療法を受けた患者にいずれも筋炎が発生したと報告されている.また,ICI投与開始からICI関連筋炎の発症までの平均期間は4週間で,死亡原因は,心筋炎,呼吸麻痺,がんの進行が多かったとのことだった.心筋炎や呼吸筋麻痺のない合併のない患者では,ICIの投与中止や免疫抑制剤の投与によりクレアチンキナーゼ(CK)値が正常化し,筋炎としての予後は良好と考えられた.このレビューが出ているものの,その稀少性ゆえに,ICI関連筋炎の発生率,臨床的特徴,予後,および予測因子については,まだ十分に理解されておらず,病態や適切な治療法の解明のため,さらなる研究が求められている.

2.実験材料と方法
これらの問題を解決するために,我々はシステマティックレビューとメタ解析を行った.まず,抗PD-1/PD-L1抗体および抗CTLA-4抗体の第III相無作為化対照比較試験のメタ解析を行うことで,固形がんに対するICI治療に関連する筋炎発症のリスクを評価した.次にこの解析を臨床データで補完するために,2021年9月7日までに文献報告されたICI関連筋炎の症例と,当院のICI使用患者レジストリの中で筋炎を発症した症例を評価した.当院のレジストリは,2014年9月から2021年6月までにICIを単独または併用して治療を受けた患者422人で構成されていた.本コホート研究は,横浜市立大学の倫理委員会で承認された(A200500004).文献報告の症例と当院の症例についての臨床情報を抽出し,ICI関連筋炎の臨床的特徴について検討した.さらに,ICI関連筋炎において致死的な表現型である心筋炎の合併の有無で集団を分類し,統計学的に群間比較を行うことで心筋炎の合併に関連する因子を検討した.

3.結果
メタ解析の結果,18件の無作為化対照比較試験での6,838人のICI投与患者における筋炎の発生率は0.38%で,ICIを投与されていない対照群と比較して有意に頻度が高かった(オッズ比1.96,95%信頼区間1.02-3.75,p値0.04).抗PD-1/PD-L1抗体と抗CTLA4抗体を比較すると,両群間で筋炎発症の頻度に有意差はなかった.

文献検索と当院のレジストリから得られたICI関連筋炎88例(各85例,3例)を詳細に解析したところ,抗PD-1抗体で誘発される筋炎は,抗CTLA-4抗体で誘発される筋炎よりも報告が多く,重症筋無力症や心筋炎など臨床的に多様な徴候を示す傾向が明らかになった.ICI投与後の筋炎の推定発症期間は5.6±6.1週間で,自己抗体の出現状況は様々であった.治療に関しては,ほとんどの患者がグルココルチコイドを投与され,一部の患者は免疫抑制剤を投与されていた.33名の患者の死亡が報告されており,そのうち19名が筋炎に関連した死亡であった.88例中36例(40.9%)が心筋炎を合併しており,ICI関連筋炎では心筋炎の発生率が高いことが確認された.心筋炎合併群においては血液浄化療法や生物学的製剤といった強力な治療が行われている症例が多いにも関わらず治療抵抗性であり,筋炎関連死も有意に多かった(オッズ比13.75,95%信頼区間2.54-74.30,p値<0.01).

4.考察
今回の研究によって,ICI関連筋炎の発生率と臨床的特徴が明らかになった.既報のレビュー(Kadotaetal.2019)および今回の研究で示されたように,ICI関連筋炎は,重症筋無力症や心筋炎を合併することがあり,そういった点でICI関連筋炎は特発性炎症性筋炎とは異なる表現型である.したがって,筋炎の予後も特発性炎症性筋炎とは異なると考えられる.致死的な臨床徴候(特に心筋炎)を迅速に診断することが必要であるが,現在,ICI関連筋炎を診断する標準的な基準は存在しない.既存の特発性炎症性筋炎や重症筋無力症の診断基準をICI関連疾患に適用することは,おそらく不適切であり,診断が遅くなりすぎる可能性がある.我々は,心筋炎合併の重要な指標として,眼瞼下垂と呼吸筋麻痺という重要な徴候を特定した.我々はこの結果に基づいて,ICI関連筋炎を疑い,眼瞼下垂および呼吸筋麻痺を認める患者では心筋炎の合併について注意深く観察し,早期介入に備えることを提案する.

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