The Regulation of Neutrophil Extracellular Trap-induced Tissue Damage by Human CD177
概要
〔目的(Purpose))
異種移植における拒絶反応には、好中球による組織損傷が寄与している。したがって,好中球の機能を抑制することは,異種移植による拒絶反応の抑制に有効であると考えられる。我々は、ブタ内皮細胞(PEC)にヒトCD31を異所性に発現させると、CD31の同種親和性結合を介して好中球の誘導する細胞傷害性が有意に抑制されることを明らかにした。CD177は最近、内皮細胞上のCD31の高親和性の異種親和性結合パートナーであることが報告された。そこで我々は、PEC上のヒトCD177が、CD31と比較して好中球誘導性細胞傷害の強い抑制を引き起こすのではないかと考えた。本研究では、PEC上のヒトCD177の好中球介在性細胞傷害に対する抑制機能を検討した。
〔方法ならびに結果(Methods/Results)〕
方法:PECにhCD177およびhCD31遺伝子をコードするcDNAインサートを含むクローニングプラスミドをトランスフェクトした。ΡΜA存在下でPECまたはPEC/CD177と共培養した後、フローサイトメトリーにより好中球による細胞傷害性を評価した。また、hCD177による抑制のメカニズムを明らかにするため、SHP-1のリン酸化をイムノブロット解析により測定した。
結果:PEC上のヒトCD177は、好中球誘導細胞傷害性の有意な低下を誘導した。さらに、PEC上のCD177は、好中球におけるSHP-1のリン酸化の有意な増加を誘導し、NETosisを抑制した。
〔総括(Conclusion)]
ヒトCD177は,NETosisの抑制を介して、好中球を介した細胞傷害を抑制することが示唆された。