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書き出し

連続体の位相的性質の継承について

大島 慶之 島根大学

2023.03.17

概要

On inheritance of some topological
properties of continua

(要約)

連続体の位相的性質の継承について

大島

慶之

一般位相幾何学、特に連続体論では、必ずしも多様体や多面体のような局所的によい性質
を持つ空間をあつかうわけではなく、より広い範囲の空間も研究対象としている。そのよう
な空間は、線形代数学や微分積分学が適用できない複雑な構造を持つこともあり、その理解
には空間の位相的性質を解析することが基本的である。ここで、連続体とはコンパクト連結
距離空間のことをいう。連続体には大きく分けると分解可能連続体と分解不可能連続体の
2種類がある。分解不可能連続体の構造は複雑であり、構成も易しくない。分解可能連続体
は、分解不可能連続体と比較すると、その構造は単純であるが、特殊な分解不可能連続体を
構成する際にも用いられ、連続体論において重要な役割を果たす。複雑な構造を持つ空間は
構成に用いられた空間を基点にして解析を進めていくことができるため、分解可能連続体
に関する研究は活発に行われている。
ここで、分解可能連続体の理論の歴史について簡単に述べる。まず、分解可能連続体の研
究では、局所連結性に関する研究が頻繁に行われている。1941 年、Jones は局所連結性の一
般化としてアポシンデティックという概念を導入した。また、余局所連結性もアポシンデテ
ィック性を導く。一方、連続体は局所連結ならば、弧状連結となることが知られている。
1968 年、Wilder は C-連続体という概念を導入した。これは後に Wilder 連続体といわれる
ようになる。Wilder 性は弧状連結性を含む概念である。また、Wilder 性はアポシンデティ
ック性、さらに半アポシンデティック性からも導かれる。2004 年、Lončar は弧状連結性の
別の一般化として D-連続体という概念を導入した。2019 年、Espinoza および松橋は D-連
続体に関連して D^*-連続体という概念を導入した。Wilder 性と D^*-性はどちらも D-性を
導き、また弧状連結性より広い概念である連続体鎖状連結性という概念を包含している。さ
らに、D-連続体は分解可能である。Wilder の研究から弧状 Wilder 連続体が弧になることが
分かる。また、sin⁡(1/x)-連続体は弧状 D-連続体であるが弧ではない。ここで、弧とは単位
閉区間[0,1]に位相同型な連続体をいい、連続体が Y-状であるとは任意の ε>0 に対して各
点の引き戻しの直径が ε より小さくなるような Y への連続全射をとれるときにいう。特
に、Y が弧のとき、連続体は弧状であるという。位相同型写像は各点の引き戻しの直径が 0
であるので、各点の引き戻しの直径が小さくなるほど、その写像は位相同型写像に近づいて
いくと考えられる。この意味で、Y-状連続体は Y に類似したものと考えられている。これ
らに関連して、弧状 D^*-連続体であり弧ではないものが存在するか、という問題があげら
れている。
本論文では3つの観点から分解可能連続体の位相的性質の継承について述べる。構成は
4つの章からなる。
第1章では、本論文で使用する用語や上記で述べた性質の詳細な定義を紹介する。また、
連続体に関する新しい概念として D^(**)-連続体というものを導入する。これを用いて、弧
状 D^*-連続体は弧となることを示す。この結果は、先ほど述べた問題が否定的に解決した
ことを意味する。
第2章では、精製可能写像について議論する。1978 年、Ford および Rogers は精製可能

写像という概念を導入した。精製可能写像は位相同型写像を包含する概念である。連続体 X
から連続体 Y への精製可能写像が存在するとき、X は Y-状であるが、その逆は正しくない。
実際、弧状連続体で[0,1]への精製可能写像をとれないものが存在する。1983 年、細川は精
製可能写像がアポシンデティック性や半アポシンデティック性を含むいくつかの性質を保
存することを示した。彼の結果に関連して、我々は、精製可能写像が余局所連結性を保存す
ることを示す。また、精製可能写像がアポシンデティック性を保存することの別証明も与え
る。一方、1986 年、Grace は精製可能写像の一般化として近接精製可能写像というものを
導入した。我々は、近接精製可能写像が余局所連結性を保存しないことも示す。
第3章では、Whitney の条件について議論する。Whitney の条件は超空間、すなわち連続
体の空でない部分連続体全体からなる空間に関連した概念であり、超空間の断面の構造の
理解に繋がる。1942 年の Kelley の超空間に関する研究以降、超空間の研究は活発になり、
1978 年、Krasinkiewicz および Nadler により Whitney の条件が定式化された。一方、1978
年、Nadler は Whitney の逆条件という概念を導入した。我々は、余局所連結性、Wilder 性、
D-性、D^*-性、D^(**)-性が Whitney の条件をみたすことを示し、また、余局所連結性が
Whitney の逆条件をみたさないことを示す。
第4章では、単調上半連続集合値写像による逆極限について研究する。逆極限は、複雑な
空間を構成する際にしばしば用いられるものである。1954 年、Capel は局所連結連続体の
全射単調連続写像による逆極限が局所連結になることを示した。また、2020 年、Espinoza
および松橋は Capel の定理において局所連結の部分を n-アポシンデティック、半アポシン
デティック、連続体鎖状連結、Wilder、D、D^*、余局所連結のいずれかに置き換えても成
り立つことを示した。一方、2006 年、Ingram および Mahavier により連続写像による逆極
限が上半連続集合値写像による逆極限に一般化され、2017 年、Kelly が集合値写像に対する
単調性を定義し、弧の全射単調上半連続集合値写像による逆極限が局所連結であることを
示した。我々は、単調条件というものを考え、ある位相的性質をみたす連続体の全射単調上
半連続集合値写像による逆極限が再びその性質をみたすかどうかを評価する。

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