書き出し
成体神経幹細胞の胎生期「起源細胞」の同定とその形成機構の解明
概要
審
査
の
結
果
の
要
旨
氏
名
山口
詩真
本研究では脳室下帯に存在する成体神経幹細胞および上衣細胞の起源となる細胞集団を同定
するため、胎生期大脳基底核原基の神経系前駆細胞の単一細胞トランスクリプトーム解析を行っ
た。その結果、胎生期神経系前駆細胞の中に、成体神経幹細胞や上衣細胞にそれぞれ遺伝子発現
プロファイルが類似する別個の細胞集団が存在することを見出した。さらに成体神経幹細胞様の
集団において発現の高い遺伝子として Tmem100 を同定し、Tmem100 が成体神経幹細胞の形成に貢
献する可能性を発見した。本研究は成体神経幹細胞と上衣細胞の系譜が胎生期の神経系前駆細胞
の時点で分かれている可能性を示唆する初めての結果であり、成体神経幹細胞とそのニッチの発
生過程の解明に重要な研究であると思われる。
また口頭試問において、論文内容と関連分野について議論した結果、博士号を授与するに十分
な資質と見識を備えていると判断した。
よって本論文は博士( 薬科学 )の学位請求論文として合格と認められる。