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大学・研究所にある論文を検索できる 「Three-dimensional Vascularized β-cell Spheroid Tissue Derived From Human Induced Pluripotent Stem Cells for Subcutaneous Islet Transplantation in a Mouse Model of Type 1 Diabetes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Three-dimensional Vascularized β-cell Spheroid Tissue Derived From Human Induced Pluripotent Stem Cells for Subcutaneous Islet Transplantation in a Mouse Model of Type 1 Diabetes

髙市, 翔平 大阪大学

2021.09.24

概要

〔目 的〕1型糖尿病患者に対する根治療法として、膵β細胞補充療法である膵島移植が施行されているものの、ドナー不足が膵島移植治療の制限の1つとなっている。これに対し、細胞ソースとして多能性幹細胞由来Ρ細胞を使用し、その安全な移植部位である皮下への移植により、この問題を克服できる可能性があるが、皮下は組織生着に必要な血流に乏しいことが課題として残されている。本研究は、細胞外マトリックス成分であるフィブロネクチンとゼラチンのナノ薄膜をLayer-by-Layer method (LbL法)を用いて細胞表面へ形成することで、細胞の積層化を可能にする技術を利用して、血管構造を伴う3次元β細胞スフェロイド組織を構築し、血流が乏しいという問題点を克服し得る1型糖尿病に対する新規皮下移植法を開発することを目的とした。

〔方 法〕LbL法を用い、human induced pluripotent stem cell-derived β-cell (hiPS β細胞)からなるβ細胞スフェロイドを作成し、human umbilical vein endothelial cell (HUVEC)、normal human dermal fibroblast(NHDF)との共培養により、血管化β細胞スフェロイド組織(血管化組織)を構築した。構築した血管化組織の1型糖尿病に対する治療効果を細胞実験、マウスを用いた動物実験にて検討した。細胞実験では、HUVECを使用せずに構築した非血管化組織との比較により、その有効性を検討した。組織構築における至適細胞数の設定には、マウスのインスリノーマ細胞株であるΜΙΝ6をβ細胞ソースとして使用した。動物実験では、雌のNOD/SCIDマウスを使用し、ストレプトゾシン (160mg/kg)の静脈内投与を行い、1型糖尿病モデルマウスを作成した。血管化組織移植群(n =4)、非血管化組織移植群(n =4)、偽手術を行ったコントロール群(n = 3)と設定し、随時血糖値の測定および移植後14日目に腹腔内グルコース負荷試験を行い、血管化組織の有効性を検討した。次に移植後1日目および28日目に移植組織片を摘出し、免疫組織化学染色にて評価を行い、血管化組織のインスリン分泌能を単位スフェロイド当たりのインスリン陽性面積、総血管数をhmCD31陽性細胞数で評価した。さらに、血管化組織内の血管の由来を、グラフト由来血管をhmCD31陽性/hCD34陽性細胞、レシピエント由来血管をhmCD3I陽性/hCD34陰性細胞と定義し、検討を行った。

〔成 績〕組織構築における細胞数の設定において、血管網の構築およびスフェロイドの形態安定性の観点から、 0.33cm2の基盤上で、HUVEC数1×10(5)、NHDF数1×10(6)を至適条件とした。ΜΙΝ6スフェロイドを用いた検討では、組織内においてスフェロイドの崩れを認めたため、フィブリンゲル内で共培養を行い、スフェロイドの形態維持および血管網の形成を認めた。hiPS β細胞スフェロイドを用いた検討では、フィブリンゲルを使用せずに、組織内でのスフェロイドの形態維持が可能であり、血管網の形成を認めた。次に、作成した血管化β細胞スフェロイド組織の機能の検証を行い、細胞実験では、ΜΙΝ6およびhiPS β細胞を用いた血管化組織において、インスリン遺伝子発現およびインスリン分泌量の有意な上昇を認めた。動物実験では、hiPS β細胞を使用し、非血管化組織群およびコントロール群と比較し、血管化組織移植群において、随時血糖値およびグルコース負荷試験での血糖値の有意な低下を認めた。非血管化組織群とコントロール群の両群間ではその有意差を認めなかった。また、血管化組織群では、移植組織片の摘出後に随時血糖値の再上昇を認めた。摘出した組織の免疫組織化学染色では、血管化組織移植群で、移植後1日目および28日目において、単位スフェロイド当たりのインスリン陽性細胞の占める面積が有意に広く、加えてグラフト内血管数を多く認めた。また由来血管の評価を行い、血管化組織内でレシピエント由来血管が経時的に増加することを確認し、さらにはグラフト由来血管と吻合する所見を認めた。

〔総 括〕LbL法を用いて開発した血管化細胞スフェロイド組織の皮下移植により、糖尿病化マウスの血糖値の改善を認め、1型糖尿病に対する治療効果を認めた。その機序としてレシピエント由来の血管新生が考えられた。本手法は、1型糖尿病患者に対する新規皮下移植法の開発に有用である可能性が示唆された。

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